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どうなる? 介護保険

2015年改定に向けた議論のスタート

 1月21日、午後6時から社会保障審議会介護保険部会(山崎泰彦・部会長 以下、部会)の第42回が開かれました。2011年11月24日に「社会保障・税一体改革における介護分野の制度見直しに関するこれまでの議論の整理」(2011年11月30日公表)をまとめて以来の開催です。
 原勝則・厚生労働省老健局長からは「2015年度の介護保険法改正、介護報酬改定の同時実施に向けて、社会保障制度改革国民会議と調整しながら具体的な方策について議論をお願いしたい」とあいさつがありました。
 なお、同日11時からは、首相官邸で社会保障制度改革国民会議(清家篤・会長 以下、国民会議)の第3回が開かれました。国民会議は、昨年11月から「消費税5%(13.4兆円程度)引き上げによる社会保障制度の安定財源」を社会保障4経費(年金、医療、介護、子育て)にどう使うのかを議論しています。3回目は「これまでの社会保障制度改革国民会議における主な議論」(資料3)が示され、「負担の引上げ、給付の削減」と「低所得者対策に公費を重点化」などの意見が示されています。

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新サービスは事業所指定、利用者数ともに伸び悩み
 部会では、厚生労働省老健局(以下、老健局)から「介護分野の最近の動向」(資料1)と「介護分野の課題」(資料2)の説明があり、出席した委員から質問と自由意見が出されました。
 「介護分野の最近の動向」では、地域密着型サービスに新設された定期巡回・随時対応サービスについて、第5期(2012~2014年度)介護保険事業計画(以下、計画)のなかで、2012年度は189保険者が事業所を指定し、6,000人の利用者を見込んだが、2012年11月時点で75保険者(計画の約4割)が125事業所を指定し、利用者は1,060人(計画の約2割)であることが報告されました。“地域包括ケア”を進める新サービスが低調な原因としては、市区町村(保険者)と事業者の理解、ケアマネジャーの認識が浅いとの指摘がありました。
 複合型サービスもまた、地域密着型サービスに新設されたサービスですが、2012年度計画では事業所指定は109保険者、利用者2,000人と見込まれますが、2012年11月時点で22保険者(計画の約2割)が21事業所を指定し、利用者414人(計画の約2割)であることが報告されました。
 ちなみに、定期巡回・随時対応サービスについては1月17日、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が「アンケート結果からみる定期巡回・随時対応サービス(暫定集計値)」(2012年度厚生労働省老人保健健康増進等推進事業)を公表しています。
 本報告は5月に予定されていますが、「看護職員による訪問頻度は、月1回程度」、「コールは、週単位で数回程度」、「実際の訪問に至るケースは、地域提供型では1回程度」、「ほとんどの参入事業所が、本サービスを夜間、深夜の対応が中心とは考えていない」、「参入事業所では、軽度者には不向きなサービスと理解する傾向は低い」などの報告があります。

“地域包括ケア”の方向性は、「提供体制」・「認知症対応」・「マンパワー」
 老健局が部会に提出した「介護分野の課題」では、表にまとめたように、「I.地域包括ケアシステムの構築」「II.介護保険制度の持続可能性の確保」に分けて、“現状と課題”のほか、“今後の方向性”が示されています。
 「I.地域包括ケアシステムの構築」では、(1)介護サービス提供体制の充実、(2)認知症対応の推進、(3)マンパワーの増強、の3点が挙げられています。
(1)の“今後の方向性”は、2012年改定で「実施した取組み」(定期巡回・随時対応サービスの新設、サービス付き高齢者向け住宅の制度化、退院時・入院時の医療・介護の連携強化など)の「着実な普及・拡充」です。
(2)の“今後の方向性”は、「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」(2013~2017年度)にもとづく施策の早期、包括的な推進です。
(3)の“今後の方向性”は、「一体改革の中で必要な財源を確保」して介護職員の処遇の更なる改善に取り組む、キャリアパスの確立に向けた取り組みを進めるとあります。

“持続可能性”の方向性は、「重点化・効率化」と「被保険者負担の再検討」
 「II.介護保険制度の持続可能性の確保」では、(1)介護給付(保健医療サービス及び福祉サービス)の重点化・効率化、(2)世代間・世代内の負担の公平性の観点に立った制度の見直し、の2点が挙げられています。
 (1)の“今後の方向性”では、“軽度者”への介護予防サービスの見直し、介護施設の“重点化”、自立支援型ケアマネジメントの実現に向けた制度的対応、の3点が検討事項となっています。
 (2)の“今後の方向性”では、介護保険料の“低所得者”軽減強化、第2号介護保険料(介護納付金)の総報酬割導入、利用者負担の在り方、の3点が検討事項です。

国民会議は「重点化・効率化に骨太の方針を示す」
 介護保険制度と高齢者医療制度を「一体として議論すべき」とする国民会議は、2013年8月21日の設置期限までに議論をまとめる予定です。
 介護保険制度に関わる国民会議の“主な議論”は、次のようになります。
・介護の重点化・効率化について、骨太の方針を示す
・一定以上所得者の自己負担の議論を進める
・一定以上所得者の給付の見直しは制度横断的に検討
・拠出金に総報酬割を導入
 また、「同じ要介護度でも高所得者の方が裁量的に保険給付を多く受けているのであれば不公平ではないか」という感想的な意見も付されています。
 部会では、老健局から「国民会議との役割分担ははっきりしていないが、具体的な制度設計については部会でご議論いただくことになる」との説明がありました。
 国民会議と部会で使われる「重点化」、「効率化」、「機能強化」、「一定以上所得者」、「骨太の方針」などの具体的な意味を確認しつつ、急展開しそうな“具体的な制度設計”の議論を注視したいと思います。

表1 「介護分野の課題」
介護分野の課題 
Ⅰ.地域包括ケアシステムの構築今後の方向性
 1.介護サービス提供体制の充実2012年度に実施した取組みの着実な普及・拡充
  定期巡回・随時対応サービス
  サービス付き高齢者向け住宅の制度化
  退院時・入院時の医療・介護の連携強化等
 2.認知症対応の推進「認知症施策推進5か年計画」にもとづく
施策の早期、包括的推進
 3.マンパワーの増強介護に必要な労働力の安定的な確保
  介護職員の処遇の更なる改善
  キャリアパスの確立に向けた取組の推進
Ⅱ.介護保険制度の持続可能性の確保今後の方向性
 1.介護サービスの重点化・効率化介護予防サービスの内容・方法の見直し
 介護施設の重点化(在宅への移行)
 自立支援型ケアマジメント実現に向けた制度的対応
 2.世代間・世代内の
 負担の公平性の観点に立った
 制度の見直し
介護保険料の低所得者軽減強化
 第2号介護保険料(介護納付金)の総報酬割導入
 利用料の見直し
  一定所得以上の利用者負担の在り方
  補足給付における資産の勘案
  多床室の給付範囲
第42回社会保障審議会介護保険部会(2013.01.21)資料2より

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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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