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和田行男の「婆さんとともに」

「自力に組みこまれた他力」と「他力」

 昨日11月11日は「介護の日」だった。各地でまつわる催しが行われたのではないか。
 ところで、この国では「手助けをする」という意味で「介護」と「支援」のふたつの言葉が使われていてややこしい。
 そんな話にこれまでもたくさん触れてきたが、今日は別の角度から「介護」を思考してみたい。

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 移動の多い僕にとって「雑誌」はボーっとする時間のお相手として最適なモノである。
 つい先日も、『週刊現代』(講談社)という雑誌をパラパラめくっていると『「寝たきり」になりやすい県なりにくい県』という記事が載っていた(2012年11月17日号)。
 東京の大学教授を取材した記事だったが、教授は全国2万2000人と多摩市1万6000人を追跡調査して、健康で長生きして「生涯現役」を実現するための研究をしているそうだ。
 僕は「寝たきりになりやすい云々」ではなく、データの基礎が「都道府県別の要介護率」になっているので『「要介護率」の高い県低い県とその事情』という見出しにしたほうが正確ではないかと思ったが、興味深く読ませていただいた。
 記事の中身や評価は雑誌を読まれた個々人に委ねるとして、介護の世界では、本人にできる能力や能力の可能性があるにもかかわらず、身の回りのことを単純に「してあげる」ことが高齢者に対する尊びのように思われてきたし、思われて実行されているが、果たして本当にそうなんだろうか。
 今でも「福祉の心」のようなものが説かれ、その中心に「奉仕=サービス」を置き、具体的には「させていただく・してさしあげるの精神」から「お世話」になっており、それが「誰にでもかれにでも・何でもかんでもお世話する実態」につながり、「介護・介護の仕事」の基本になっていることに疑問をもっている僕にとっては「ふんふん」とうなずける記事であった。
 人は「自力」と「他力」の組み合わせで生きている。要介護状態にある人とない人の違いはその比率と中身だが、要介護状態にある人はない人よりも「自力が減少している状態にある」のは言うまでもない。
 介護はともすると、ここでいう「他力」に位置するものと思われがちだが、そうではなく「自力」に組み込まれるべきもので、「他力を得た自力の状態を生みだすのが介護の仕事の本質」だと僕は考えている(僕はその支えを「支援」と考えており、支援を尽くしても「他力を得た自力」の状態が果たせない状態になり「他力」に移行した時の支えを「介護」と整理し、精神面においては死ぬまで「支援」で「介護はない」と考えている)。
 それを「黒子のように」という言い方をする人もいる。黒子というのは「支え」であって、黒子の支えを受けている者こそが生きることの主体者なのだ。
 黒子は「主体的に生きていけるように支える」のが仕事であって、黒子が主になっては「黒子破り」となる。
 これを介護の現状に当てはめると、その人が主となって生きていけるように支えるということになるが、残念ながら現状の介護は「してあげる=他力」から脱皮できず「本人ができるように支える=自力に組み込まれた他力」とは程遠い状況になっている。
 週刊現代の「要介護率の高い県と病床数や有業率に相関関係がある他…」の記事を和田流に解読すれば『「廃用」を生みやすい環境生みにくい環境』ということになり、『「介護」が本人の生きる力を損ね廃用を生む要因(環境)になっている』と考えている僕にとっては「そりゃそうやろな」と納得した記事でもあった。
 僕流に僕の世界に置き換えて簡単に言えば、「介護」がその人の能力を奪っているのではないかということへの問題提起であり「能力を奪うために多額の公金を投入して人として生きる姿から遠ざける」となっては、国民にとって申し訳ないということである。
 あわせて、僕ら自身のことで言えば「生きることを支える」ための専門職はなく「廃用手助け」の専門職ということになっていいのかという自問自答である。
 11月11日は「介護」に社会的なテーマとしてスポットをあてる日ではあるが、そもそも「介護とは」という根本的なことを置き去りにされたままになっていることを懸念している。
 皆さんはどう思いますか。


ご案内1
 僕の仲間たちが開催する、時節を先取りしたシンポジウムの案内をさせていただきます。ぜひ、ご参加ください。
○地域包括ケア・シンポジウム
○日時:12月7日(金)13時20分~16時40分
○場所:高崎ビューホテル(群馬県高崎市)
○参加費:無料
○主催者:群馬県地域密着型サービス連絡協議会
○パネリスト:厚生労働省、山梨県北杜市、石川県加賀市、熊本県山鹿市の行政マンたちです。

申し込み等詳細は別紙1別紙2をご覧ください。

ご案内2
 12月26日(13時~18時)、名古屋市公会堂にて「介護基礎講座」と題した講座を、株式会社波の女(和田行男が役員)で開催します。
 講義は、理学療法士の田中義行さん、言語聴覚士の牧野日和さんの名コンビによる「身体の機能と支援の基礎学」をやります。
 年末の忙しい時期ですが、その時期だからこそのお得な企画です。

申し込み等詳細は別紙をご覧ください。


コメント


和田さん、今晩は。
チョット今回の話は難しくて二度三度と読み返してみましたが、やはり難しいです。
介護って何なんでしょう。出来ない所の手助け?出来るように支援するための手助け?やはり、人にやってもらって嬉しい事もあるけど、やはり出来るなら自分でしたい。きっと私が今そうなったら思います。ただ、時間がかかるかもしれない、上手く出来ないかもしれない、でもやはり自分で決めたり行ったり、自分の思う通り生きたい。自分で無理と思ったらお願いしたい。こう思う気がします。介護をしてるとついつい、見守りと言う名の監視になったり行動を止めようとしたり子どもに色々聞く親みたいに、どこ行くの?とか聞いたりなりがちな気がします。まずはその人の取ろうとしてる行動を知る事が大切なんですよね。

深いです。介護。
すいません。私はまだまだ分からないです。話の論点がズレてたらごめんなさい。


投稿者: つくし | 2012年11月12日 19:26

お久しぶりです。相変わらず難しいですが(私が理解力無い)介護とは「他力を得て、自力(自分の)の状態を生み出す」と言う言葉が私の心の中にストンと落ちました。そして精神面はではそう解釈すると介護ではなく支援だと言う事もストンと落ちました。久しぶりに私の気持ちが落ち着きました。ありがとうございます。お体ご自愛くださいネ。


投稿者: kagayakiフクダ | 2012年11月13日 21:09

先日磐梯熱海にて初めて和田さんを知り、初めてあのような(#^.^#)な講習会を耳にしました。実は私も82歳の実母と生きています。母の生き方が和田さんのおっしゃっている通りの生き方だと思いました。なるべく自分でやる! 出来ない所だけ私に援助を言って来ますので、私はたとえその日がデート(#^.^#)の日で有っても、母の方に行くことにしています。日常は自力で何でもやっていていますからねえ(#^.^#) こちら側が母を応援したくなります。デートなんてクソクラエ! いつでも出来るぞ! 近隣からは鬼娘と呼ばれています。


投稿者: たんの えみこ | 2012年11月15日 11:17

私は支援とか支えるという言葉に烏滸がましさを感じてしまう時があり、頭の中で勝手に「護る」という言葉に変換させています。
護るとは=侵そうとするものや害から防ぐという意味らしいです。
外出すること。それを護る。自分の意識で動くこと。それを護る。人の手を借り人に手を貸し生きていること。それを護る。自分のことは自分でできる。そのことを護る。というふうに…
だから自分でできていることまでやってあげるという行為は、護るどころか、侵害者そのものになる。そのことに気づきました。
何かを護ろうとしての策により、同時に護れなくなる別の事柄が出現することもある…には意外と気づけていないことが多いと感じる。そんな自分本意に気づける。策が代わってくるかも。

意外な効果、変換!もう少し続けてみよっ


投稿者: すみこ | 2012年11月17日 00:14

kagayakiフクダさんへ

スッキリできて良かったです。表現って面白いですね。無限のような気がします。
もっと色々な表現ができるようになれたら、もっとスッキリの人が増えることでしょうね。
尽力します。


投稿者: わだゆきお | 2012年11月17日 11:37

すみこさんへ

どんな表現でも、大事なことは「その意味」。
応援しますよ。


投稿者: わだゆきお | 2012年11月18日 11:48

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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