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どうなる? 介護保険

2012年度予算案と介護保険の関係

 本日25日、社会保障審議会介護給付費分科会(座長:大森彌・東京大学名誉教授 以下、分科会)の第88回に、小宮山洋子厚生労働大臣の名前で、介護サービスの値段である介護報酬の具体的な改定内容について諮問(「これでいいですか?」という質問)が出されました。詳しい内容は夕方、厚生労働省ホームページの第88回資料で公表されましたので、チェックしてください。

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分科会の様子

 これに先立ち、19日から2日間、全国厚生労働関係部局長会議(参加対象:都道府県、政令指定都市、中核市)が開かれ、介護保険を担当する老健局は「2012(平成24)年度老人保健福祉関係予算(案)の概要」(2012年度予算案2兆4273億円)にもとづく予算の使い方について説明を行いました。

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国の負担はサービスと整備に分かれる
 予算案の内容は、「概要」と老健局説明資料で分類や名称が異なり、わかりづらいものです。まずは「安定的な介護保険制度の運営」として予算案2兆4273億円が示されていますが、おおまかな内容は次のとおりです。
(1)介護保険サービスの国庫負担 2兆3392億円
  1.介護給付費負担金(施設等分15%、その他分20%) 1兆4686億円
  2.調整交付金 4125億円
  3.2号保険料国庫負担金 4580億円
(2)地域支援事業の国庫負担 642億円
  1.地域ケア多職種協働推進等事業(新規) 7.7億円
  2.認知症を有する人の暮らしを守るための施策の推進 29億円
  3.ねんりんピック宮城・仙台大会への支援 2.1億円
(3)介護基盤整備の国庫負担 57億円
 在宅医療・介護の推進(実施拠点となる基盤の整備)(新規) 57億円の内数
  都市型軽費老人ホーム等の整備 57億円の内数
(4)その他の国庫負担 144億円
  1.介護サービス情報の公表制度の着実な実施 3.3億円
  2.福祉用具・介護ロボットの実用化の支援 8300万円
  3.市町村介護予防強化推進事業(新規) 2.8億円
   訪問型介護予防プログラム開発、マニュアル提示
  4.要介護認定の認定調査員への研修 9500万円
  5.介護保険総合データベースの構築 2.1億円
   要介護認定情報、介護給付費明細書等情報の統合
  6.低所得者への配慮(社会福祉法人による利用者負担軽減措置) 12億円
  7.訪問看護の充実(訪問看護支援事業) 2.2億円

重点的に使われるのは…
 厚生労働省で介護保険制度を担当する老健局の全国厚生労働関係部局長会議資料は、「重点事項説明資料」(プレゼン資料1プレゼン資料2)と本資料(詳細資料1~7)に分かれています。ポイントになっているのは「介護施設等の整備について」です。
(1)介護基盤緊急整備等臨時特例基金の1年延長
 「介護基盤の緊急整備」(2009~11年度)で特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホーム、小規模多機能型居宅介護など16万床の整備目標を立てたが、2011年度末の整備見込みが約14万床(執行見込み約8割)のため、実施期間を1年延長する。
(2)介護基盤緊急整備等臨時特例基金の追加メニュー
 1.定期巡回・随時対応サービス(地域密着型サービス)事業所の整備
  2012年度単価(案) 1施設あたり500万円
 2.複合型サービス(地域密着型サービス)事業所の整備
  2012年度単価(案) 1施設あたり2000万円
(3)地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金の追加メニュー
 1.小規模養護老人ホーム(定員29人以下)の整備
  2012年度単価(案) 1床あたり200万円
  ※ハード交付金=地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金
   ソフト交付金=地域介護・福祉空間整備推進交付金
(4)2012年度の改善事業
 1.療養病床の転換促進(介護療養型医療施設等転換整備事業)
  交付単価の改善
   創設した場合 1床あたり130万円→170万円(40万円増)
   改築した場合 1床あたり160万円→210万円(50万円増)
   改修した場合 1床あたり65万円→85万円(20万円増)
(5)被災地復旧・復興事業
 1.地域支え合い体制づくり事業(被災者生活支援等)
  2011年度第三次補正予算 約90億円

21項目の「連絡事項」
 なお、全国厚生労働関係部局長会議資料には、「連絡事項」として下記の21項目(70ページ)が掲載されています。
(1)介護保険制度における指導監督
(2)地域包括ケアシステム(社会保障・税一体改革における介護の将来像)を踏まえた第5期介護保険事業計画の実施
(3)住民基本台帳法の改正による介護保険の被保険者資格等の取扱い(案)
(4)介護給付の適正化(介護給付費適正化推進特別事業 2012年度予算額(案)7億5200万円)
(5)地域介護・福祉空間整備等交付金等
(6)低所得高齢者の住まい対策(養護老人ホーム・軽費老人ホーム)
(7)ユニット型及びユニット型以外の施設を併設する施設
(8)介護サービス事業者及び介護保険施設の指定基準の条例委任
(9)大都市特例の施行
(10)有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅等に係る事務の適切な実施
(11)介護施設等における感染対策・防災対策等
(12)介護施設等の災害復旧
(13)認知症施策の推進
(14)高齢者虐待防止対策の推進
(15)地域包括支援センターの適正な運営
(16)介護職員初任者研修(仮称)
(17)介護サービス情報の公表制度
(18)地域支え合い体制づくり事業
(19)要介護認定
(20)介護予防事業
(21)介護予防・日常生活支援総合事業

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本連載では、介護保険制度にまつわる皆さんの質問や疑問を受け付けています。制度改正のポイントや利用者・家族、介護職員などへの影響について具体的に知りたいなど、何でも結構です。
ご質問、お待ちしています。


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プロフィール
小竹 雅子(おだけ まさこ)
市民福祉情報オフィス・ハスカップ主宰。「障害児を普通学校へ・全国連絡会」「市 民福祉サポートセンター」などを経て、2003 年から現在の活動に。著書に岩波ブックレット『介護認定介護保険サービス、利用するには』(09 年11月)、『介護保険Q&A 第2版』(09年5月)、『こう変わる!介護保険』(06年2月)などがある。
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