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和田行男の「婆さんとともに」

懐の深さを生む相棒へ

 小規模多機能型居宅介護を利用して、何とかかんとか自宅生活を続けられている認知症という状態にある利用者の脳の状態を診てもらいに公立の大学病院に受診したら「精神科の病院への入院をすすめられた」という話を聞いた。

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 その利用者は家族と同居しており、小規模多機能型居宅介護で、毎日の「通いサービス」と週に何日かの「宿泊サービス」を利用し、いろいろあっても何とか自宅生活を続けてこられた。
 利用当初は、何度も「帰らなくっちゃ」と言われていたが、職員の対応が上手になり、途中から宿泊サービスを試み出し、今では宿泊も定期的に利用できるようになり、家族としてもこのまま何とか自宅でと願っている。
 でも、そうは言っても「気になるところが増えてきた」ので、脳の状態を診てもらって、現状を知った上で支援していこうということになり受診した。
 ところが、付き添った職員が、利用開始から現在に至るまでの状態を医師に話したところ、医師からは「もう認知症の進行が中度から重度にさしかかっている。薬も今がベストだから、これ以上の治療は精神科でしかできないため、家族や施設が希望するなら精神科に入院させるのが一番いい」と言われたようだ。
 職員が「家族は小規模多機能型居宅介護を利用しながら自宅生活を希望している」と言うと、「懐の深い施設ですね。なかなかこういう方は受け入れてもらえないですよ」って。
 おそらく、こういった話の展開は日本中で起こっていることで、こうして精神科に入院させられている婆さんがたくさんいることだろう。
 僕は、この医者にとやかく言いたいわけではない。
 その医者の言うとおり「介護事業者の懐が浅い」という実態があるのも事実だろうし、そのことと「精神科に入院」が結びつけるしかない実態があるのも確かだろう。
 だからこそ、国民に対して公的な仕事をしているはずの介護事業者・従事者と公立病院・従事者が、国がすすめる「認知症になっても市民生活を送ることがきる社会」施策に基づいた仕事をし切れていないことに、おこがましいが歯がゆさを感じるのだ。
 この医者に対しては、家族がどう願っているのか、それを事業者がどう応援しようとしているのかの確認もなく「重度化してきているから精神科への入院を」はおかしいと思ったし、医師がそう言えば「そうなのかな」と、家族や介護職員に「圧」が加わることも腹にすえて発言してほしいとも思った。
 さらに言えば、「精神科でもどこでも入院させてくれ!」と言ってきた家族や事業者に対して、「こうすればまだ自宅での生活を支えることは可能なのでは」と医師の専門性からアドバイスしたり、懐の浅い事業者にカツを入れるのも、少なくとも公務として医療に取り組んでいる者の社会的使命ではないかと疑問も感じた。
 そんなこんな疑問を感じた医者の言葉だが、それ以上に「医療と介護」が国民に対して何をしていくのかという「現場レベルまで浸透した方向感」が定まっていないことが、介護事業者や医療従事者の懐を浅くしてしまっているのではないかと思った。逆にいえば、医師を中心とした医療職という生活支援の専門職と介護という生活支援にたずさわる専門職が「生活支援タッグ」を組めば「懐の深さ」を生み、国民生活を支える最強コンビになれると確信をもてた「医者の言葉」でもあった。
 そのために何をすべきか。
 それを、それぞれの地域で主体的に考え語り合い共に行動することが必要であり、それこそ国が描く「地域包括ケア」なのでは。
 そうは言っても、公立病院や民間大病院の医師に対しては、行政が責任をもって語ってくれないと、僕らからでは距離が遠すぎて相手にしてもらえないからなぁ。ハハハ、大変だぁ。
 でもこの医者に、この小規模多機能型居宅介護のような懐の深い介護事業者がいるということを知ってもらえただけでも、その「受診行動は意義あること」だったのではないかと思うし、医師にとやかく言う前に、僕ら自身が力を尽くして懐の浅さを埋めないとね。

雪化粧富士
海に現れた「雪化粧富士」に見とれました。
向こうに見えるは新上五島。


コメント


 大腿骨頸部骨折で病院受診した所「認知症の方だと術後の安静やリハビリが出来ないから手術しても車イスになるケースが殆ど。 あえて手術で危険を冒すより、車イスで生活する事を考えた方が良い」との医師の言葉。

 こんな事自体が初めての家族にしたら「そんなもんなのか」と承諾しようとしていたので時間を取って何度か家族と話をしました。

 結局「セカンドオピニオン」と言う事で別な病院を受診し、すぐに手術の日取りが決まり、1か月後の今では支えも無く1人で歩けています。。

 これもこれまでに同じ手術で歩ける様になった方を見てきているから出来た事で、自分も初めてのケースだったら最初の医師の言うがままになっていたんでしょうね・・・。


投稿者: toto | 2013年04月17日 00:45

半年前に入居された方がどんどん立ち上がりや歩行が出来なくなられてます。

入居当初は元気に家に帰ると玄関まで歩いてこられていたのに、ここ3ヶ月で転倒することが多くなり、顔や頭を打撲されることも増えました。

転倒防止の為に居室から出さない、歩かせない為に居室に「一人で歩かないこと」と張り紙が貼られています。

病院からは「CTもレントゲンも服薬内容も問題ないので、これ以上、運動機能が低下しないようにリハビリに励んで下さい」と言われました。

私はケアスタッフとして、リハビリ内容をリーダーに聞きました。それはケアマネとデイサービスの仕事だと言われ、口を出すなと言われました。

その方は来月、他の施設に移られます。
やっと、うちに慣れたのに…。


投稿者: わたる | 2013年06月25日 01:13

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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