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和田行男の「婆さんとともに」

あかりともす仕事を

 自分の意思とは無関係にショートステイを利用させられたとめさん(仮名)に、重ねてお先が真っ暗になるような、とんでもないことが起こりかけた。

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 とめさんが、ショートステイ利用中の夜中に騒ぎ出した。
 ショートステイ施設の職員は手に負えなくなり、地域の基幹的な病院に受診したところ、医師から「これは精神科を受診したほうがいい」と言われ、精神科へ受診。
 たまたま受診した精神科の医師が、とめさんにかかわっていたのが地域の認知症サポート医だということに気づき、その認知症サポート医に回した。
 ここまでの話なら「医療のたらい回しか」と医療に矛先が向きそうだが、そうではない。
 サポート医は、とめさんの状態を聞いてすぐに「これは単なる体調不良」と推測し、別の施設に入所させて様子をみることにした。
 結果的には「脱水→便秘→騒いでいた」という単なる生活リズムの変調によるものだったことが判明した。

 この話を聞いて、皆さんはどう思いましたか。
 僕は、とめさんのように認知症という状態にある人が騒ぐと、この施設のように「すぐにお手上げ」しがちですが、その行きつく先が精神科受診になることの怖さを感じたし、実はそれが例外的なことではなく、一般的にどこでもあることなのではないかと思ってしまいました。
 また、介護事業者は市民から専門職集団だと思われていると思うのですが、実はその人のことをしっかり把握しようともしない素人集団になっていることに愕然としましたし、基幹的な病院の医師でさえ「体調」や「生活の様子」といったことを把握することもなく、「認知症の人→騒ぐという報告→精神科受診」の図式になっていることへの驚きと怖さを感じました。
 それと同時に、僕の関係する施設の職員たちが素人集団で留まらないように、素人集団に落ちないように研鑽していかないと「単なる水分が不足している状態の人」を「精神科受診が必要な状態の人」にしてしまいかねません。そんな職員集団にならないようにする責任も感じました。
 僕らの仕事は「なんでもないようなこと」を「とんでもないこと」にするのではなく、「とんでもないようなこと」さえも「なんでもないようなこと」のように映らせるあかりをともすこと。
 先のブログにも書きましたが、これも「ケアの副作用」です。しっかり取り組みましょう。

追伸
 写真は手のひらにのっけたホタルのあかりです。今年は例年になくたくさん舞っていました。





【お知らせ1】

平成25年度庄原市委託事業
第12回認知症介護予防講座
【日時】2013年7月27日(土)13時~16時
【会場】広島県庄原市民会館
【主催】医療法人社団聖仁会(広島県庄原市)
【内容】
講演
 ~認知症の人と共に暮らす~ 池田学氏(熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学分野:神経精神科教授)
対談
 池田学氏・和田行男

 池田さんは認知症の研究・臨床・地域活動の第一人者で、NHKテレビでご一緒させてもらって以降、「友人」にさせてもらっていますが、超多忙な方で、なかなか講演を聞けない方です。
 ものすごくわかりやすく認知症や支え方を説いてくれます。
 遠方で不便な場所ではありますが、ぜひ聞きにきてください。僕とのやりとりは、僕が言うのもなんですが「絶品」ですよ。(笑)




【お知らせ2】

NHKDVD
プロフェッショナル 仕事の流儀
介護福祉士 和田行男の仕事
闘う介護、覚悟の現場

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介護の仕方によっては“普通に生きる姿”を続けられると、先駆的な取り組みを続けてきた和田行男。和田の施設では、自分でできることは自分でするのがルール。リスクもあるが、認知症の度合いや身体能力などを見極めながらできる限り“普通の暮らし”を維持できるよう奮闘し続ける姿を追う。
(2012年6月25日 NHK総合で放送)

2013年8月23日発売。
税込価格3,675円  DVD全1枚 本編収録時間47分
http://www.nhk-ep.com/shop/commodity_param/ctc/+/shc/0/cmc/18786AA/


コメント


今回のブログ、なんか違うと感じました。2,3度読むうちに、中段以降が、「そうか、ですます調」になってるんだと。
「〇〇しました」と繰り返している和田さんは、僕のイメージの中の「和田さんらしくない」ということになります。勝手ですいませんが…。きっと何か企みがあるのかとこれまた勝手に想像します。
「ケアの副作用」かなり気になっている言葉です。プラスの副作用より、マイナスの副作用が絶対的に多いですよね。副作用はできればない方がいいですもんね。


投稿者: ICHI | 2013年06月18日 13:12

この記事を読んで、ある特養を思いだしました。
Aさん、入所した当日の夜、自室(ユニットだったので個室)で箪笥を動かしたり、眠らすに色々と模様替えをしたのです。
すると次の日には、自室から箪笥などが消え、ベッドだけになりました。
素早い(?)対応に驚かされました。
Aさんの不眠は続きました。日中も落ち着きません。当然です。
そして向精神薬が投与されました。増量したり薬を変えたり・・・。「薬の調整」と一時入院もしました。(というよりさせられました)
その後、ユニットに戻ってきましたが、不眠も続きました。
その後、認知症専門の病院を受診することになったのです。その病院へ持っていく書類を見て腰が抜けました。
「夜、眠るようにしてほしい」と書いてあったのです。
その病院では「そちらの対応でもう少し頑張ってみなさい」というようなことを言われたとかで、眠剤の処方はなかったと、付き添ったスタッフが憤慨して報告しておりました。

そこのスタッフは、ほとんどが介護福祉士です。
介護のプロであるはずのスタッフが安易に「薬を飲んだらおとなしくなる」と考えている現状に愕然としました。
彼らは介護福祉士となるために、何を学んだのか…と疑問を抱かずにいられませんでした。


投稿者: Y.U | 2013年06月19日 09:13

和田さんのプロフェッショナルをテレビで拝見して、和田さんのブログに出会い、介護職に復帰…本当に良かったと思います。


投稿者: わたる | 2013年06月20日 01:37

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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和田行男さんのブログ発第2弾『認知症開花支援』が刊行されました。前作『認知症になる僕たちへ』から2年半――。パワーアップした和田行男のメッセージにご期待ください。
定価:¥1,680円(税込)、10月20刊行
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タイトル:『認知症になる僕たちへ』
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定価:¥1,470(税込)
発行:中央法規
→ご注文はe-booksから
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