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福祉マイスターへの道 毎日更新

児童虐待と嗜癖

【Q】
 児童虐待も嗜癖の1つとしてとらえることがあるようですが、どのような点に注意してかかわっていけばよいのでしょうか?

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【A】
 児童虐待やDV、高齢者虐待も嗜癖の一部と考えることができます。
 児童虐待では、被虐待児のその時点での支障も大きいですが、その後の精神発達上の後遺症はさらに大きな問題となります。人間が自立するには親やそれに代わる人からの一貫した、無条件の愛情が必要とされます。しかし児童虐待の虐待者の大半は、実母や実父です(児童の最もそばにいる者であることも影響しています)。つまり、被虐待児は発達課題をクリアするどころか、ケアをしてもらうはずの親から逆に虐げられ、人間としての尊厳を奪われていくのです。思春期になって解離性障害や不安障害(全般性不安やパニック障害、何らかの恐怖症等)、摂食障害、自傷行為や反社会的行為、嗜癖行動など、さまざまな精神医学的な問題を呈するようになります。そして、最初に体験した親との関係性は、無意識のうちに脳裏に焼き付けられ、本人の対人関係の原型(モデル)となっていきます。その結果、自分が親になると、自分が体験したまったく同じことを、今度は自分の子どもを相手に再現していくことになります。
 また、親同士(配偶者間)の暴力を目にしながら育った子どもは、同じことを自分の配偶者との間で繰り返しやすくなります。夫婦の関係性や価値観(強者が弱者を支配するという関係性、夫は妻を支配してよいという価値観)、暴力をもって問題解決するという対処法、暴力というコミュニケーションツールを、親から直接学習してしまうのです。そして、そうした子どもも虐待された子どもと同じように、精神発達的な問題(不適応行動や精神症状)を呈することになります。まさに、暴力の連鎖といえるでしょう。

出典:松下年子・吉岡幸子・小倉邦子編『事例から学ぶ アディクション・ナーシング―依存症・虐待・摂食障害などがある人への看護ケア』中央法規出版、2009年


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