ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
和田行男の「婆さんとともに」

目的は手段を正当化させる

ホテルで夜中に映画を観るのが、僕のひとつの楽しみ。特に任侠映画が大好きなのだが、いろんな関係だろう、任侠映画はホント少なくなった。
任侠映画の中に日本人の文化が詰まっているし、仕事に生かせることやヒントがいっぱいあると思って見てきただけに残念でならない。
 先日見たのは、古い戦争もの。ベトナム戦争を反戦的に描いた映画だったが、そこに登場する軍曹のセリフに「目的は手段を正当化させる」というのがあり、こころにとまった。

wada2013122301.gif
仙台「光のページェント」。確かに光は美しかったが…

続きを読む

 一人暮らしの認知症という状態にあるおよねさん(仮名)。火の不始末が目につくようになり、隣人の人たちは気が気じゃない。
 関わりのあるケアマネさんや役人に対して「危ないからどこか施設にでも入れてくれ」…。
 認知症=何をしでかすかわからない=被害を被る=隔離する・自分の傍からいなくさせる。
隣人の側から考えれば理屈は間違っていないように思うが、隣人にとって安心できるようにする=およねさんを施設に放り込むというのは、目的のためなら手段は「およねさんの気持ちや意思はどうでもいい」ということにならないか。

 グループホームに入居しているおはつさん(仮名)。依存的で動けるのに動こうとしない。
 このままじゃ動けなくなり(廃用)、おはつさんにとって良くないと考えた職員が「ごはんづくりに参加しないとご飯がないよ」と言ったら動くようになった。
 その言葉を聞いていた他の職員も、それで動き出したおはつさんを見て効果的だと考え、みんなが 同じような言葉をかけだした。そう、別の事業所の職員から「それって虐待じゃないか」と言われるまで。
 職員は「おはつさんのためを思って使った言葉」というのだが、「動く動機になるなら脅し文句でも良い」ということにならないか。

 行政の実地指導は、行政と事業者が共に市民にとって「よりよい事業」にするためにある。
 真摯に行政の実地指導を受け、必要に応じて改善していくのは、公金を使って公的目的のために事業を営む者として当たり前のことである。
 ところが行政の実地指導に一貫性があるとは限らず、ひどい時は真逆のことを同じ行政から言われたりすることもある。
 行政の指導内容が変更になったときは、きちんと事業者にその旨を説明(周知徹底)し、「これまではこのように考えてきましたが、今後はこのようにしていきたい」と内容変更や内容追加について説明をするのも行政の仕事のはず。
 よりよい事業にするためなら、自分たちの落ち度を認めることもなく、お上の権限だとばかりに事業者に一方通行的に指導だけをするっていうのは、お上は何をやっても許されると思っているのかと疑いたくなる。

 これまでにも聞いた言葉ではあるが「目的のために手段を正当化する」のは身近によくあることだ。 しかも、誰にでもみられることとも思えるほど一般的なことではないかと思うが、「常に正当化してやしないか」を自問していかないと、平気で人を殺すような人間にされてしまうことを戦争映画は教えてくれた気がした。
 つまり「酷いこと」をしでかすのは特別な人ではないということだ。肝に命じていきたい。

追伸
 ダウンジャケットの下にトレーナーを着ていた。昼飯を食いにでかけるためトレーナーのチャックをして、ダウンのチャックをしてと、密封状態をつくって出かけようと思い、チャックをした。
 僕の中では、トレーナーのチャックはできたので、次はダウンジャケットとばかりに、ダウンの右側の服地をもってチャックしようとするのに、相棒である左側の服地がないのだ???????????。
 なんと、トレーナーのチャックをするときにトレーナー右側の相棒にダウンの左側のチャックを入れてしまったようで、しかもそれが何の違和感もなくハマったので、写真のような格好になってしまった。
 こんなことが起こるんやね。よくぞチャックがハマったもんで。僕的には、新しいファッションって感じでokですがね。周りもなかなかステキですよって言ってくれてたしねハハハ

wada2013122302.gif
京都駅。コーヒー片手に見上げれば“クリスマス”でした

wada2013122303.gif


コメント


今晩は( ^ω^ )お久しぶりですm(_ _)m
和田さんのお話、当たり前の事やけど、この当たり前の感覚がなぜか出来てなくて、ハッとします。
正当化…そうですよね。正当化で物事決めてる事、たくさんあると思います。
人間としたら当たり前!?なんかもしれないですけど、何か汚いなって思ってしまいます。
そうゆう自分も、知らず知らず色んな事を正当化してるんやろーなぁ…と反省します。

ファスナーのファッション、イケてると思いますU^ェ^U


投稿者: つくし | 2013年12月29日 18:38

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

【ブログ発!書籍のご案内】
new!
和田行男さんのブログ発第2弾『認知症開花支援』が刊行されました。前作『認知症になる僕たちへ』から2年半――。パワーアップした和田行男のメッセージにご期待ください。
定価:¥1,680円(税込)、10月20刊行
→電子ブックで内容見本をご覧いただくことができます
→ご注文はe-booksから
wadaprof3.jpg

和田行男さんのブログ「婆さんとともに」をまとめた書籍が刊行されました。
タイトル:『認知症になる僕たちへ』
著者:和田行男
定価:¥1,470(税込)
発行:中央法規
→ご注文はe-booksから
wadaprof2.jpg

メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books