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和田行男の「婆さんとともに」

火災源「リコール製品」を誰も知らない国

 長崎市のグループホーム火災の原因が明らかになるにつけ、怖くなってきた。
 長崎の仲間から第一報を受け取ったときは「原因はタバコらしい」ということだったが、それが「電化製品の劣化」だということになり、結果は「リコール製品=メーカー不具合」ということになると、事業者である自分たちがやらねばならないことがいっぱいあるということで、どの事業でも、どの事業者でも、どこの事業所でも、どの家庭でも起こりうる火災だということになるからだ。

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(映像はテレビ番組より)

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 電化製品の劣化が原因だと聞いた時点ですぐ「ボス」に連絡をいれ、専門家を招いて電化製品の劣化を見抜ける知識や観察力を身につける研修をしてもらうことにした。
 事業所のリーダーたちは介護職であり、電化製品についての知識なんて持ち得ていないし、不具合を事前に見つけるなんて無理である。
 そうこうしているうちに、最近になって「リコール製品だった」ということが発覚したので、世のリコール製品について調べてリーダーたちに周知しているのだが、これがとんでもないのだ。
 メーカーでいえば、世界に誇る日本の名だたるメーカーの製品があり、どこにでもある身近な製品が並んでおり、しかも「発煙」「発火」「出火」といった致命的な打撃をこうむる製品がいくつもある。
 今すぐネットで「リコール製品情報」を検索して調べてみるといい。リコールといえば大ニュースになる「クルマ」や「給湯器」くらいしか頭にないと思うが、洗濯機、冷蔵庫、クリーナー(掃除機)、空気清浄機、加湿器、カセットボンベ、ファンヒーター、靴、子供用ベッド、アルカリ乾電池、自転車、LEDライト、三脚脚立、液晶テレビ、プロジェクター、オイルヒーター、食器洗い機、介護用電動ベッド、クリスマス用イルミネーションアダプター、ベビーカー、ガラス製テレビ台、ゴルフクラブ、ステンレス製水筒、傘など、なんでもありである。
 すぐに職員には、こうした製品のチェックを指示したが、盲点は、居室に持ち込まれる入居者の持参品である。
 いま僕が考えているのは、特定施設やグループホームにいま入居されている方々が居室等に持参した電化製品もさることながら、これから入居されてくる人たちの持参品に「条件」をつけるかどうかだ。
 今までは「使い慣れたもの」を推奨してきたが、使い慣れたものは劣化の可能性が高い証でもある。かといって、入居時や入居後にテスター等計測機器を使った漏電テストで評価するようにすることも難しい。

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(映像はテレビ番組より)

 頭の痛いところではあるが、入居者側に説明をし、新品の持ち込みを求めてリスクを下げるしかないのかなと考えている。
 このたびの火災原因は、それぞれの専門職が、専門職としてきちんとした仕事をしないと命が吹っ飛ぶことを知らしめたと思っている。
 その意味では、発火する恐れがありリコールしなければならない危険な製品だということがわかっているのに100%回収できない仕組みに対して、お上も知恵を出す必要があるはずだ。
 お上も含めて国民生活を守り発展させる専門職なのだから、事業者やメーカーだけを責めるのではなく、自分たちの追求が足りていたか否かの検証もきちんとしてもらいたい。
 世の中にこんなにもたくさんの、しかも身近な物で、発火するリコール製品があるなんて誰も知らないだろうなと思えるいまの仕組みは、どう考えてもおかしい。
 町の中で一人暮らしをしている認知症の高齢者のところまでリコール製品の回収が行き届くための仕組みを作らなければ、同じことで人の命が絶たれてしまう。
 おかしな言い方になるが、このたびは、グループホームだからこうしたことが話題になったのであって、尊い命を落とされた方々のご冥福を祈るためにも、二度と同様のことが起こらないように知恵を使わねばならない。
 国として、国民の生命と財産を守るのは憲法に定められたことだ。こここそ、リスクマネジメントをしっかりやってもらいたい。
 事業者も「旧い民家だからいい、昔の人が使い慣れた旧いものがいい」なんて言っているだけではダメで、旧いものを使用するならば、旧いなりにきちんとメンテナンス(時間とコストをかける)をして、発火の恐れのあるものは新しいものに切り替えるなど万全を期していくことだ。
 何もかも管理された「過去の老人ホーム:施設の形態」に戻されてしまいかねないことを危惧しているのは僕だけではないはずだ。
 このたびのグループホーム火災は、過去二度の火災事件とはわけが違うことを肝に銘じて対応策をとり、「一般的な暮らし」を営みやすい仕組みになっているグループホームやユニット型特養など「住宅仕様の形態」を守り発展させていきたい。


コメント


民家がいい、旧いものがいい、使い慣れたものがいい。 間違いではないと思う。「ただ、だけどね」ということが、使うための対策を施すことが、大切なんでしょうね。

無機質な空間、手掛かりのない暮らしはしんどいひともいますから…。


投稿者: 喜井 茂雅 | 2013年02月26日 11:28

勉強になります。
この度、新規グループホームを開設するにあたり、「馴染みの物」に対してのリスクマネジメントをしっかりと考えようと思いました。
今日、法人の会議で「施錠しない施設」を行う旨を説明したところ、「危ない」「家族は、家でみれないから安心した施設に預けるのに、安心出来ない」等の意見が出ました。
それも、既存のGHの管理者からです…
既存のGH職員からは「家族さんは、自分の親が一人で出歩いた時に車にでも跳ねられたら、跳ねた相手に申し訳ない」って言われることもある。との意見も出ました。
法人幹部からは「玄関は開錠してても、敷地の外枠に囲いをして出れないようにしたら良い」との意見。
閉じ込めない施設作りの為に理解を得るのも容易い事では無いですね(>_<)


投稿者: moto | 2013年02月26日 20:01

 久しぶりにおじゃましたらあれまあ、私、遅まきながらリコール一覧を本日閲覧し、びっくりぎょうてんしたところです。
 なんだか職場は加湿器確認に動かないので、やむなくコソコソ1人で確認しておりました。上司の指示にこぎつけたので、他のリコールも情報収集したところ。なんだか他人ごとの周囲に疲れ気味です。
 
 古いネズミがいる家にお住まいの方には、たまにある配線の行政さんでの点検を受けられるよう説得し、古いストーブやヒーター等そろそろ買い替えを提案し。うるさがられることもあります。

 こんなにたくさんのリコール、把握しきれない。
ちょっと頭いっぱいで職場を後にしました。

 今日はもう寝ます。。。
 


投稿者: まんまる | 2013年02月26日 22:11

こんなに把握知れないリコール。ふざけんな。機器のチェックしていれば、リコール回数かける入居者でいけばそんなに大変。入居チェックでひっかっけれるのそんなに大変。他人事にするなよ。和田さん。最終チェックは誰なの。


投稿者: 大 | 2013年02月28日 17:24

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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