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和田行男の「婆さんとともに」

認知症・呼ぼう

 コメントにお応えして、認知症予防をどう話すかについて語ってみたいと思うが、大事なことは「なりたくない」に応えて語ることよりも「なりたいと思考すること」を広めることだと僕は考えている。
 なぜなら「なりたい」は「欲」であり「欲」は「探求の入口」だからである。

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あれが欲しい・これが欲しい
あっちこっち行きたい
あの娘がいい・この奴がいい
あれが見たい・これが見たい
これがやりたい・あれがやりたい

 何でもいいが「たい=欲」は人々を盛り上げる。
 「たい」という「欲」は、「そのためにどうすればいいか」という「欲」を生み「探求しようとする心」を生む。簡単に言えば「知識を欲する=調べる」ということだ。
 何にも欲しくない、どこにも行きたくない、何も見たくもない、何にもしたくないと思うと「探求」するはずもなく、ただ放置しておくのではないか。
 認知症についても同じで「認知症になりたくない」と思考するよりも「認知症になりたい」と思考するほうが「知ろうとする」だろう。
 つまり、認知症から回避しようとしても認知症のことはわからないということだ。
 随分と前になるが、特養やデイサービスで仕事をして、ふと湧き上がったのが「家族介護を経験してみたい」という欲で、実家に帰った時、母親に「おかん、痴呆になってくれ!」って言った。
 マンガみたいな話やけどホントの話で、この時のおかんが「ゆきさん、どうやったら痴呆になれるんや」とつぶやいたのだが、その時ハッと気づいたことが「そういや、どうやったらなれるんやろ」であった。
 それから認知症について知識として真剣に向き合うようになったのだが、それでわかったことが次のようなことである。

 認知症になるために必要なことは…
○認知症の定義がこの国では一本化されていないので、何をもって認知症なのかがくっきりしていない。そのこと前提に思考する必要があること。医者も研究者も行政マンも前にたって説くヤツもみんなてんでバラバラなことを言っているということ。
○認知症はそれそのものが病気ではなく「概ね病からきた状態」であり、認知症になるためには「認知症の原因となる疾患にかかる必要がある」こと。因子となる疾患は医師によっても言うことが違うが、70~100と言われていること。
○認知症の原因疾患にかかったからといって、それがイコール認知症とはいえないこと。つまり、アルツハイマー病に罹患した・脳梗塞に罹患した=認知症になったわけではないということ。
○認知症は後天性の状態であり、原因疾患にかかる前からあった「その人の言動」まで認知症と言ってはいけないこと。
※僕の友人に「最近、認知症になってきたわ」なんてほざいているヤツがいるが、そいつは元々そういう面があったヤツで、何でもかんでも認知症にくるめたら認知症に申し訳ないと僕はさとしている。

 などである。
 結論から言えば、認知症予防は「認知症の原因となる疾患等にかからない」ことが本命ということだが、原因疾患の大多数を占める疾患群(脳の変性疾患でアルツハイマー病やレビー小体病など)は、未だ解明できておらず、研究はすすんでいるし、いろいろな報告もあるが、予防の決定打を見出せていない。
 つまり、原因疾患によって予防が可能なものもあるが、まだ雲をつかむような話だと言うことだ。
 ただ、予防できるやつもあるので、そこを伝えることは必要である。例えば脳血管性疾患に伴う認知症は、脳血管性疾患罹患の因子となる生活習慣病などに気をつけることで、脳血管性疾患に罹患しなければ脳血管性認知症を減らすことができるだろう。ビタミンの欠乏症や梅毒なども予防できるはずである。
 それともうひとつは、そのことをしていたからといって認知症の原因疾患に罹患しないとは言い切れないとしても、日常生活の中で気を配ることができ、認知症予防ということだけでなく「健康人生を全うすることへの効果」として取り組んでみることを紹介するのも専門職の役目と言える。
 例えば、日常生活の中において脳と身体を使うこと、無理をしない、バランスのとれた多種食材の食事、適切な睡眠、人との交わり、欲をもつ、新しいことへの挑戦、閉じこもらない、多大なストレスからの回避といったようなことだ。
 僕は
「何をしていても認知症になる確率があること」
「後期高齢者:長生きすれば四人に一人はなると言われているが、四人に三人はならないということ」
「認知症になっても社会生活が送れる仕組みづくりにちょっとずつ知恵と金と手間を出すことを惜しまないこと」
「今のうちから専門職の知人をもつために介護現場に足を運ぶこと」
「最期の砦は、結局家族。家族を大事にすること」
「認知症になったらこうして欲しいなど家族や友人と話し合っておくこと」
 など、認知症予防よりも認知症への備え・心がまえを皆さんに伝えている。
 認知症の特徴は「なりたくなくてもなる」「なりたいと思ってもそう簡単にはなれない」ことであり、今のところ「非可逆的で進行性」を受け入れるしかない。
 でも、世の中の進展とともに「認知症になっても人としての暮らしができる社会の構築に向けた意識や取り組みが広まってきていること」や「認知症になっての生活の主体者として生きていけるようにする支援策が模索され実践されてきていること」を予防講座などで市民に知らせ、「わが町のあり様を考える」「支援のあり方を考える」きっかけづくりにすることも、国民生活を支援する専門職にとって大事なことではないだろうか。
 認知症を「遠ざけるのではなく呼ぼう」を合言葉に、予防講座を締めくくってはどうだろうか。ハハハ

追伸
 昨夜(28日)、山口県周南市の仲間により、ライブハウスOPAさんのご協力を得て「和田行男トーク&ギターライブ」を開催してもらいました。

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リハーサル中の光景

 主催者ならびに参加してくれた皆さん、超素人芸にお金を払っておつき合いくださり、本当にありがとうございました。お恥ずかしくも申し訳ない限りです(緊張して声は出ないわ、指は動かないわで散々でした)。
 3年前、奈良市で活動する仲間たちに「ライブハウスで研修会をやろう!」と提案したところ、昨年・今年と実現してくれました。
 小さなライブハウスでお互いに酒を飲みながら「介護」「認知症」「婆さん支援」について考える・感じる、このようなちょっと外れたような企画が大好きで、和田が出演させてもらったNHKプロフェッショナルでその模様を放送して欲しいと懇願したほどです(裸の仲間とブルーハーツを歌ってました。ハハハ)。
 みんなの感性でスタイルにこだわらず、いろいろな機会を以って「婆さん」を思考すればいいと思っており、様々なスタイルの取り組みが増えればいいなぁと思っています。
 今年の12月には福岡県でダンスホール企画もいただいていますし、来年5月奈良市で三度目のライブハウス企画もいただいています。東京でもちらほらそんな話がでてきています。
 友人の林田君(先々週のブログ「オーバーヒート」に登場した)は、多才なパフォーマーを集めて誰でもが参加できる日比谷公園の野外ステージでその類の催しをやりましたが、それもスタイルはどうあれ続けて欲しいと願っています。
 いつの日か、専門職に限らず学生や市民や婆さんたちを前にしてやってみようかな。目指すは「聖地・新橋駅前SL広場」での路上講演会ですかね。ハハハ
 ただ一番のネックは、和田行男は本番に弱いこと。メチャ緊張するタイプなので…。

ご案内
 12月26日13:00-18:00 名古屋市公会堂にて「介護基礎講座」と題した講座を、株式会社波の女(和田行男が役員)で開催します。
 講義は、理学療法士の田中義行さん、言語聴覚士の牧野日和さんの名コンビによる「身体の機能と支援の基礎学」をやります。
 年末の忙しい時期ですが、その時期だからこそのお得な企画です。
詳細は、「株式会社波の女」のホームページか、貼り付けている申し込み用紙を使ってお申し込みください。
 先着120名です。

お知らせ
2012☆年の瀬に贈る「介護基礎講座」
口腔機能&身体機能の基礎学とその支援策の基本
日時:平成24年12月26日(火)
    13:00 ~ 18:00
    開場12:00 開始13:00
会場:名古屋市公会堂4階 第7集会室(定員:先着120名)
    鶴舞駅より徒歩2分(JR・地下鉄)
受講料:2,000円(当日払い)
講師:
・牧野日和氏(まきの ひより) 
  言語聴覚士・認定心理士、名古屋医専言語聴覚学科学科長、一般社団法人日本言語聴覚士協会理事
・田中義行氏(たなか よしゆき) 
 理学療法士、介護老人保健施設あおぞら 医学マネジメント部部長

申込用紙:ファイルをダウンロード


コメント


和田さん、今晩は。認知症予防について色々とお話ありがとうございました。意外な内容だったので又、目から鱗状態です。認知症予防についてって内容だから日常生活で気をつける内容を考えていました。でも違う視点からの話だったので凄く引き込まれて読んでしまいました。
認知症になるかもしれないしならないかもしれない。何をもって認知症というのか。脳血管疾患やアルツハイマーに罹患したとしても認知症に必ずなるとは限らない。確かにそうですよね。
何か自分が、認知症っていうものをまだまだ理解してない、分かっていないんだなぁーと気付かされました。和田さんの意見を参考に話合って発表に挑みたいと思います。
しかし、和田さんは人付き合いが広いですねぇ。素晴らしい!!ライブをしながら年寄りの話をもっていく、何か凄いです。小さな所から色々発信していくことが大切なんですね。
名古屋での公演頑張って下さい。機会があれば、大阪にも来て下さい。私はまだまだ経験が未熟な職員ですが、色々経験して楽しく過ごしていきたいと思います。また色々とご相談させて下さい。


投稿者: つくし | 2012年10月29日 19:14

つくしさんへ

僕の顔が広いのではなく、婆さんの顔が広いから、婆さん支援をしている僕におこぼれがきてるだけですよ。
婆さんに感謝する呑みです。


投稿者: わだゆきお | 2012年10月30日 13:35

あははo(^▽^)o
そうですね。人と人との繋がりって本当に大切やなーって思います。だって、私も高齢者の人と関わらなければ今まで出会った色んな人たちと出会わなかったんですもんね。和田さんの事もまだ知らなかったかもしれません。私もこれからお年寄りを通じて色んな方と出会っていきたいと思います。今よりまで出会った人を大切にし、関係を保ちながら新しい出会いに胸を膨らませたいです。


投稿者: つくし | 2012年10月31日 15:23

はじめまして。

10月31日に神戸の講演会にお伺いしたものです。

パワフルな方だとこちらも力をいただきました。

私のつたないブログに記事を書かせていただきました。

よろしければ、ご訪問いただければ幸いです。

私もがんばります。

http://ameblo.jp/kapibara3814/


投稿者: 猫のこぶへい | 2012年11月01日 18:41

猫のこぶへいさんへ

訪問させていただきましたよ。写真が暗かったですかね。ハハハ
それぞれの持ち場で一生懸命、市民に向かって専門職としての仕事をしていきましょう。
今後とも、よろしくお願いします。


投稿者: わだゆきお | 2012年11月02日 16:43

僕の友人に「最近、認知症になってきたわ」なんてほざい ているヤツがいるが、そいつは元々そういう面があったヤツ で、何でもかんでも認知症にくるめたら認知症に申し訳ない と僕はさとしている。
→さすが!和田先生!
私も同じことを思ってました(笑)
…さとす勇気はなかったですが(´Д` )


投稿者: さちくま | 2012年11月02日 20:13

競争の激しいディサービス つよい利用者様が生き残るのではなく提供側も毅然としてのぞむのは 大変な事でしょうが ご理解を頂いて ともに助け合いのディにできたらと思います。


投稿者: マメ | 2012年11月11日 21:03

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

【ブログ発!書籍のご案内】
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和田行男さんのブログ発第2弾『認知症開花支援』が刊行されました。前作『認知症になる僕たちへ』から2年半――。パワーアップした和田行男のメッセージにご期待ください。
定価:¥1,680円(税込)、10月20刊行
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タイトル:『認知症になる僕たちへ』
著者:和田行男
定価:¥1,470(税込)
発行:中央法規
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