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和田行男の「婆さんとともに」

何事も「課題化」できれば財産

 トイレ介助中もトイレの扉を開けてトイレの外の様子に耳を傾けて、常に婆さんの行動を把握するべきか否か。
 先週、濱畑さんからいただいたコメントですが、皆さんはどう考えられましたか。
 僕は求められるご指導なんてできませんが、一緒に考えてみたいと思います。

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 まもなく届くはず…おいしそうでしょ。

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 コメントを何度か読み返してみました。
 Aさんが玄関を出てポーチを掃き掃除したことが何で事故なのかなぁ。
 把握できてないからって言うのなら、転倒の可能性のある人が居室にひとりでいること事態が「事故」や「ヒヤリ」になるんと違うかなぁ。
 しかも、玄関に出る直前のAさんの行動を把握したのは事務所にいた施設長なら、100歩譲っても事故報告書を書くのは施設長ってことにならないのかなぁ。
 トイレの扉を開けてでも把握するべきって言うのなら、婆さんが入室した居室の扉も閉めないのかなぁ。グループホームやから完全に個室やもんね。
 職員は自分の排せつのときもトイレの扉を開けておくんやろか???。

 何度も読ませてもらって感じたことは、このグループホームは、入居者が「自分の意思を行動にうつす」ことを支えるという基本的な考え方に立って運営しているんだろうなってことです。
 Aさんが「掃きたい」というのを支援しているし、玄関に施錠はされておらず、出入りをチャイムで確認できるようにもしている。
 ひと言で言えば、介護保険法目的に謳う「尊厳の保持」を追求しているグループホームっていうことですが、そのこととトイレ介助中も扉を開けているってことが、どうも結びつきにくいし、そもそもこのグループホームが目指す支援をしていると「ヒヤリ」の連続でしょうから、それを一つひとつヒヤリハットとして意味ある記録にしていたら、時間がいくらあっても足りなくなるだろうなぁって思いました。記録を書いている時間中に見えないヒヤリが起こるか超過勤務だらけなんやろうなぁって。
 僕は、このことに限らず「リスク対策」で思うのは、事故が起こってその報告を責任者に聞くと、事故のリアル状況は語れるし、その場における事故原因は予測も含めてできたとしても、そこへ至るまでの過去の状況に立ち返って原因を分析していくっていうことが弱いなぁって。
 この場面で言えば、「施設長、Aさんお願いします」とか「和田、トイレに行きますので、よろしく」とか「隣のユニットの人に、Aさんお願いします」といったように、職員間の声の掛け合いはあるのかなぁってことですね。
 もっと遡れば、そもそもこのグループホームでは、複数ユニットの入居者を施設長も含めて、すべての職員で支援するという考え方に基づいた運営になっているのか、「尊厳の具象化」や「その啓蒙」がどこまでできているかってことですね。
 このコメント以外のことで言えば、転倒事故なんかでも、その事故に至るまで「何をしてきたか」ってことを問わないで「そのときがどうだったか」ってことだけを考えてしまうってことです。
 わかりやすく言えば、転びやすい身体になるまで放置しておいて、そのことには目も向けず、転んだときのことだけを語り合うってことになってやしないかってことです。
 濱畑さん、「どんなときに事故扱いになるか」なんていうことに神経を尖らせないで、Aさんの行動を制限しないでAさんのリスクをヘッジするために「自分たちが気づけていないことはないか」っていうことに目を向け、仲間のグループホーム職員等にお願いしてチェックするなど、このことを「課題化」して取り組んでいくことにエネルギーを使ったほうが、入居者にとっても職員にとっても良いのではないでしょうか。
 もっと言えば、そもそも自分たちは「なぜ施錠をしないのか」「なぜAさんの掃きたい意思を大事にしているのか」ってことをみんなで話し合ってみてはどうでしょうか。
 濱畑さんの言動について、間違っているか間違っていないかジャッジするエネルギーを、これを良い機会ととらえ、チーム力を上げていくために使われたほうが良いのではないでしょうか。
 僕は、何度も読ませていただいて、そう思いました。
 もう一点は、僕の理解力でも「簡潔にわかりやすくその場面を描けるように書ける力」を磨いていただければありがたいなぁって思いました。何度も読ませてもらったのは、わかりにくかったからで、す。ハハハ、すみません。
 実名(?)でありがとうございました。これからもよろしくお願いします。反論をお待ちしています。

パブリカ近況
 僕の愛車パブちゃんは、昨年の11月に500キロの長旅から戻った特後エンジンがかからなくなってしまいましたが、予想どおりスターターモーターが故障していたことが判明。
それを自宅まで電気屋さんに出張修理に来てもらって、スターターモーターは完治したのですが、今度はスターターモーターの取り付け作業時にガソリンを送り込む電磁ポンプが故障。修理の依頼が遅くなってしまったため、故障から故障の時差もなく連続二か月近くお休み。クルマもバカンスをとるんですね。ハハハ
 それよりも出張修理っていうのがステキでしょ。さすが、町工場上がりのパブちゃんです。

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 写真は、僕の手元に来る前、町工場で仕上がり寸前のパブちゃん。手前は部品取り用に町工場の大将が買ってくれたパブリカです。
 この光景は、昭和そのものですね。
 パブリカは昭和40年代初頭、国民の所得が上がりだし、庶民にとって「車も夢じゃない」ってときの国民車でした。僕の車はその二代目の「洒落グルマ」です。


コメント


ご指導ありがとうございました。職員間の声かけができていないとカンフアレンスの時の一番の議題でした。ユニット職員2人で仕事をすることが多く、Aさんが床を履きたいと言われ箒を渡し、Aさんとシルバーさんと私が食堂に居り、そして、私は介助に行き、シルバーさんはAさんが事務所に行ったと思い、その後の行動になりました。事務所にもう1人の職員が居ることはわかっていました。トイレ介助に行く前に、離れたところにいるもう1人の職員に声をかけに行ってから、介助に行くべきであるという結論でした。そんなにバタバタ行ったり来たりしてまで、介助に行くことを伝えなければならないのか、見かけた職員が対応してくれればいいのではないか、グループホームでもありAさん本人の掃きたい行動を優先すればもっと自由にして、事務所に居た職員が一緒に行動してもいいのではないか、以前のこと玄関さえ出なければ行動を把握していなくてもヒヤリにもならないのはなぜか、両ユニットの職員で協力して見守ることはできないか皆さんに話してみました。結局私の考え方が理解できないと言われ、私の考えが間違っているのかと悩みました。ご指導いただき、私もいつもは側に居る職員には何処へ行くと声は掛け合っていましたが、離れたところの職員には声をかけていませんでしたので気をつけて行きたいと思いました。職場の職員に理解を求めようとすると、いつも噛み合わず、すぐに施設長の長い指導の言葉で消えてしまい、一人いつも浮いています。余計なことは言わないがいいよと他の人に言われてしまう始末です。私ももう年齢が58歳です。これからは、地味に自分の気持ちに正直に、でも静かに利用者さんにはきちんと個人ケアに努めて行こうと思いました。先生の3冊の本を読ませていただき、今回勇気を出して質問ができたことがすごく救われました。私のささやかな夢は、定年退職後、宝くじに当たったら先生のようなグループホームを開設したいことですが無理だろうけど、利用者さんに対する気持ちは大切に信念を貫き勤めていきたいと思っています。また、先生の本を待っています。昨年は研修会でお話もたくさん聞かせていただきました。またチャンスがあることを願っています。ブログも楽しませていただきます。本当にありがとうございました。


投稿者: 濱畑洋子 | 2014年01月14日 23:13

今更ながら、明けましておめでとうございます。昨年10月にグループホームをオープンし、何とか3ヶ月半無事?に過ごしています。IH調理も「これ、火が消えてるじゃない!」と、怒られながらも、大きなお腹をキッチンにもたれさせ、火事になることなくこなしていただいております。ピューラーで指をザックリ!それでも台所仕事は止められないようで、ゴム手袋をはめていただくのにまた喧嘩!そんな日々です。気持ちの合わない新社員が2人辞めていってしまいました・・・。それにより半月に夜勤4回は結構キツイものですね~。その辛さから、情けないことに、今までは富士山のてっぺんで旗を振りまくっていたのですが、最近は2~3合目で小さな旗を振っている自分が居ます。とっても情けなくて、悔しいです。でも、職員が辞めると辛くて苦しいです。福祉の仕事一筋20年、これが現実なんですね~。でも、コメント欄に打ち込む事が出来る位の心の余裕は出来て来ました。また今度ゆっくりと色々と質問させていただきますので、今年も宜しくお願い致します。


投稿者: 稲毛のマウンテン | 2014年01月17日 11:43

追伸・自分が生まれた時に、父親が乗っていた車が、白のパブリカでした。時代を感じますね~。


投稿者: 稲毛のマウンテン | 2014年01月17日 11:56

トイレの扉 居室のとびら

考えさせられます。

話は変わりますが、トイレ扉が無く、扉のかわりにカーテンになっている施設が多いなあと感じます。
トイレには扉ではなく、カーテンを使用するのが介護の常識なのかと切なく感じます。ただ嘆いていても仕方ないので、なかまを増やして、扉に変更できるようにしていきたいです。


投稿者: たけちゃん | 2014年01月19日 12:58

初めまして
NHKのプロフェッショナルを録画していたのを忘れ、最近見ました(^_^;)

長い間、介護福祉士として仕事していましたが、マニュアル的な業務、人間関係に疲れ、介護士としての自信を無くしていたので、初心を思い出させてくれました。

自分がやりたいケアとは、どんなものだったのか、考え直すきっかけになりました。
ありがとうございます


投稿者: 沖縄の杉ちゃん | 2014年01月23日 19:31

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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