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和田行男の「婆さんとともに」

ちびっこ編成風に学ぶ

 入居者同士のケンカやいじめ。
 これに対する質問もよくいただくが、こんなところからヒントをもらってはどうか。

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 行政主催の「認知症になる私たちへ」ってお題の市民講演会ってステキでしょ。センスの良さを感じました。並んでいる人たちは劇を公演中です。皆さんの普段の関係の良さを感じました。無断で掲載してごめんなさいね。

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 グループホーム入居者Aさんに、他の入居者からバッシングがある。Aさんがとんちんかんなことをするために起こることなのだが、職員さんが状況を読んで先手を打てるようになれば防げるし、なくせることであったとしても、まだ後手にまわっているようで、トラブルまがいのことが起きてしまうし、起きたことに対してどうにも手がつけられなく放置してしまっていることもあるようだ。
 あるときもそんなことが起こったが、その場に入った2歳8か月のちびっこは、一瞬にして場の風を変えてしまったのだ。
 いざこざが起こっているリビングにちびっこを投入すると、いじめていた婆さんもそんなことは吹っ飛び、目と口と耳と手と足、そして心も気持も、すべてがちびっこに注がれた。
 ふだん耳の聞こえの悪い婆さんが、ちびっこのかすれるような小声「みかん、ほちい~」をすかさず聞きとり、みかんを探し回って見つけ出し、すり寄る有り様。ちびっこ得意の流し瞳と照れ笑いに婆さんたち、クギづけにされたようだ。
 この話を面白がったり感心するだけではもったいない。
 ちびっこのように一瞬にして風向きを変える「わざ」が、職業人である介護職員には必要である。
 これは認知症ケアなんていう話ではない。人を知っていれば誰にでも風向きを変えることなんてことはできることだ。
 瞬間最大風速を自在に調節できるようになると、もっと楽に場を変えられるようになる。
 まったく知らないグループホームに行かせてもらった時、あまりに入居者が澱んでいたのでご当地の民謡をいきなり歌ってみたら、あれよあれよという間に宴の場に変わった。
 自分たち自身の経験の中から、あるできごとで、それまでの場が変わった経験談を持ち寄って話し合ってみるとよい。大切なキーワードとたくさんの手立てのヒントが見つかることだろう。
 デイサービスやグループホーム・特養など、人が集まる場につきものの人と人の関係も、その人たちを取り巻く環境の中で起こっていることを知れば、環境を提供している自分たちの仕事が見えてくる。
 AさんとBさんの仲が悪いとか、Cさんのことをいじめるとか、Dさんがこうだからと入居者の責にする前に、入居者同士の関係をまとめる(編成)風を吹かせられるのは、婆さんではなく僕ら支援者であると認識することである。
 風を吹かせることは、僕らの重要な仕事なのだ。

追伸
 お好み焼屋のママさんが体調を崩して長らく休んでいたのですが復帰してこられました。長生きすると、行きつけの店が次々となくなり、代替わりして淋しい思いをします。
 そのお好み焼屋のお客さん。
 和田さんが出ていたNHKスペシャルを見て「私も老後に備えて介護の仕事をしようかな」と言ってくれたようで、とても嬉しくなり「今職員さんを求めてるから、連絡先を聞いといて」と言うと、としは80歳だとか。その方にとってまだ老後は先のようで頼もしい限りです。
 そんな高齢者がたくさんいる超高齢社会日本ってステキやんな。見習わねばです。

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北海道は真冬でしたが霧島のお山は晩秋でした。日本は長い!


コメント


霧島へいらしたのですか・・・。残念。お話聞ける機会があったらぜひぜひ伺いたい。霧島も素敵だけど大隅半島も素敵ですよー!!


投稿者: みさきーずママ | 2013年12月13日 17:44

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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