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和田行男の「婆さんとともに」

つぶやき

 つぶやく…つぶやくとは、辞書によると「ぶつぶつ言う・小さな声で独りごとを言う」とある。
 今日の僕はコレ
 おつき合いのほど、よろしく。

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 随分前になるが「日本人の入浴時間に関する調査結果」の報道がされていたのを思い出した。
 今のご時世を思うと、悠長に風呂の時間のことを語っている場合ではないとは思うが、いったん思い出して気になり始めたら止められないのも和田である。ご勘弁を。
 気象情報会社ウェザーニュースが全国の男女3400人を対象にした調査結果は、次のとおりだった。


○入浴時間
 男性27分42秒、女性32分55秒、平均30分46秒
 最長は青森県の36分17秒で最短は島根県の23分51秒
○入湯時間(湯船のつかる時間)
 平均入湯時間は15分8秒、男女間で差はほとんどない
 最長は山梨県18分9秒、最短は沖縄県の11分10秒

 デイサービス、訪問入浴、特養、グループホームなど、介護保険で入浴している人の入浴時間は人並みとなっているだろうか。
 日本人にとって入浴は愉しみのひとつでもあるようだが、日本人の平均入浴時間をグループホームに9名に費やしたとしたら、毎日4時間半必要となる。
 入湯時間だけを根拠にした場合でさえ、100名の特養だと(15分×100名)1500分=25時間もかかる。
 浴室が4か所あったとしても6時間以上かかるということで、人並みの入浴時間・入湯時間の確保は現状では難しいだろう。
 こういう「日本人の普通の暮らしぶり」が統計化されて数字で出てくると、施設の現状がいかに「普通の暮らしぶり」から遠くへ追いやられているかがみえていい。
 婆さん支援を考えるときの「ものさし=尺度」を「日本人の一般的な暮らしぶり」に置いている僕にとって、自分の中でわかりやすくなる。

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 厚生労働省の発表で、認知症という状態にある人の数の推計数が、いよいよ300万人を突破した。
 巷の話として「350万人はいる」と聞いていたので、とりたてて驚きはないが、国民の40人に一人(65歳以上人口の9.9%、約10人に一人)というとてつもない数であることに危機感はある。
 しかも「認知症」はますます勢いを増すと推計されており、2020年には410万人、2025年470万人だそうで、国民の25人に一人が認知症ということになる。これは従来の推計数(2025年323万人)を大幅に上回る猛烈さだ。
 本ブログで、4月の介護保険法改正で第五条の二(認知症に関する調査研究の推進等)が条文化されたことを書いた(→こちら)が、今頃になって調査研究を推進している場合ではなく、施策を講じなければ追いつけないことが数字で出てきたということだ。
 「和田くん、そんなことはわかってるよ」
 そんな声が霞ヶ関方面から聞こえてきそうだが、きっともう医療や介護の仕組みをいじくるだけではダメで、国民の人生観など根本的なところにまで投げかけ、人が生きることの素晴らしさとそれを支えることの限界点など、根本的なところでの「おり合い点」を見出していくことを急がないと、キレイごとでは済まない絶対数・相対数になってきたのではないか。
 以前からずっと言ってきたが「認知症対応型国家づくり」は超急務の課題になってきたのだ。

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 僕の住む名古屋でも、ちょっと寂れた街中に入ると空き家が目立つ。
 住宅ストック数は5年に一度実施される住宅・土地統計調査によって明らかになるが、2008年の時点で13.1%・およそ7.5件に1件が空き家だったと発表された(以前、本ブログで書いた)。
 新築住宅の建設を半減させても、2028年には17.1%・およそ6件に1件が空き家へと上昇するとの指摘や、現状のまま推移した場合では、20年後の2030年頃には空き家率25%・4件に1件に達するとの指摘がある。
 空き家の急激な増加を食い止めるためには、新築を減らして既設を取り壊すのが決定打ではあるが、今ある住宅の活用を進めることも必要で、中古住宅取得支援策が欠かせないと指摘されている。

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 東京と名古屋にも空き家になりかけた大きな建造物があるが、ヨーロッパのように古くなっても大切に長く使う文化に切り替えていくことが、否応なしに求められる時代に入りつつあるのではないだろうか。
 街をぶらつくと空き家も目につくが、次代を担う若者たちが、古い民家を改築してうまく再利用しているのを見かけ、感心させられることも増えてきた。
 お金はなくとも感性や知恵のある若者たちに安価で提供できる支援策があれば、街を興すのではないか。それが、高齢社会にも良い面で影響を及ぼすことだろう。
 建屋政策はこれからの日本社会にとって非常に重要だと感じている。少しでもお天道様に近づこうとする「空中遊泳建屋」ではなく、「地を這う建屋施策」を大事にしてもらいたいものだ。

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 年に1回あるかないかの名古屋市内雪景色。
 北海道の人たちからは笑われるが、こんな大雪だと東京や名古屋はパニックを起こし大変である。
 でもこう暑いと、そんな大変さなんて「記憶にございません」とばかりどっかに吹き飛び、これが欲しくなる。
 「限りない欲望」
 1970年代井上陽水の歌だが、ホント凡人にとって「欲」って限りないもんである。
 その欲も「モノ」から「心」へと移り変わってきているようで、モノの豊かさへの欲に変化が出てきているそうだ。
 そういや節電を声高に叫ばなくとも「そこそこ電力余裕」の日本社会になっているようだが、これも「欲の対象」の変化なのかも。
 これは社会の成熟化の表れではないだろうかと考えるが、その自分はなかなか熟せずにいる。
 問題は「熟したいかどうか」でしょうね。ハハハ


コメント


1日平均40人の方の入浴介助をしていました。うち特浴は10〜15人。

仕事(リハビリ)が終わってから入る…男が先に入るもの…朝から入れるか…大勢の前で裸になりたくない…もう少し湯ぶねに浸かりたい…入浴を躊躇う気持ちに頷きつつ「時間内に事故なく清潔を保つ」職員本位の入浴ノルマでした。
先輩曰く「介護計画書に安全な入浴、皮膚の清潔保持とあるから、余計なことはしてはいけない」との事。

木漏れ日中でお風呂に入ってるちびっこ達は嬉しそうですね。壁の木目が暖かい雰囲気を出してて、落ち着きそうです。
私的にお風呂とトイレはリラックス出来る場所なので、施設内の他の部屋より気合いを入れて掃除してます。

婆様の背中の丸みは触りたくなります。
介護の仕事を始めてから、ちびっこと爺さま婆さま達を見ると、不思議と笑みがこぼれるようになりました。

和田さんが以前「ささやかな楽しみ」についてブログに書かれていました。もう一度、読み返してみます。
それと、井上陽水さんの歌に、「角砂糖の前で蟻が…」という歌詞の曲があった気がします。題名が出て来ないので、ぼちぼち思い出したいと思い出します。


投稿者: わたる | 2012年08月28日 10:06

 先日、知人が建築の内装の仕事の為に精神病院に入ったそうです。
知人は介護職では無いので、そこの患者さん達が精神病なのかは良く判らないけれども、どうも認知症の人ではないかと思われる人がたくさん入院されていたと感じたそうです。
そして、ベッドに括りつけられている人や、廊下から丸見えのベッドサイドでポータブルトイレに座っている人等が見えてビックリしたと話していました。
まだまだ、「普通の暮らしぶり」からはかけ離れた生活を強いられている現状が悲しくなりました。
 早く、私も古民家を探して…
前向きに挑もうと、職員達に投げかけていると、ある職員から「是非ご一緒に仕事が出来ればと思うのですが・・・
阪神大震災のトラウマで、瓦屋根の家に怖くて入れないので…もし瓦屋根の家で事業所をされるなら、私は出来ません(T_T)」
と断られてしまいました。(*_*)
民家なら、誰もが馴染みある住居になるのではとの考えは、一概には言えないのだと勉強しました^_^;


投稿者: moto | 2012年08月30日 18:47

このサイトに来て、和田さんのブログや色んな方のコメントを読んでいると「ぜったい介護職に戻るぞ!」と思います。


投稿者: わたる | 2012年09月01日 01:00

いつも楽しく読ませていただいています。グループホームで働いている介護職です。

入浴時間の統計があるのですね。1つ思ったのは、女性がそんな短いのか?ということ。平均値がピンと来ませんでした。統計で幅が広い場合は、平均値ではなく中央値で見るとよいと聞いたことがあります。15分で入る人もいれば一時間の人もいるかも。年代でも違ってきそうですね。だとすると、一律の時間で考えるのではなく、その方が今までお風呂に時間をどのくらいかけていたのかを知ることが大事になりますね、、、。そんな風に思いました。

ブログを読んでいつも気づきが生まれてます。これからも楽しみにしてます。


投稿者: だゆう | 2012年09月01日 08:02

本題とは異なりますが勤務先のディサービスでは バイタルの再検査には 水銀計を用いて検査してます。ナース不在時には 経験無しでも 水銀計で計ります。正直私はまだその経験が浅く 不安です。でも強いられています。研修も受けていませんが 。 経験を積むのが大切といわるましたが なんだか 受け入れられません。 どこでも医療系はそんなものですか?なんだと思われそうですが、 思い切って質問してみました。


投稿者: マメ | 2012年09月01日 21:19

マメさんのコメントを読んで

私が勤務していたデイサービスも再検査ではナースが水銀計で測定してました。ナースがいても、病棟や特養出身の介護職員は水銀で測ってました。

水銀がデジタル計より正確だからだそうです。あと、夜勤時は、ナースが常勤していないからやるようになったそうです。
ご利用者の血圧や脈に乱れがある時「それは水銀で測った?」と、ナースから聞かれる事もありました。

ナースによっては再検査を水銀計でなく、デジタル計で測る人もいました。

医療行為だからしないという介護職員もいました。
もしもの時に水銀と吸引はセットで覚えていなさいと言う介護職員と、責任が取れないからしないと言う介護職員もいました。

デジタル計でエラー表示が出る方やご本人やご家族から水銀計でと申し出があった方は、始めからナースが測ってました。

私はデジタル計で測ってました。水銀は練習はしてても、見落とし(聞き逃し)があるので、まだまだ練習と言われてます。


投稿者: わたる | 2012年09月04日 02:49

わたるさんありがとうございます。 水銀計に関しては 以前のデータから適当な値を出すともアドバイス受けたりもしました。介護職員の誰がはかっても下の血圧がわからず でもナースが計ると 分かるよ! との事。グループホームではデジタル測定のみ 様子観察 検温は臨機応変に行い食事水分量本人の様子など全てのバイタルを観察して 入浴など行ってきました。体調管理に関して 厳しいのか 節穴だらけなのかよくわかりません。デイ と GHの健康管理には 隔たりがあるのでしょうか?


投稿者: マメ | 2012年09月04日 21:12

現在77歳の実母が認知症要介護4、糖尿病インシュリン注射あり、高血圧症あり、狭心症ありで、独居が不可能で、老健にお世話になっています。週1で1時間かけて車で洗濯物を取りに言っております。ここ何回か母の所に行くと、いつもオムツ を汚してしまっているタイミングで、着いてすぐ確認するのが定着してしまいました 。私はすぐ職員を呼び止め、「ウンチ出てしまっているのでトイレお願いします」と 申し出てます。気持ちよく、職員の人は、 あ、では、トイレ行きましょうね♪と介助 してくれます。が、同室の隣のベッドの方 は車椅子の方で、1人でのトイレは難しい らしく、私と母に、聞こえる様に、「すい ません、トイレ行きたいので、誰か呼んで 下さい」と叫んでいて、うちの母はそれを聞いて、呼びブザーを押したんです、そうして、職員の人が来て、その方の所に来て 、「○○さん、悪いけど、今はトイレに連れて行けないから、オムツにしちゃって。後 で綺麗にしてあげるから」と言って、部屋を出るとき、「ったく、もう」ともらす声 も聞いてしまいました。うちも普段は家族が来ていなければ、こういう扱い方なんだ ろうなと思いました。仕方ないか。1人1人に合わせてトイレ介助なんてしてたら職員の数20人以上も必要になってしまいますもんね。トイレ誘導は時間で決まって、一斉にする ので、その間は見ないのでしょう。システム的にはそうするしかないですもんね。で も、なんだか、母が汚いお尻のままで過ごしている事を考えると複雑です。うちの子 ども達の面倒をよく見てくれた頃は、お尻かぶれを嫌い、それこそ、コマメに何回も オムツ交換をしてくれた母なのに。でも、 自分で面倒を日常みてあげられないんだから仕方なし。不甲斐なさに落ち込みます 。 空き家になっている実家もどうにかしなく てはならないし、兄は鬱症状の疑いで受診し始めるし。

正直きついかも。

子ども達も中高校なので、もう、 塾の送迎はさすがに必要無いですが、 仕事がある日は帰ってからが、夕飯つくりで戦争です(>o<)奴らを7時前に出さなくて はならず、食べ物あたえないと、帰りが10 時なので、持ちませんので(^。^;)

気がつけば下は高校受験生で勉強させなくてはならないのに、そちらにあまり意識が 行きません。 考え事の70%くらいは母のこの先の事です 。 安全第一で管理されている所にお世話になることで、家族の生活は害されることなく 、保たれるので、有り難いです。けれど、 やはり、どんどん個性が無くなり、人形の ような母になっていくこの先を思うと胸が 痛くて痛くて仕方ありません。 安全重視のシステムの副作用として認めな くてはならないのか、複雑です。


投稿者: ゆう | 2012年09月07日 00:58

マメさんのコメントを読んで、健康管理って何だろう?と改めて考えています。

私の勤務していたデイサービスは施設に到着されてから測定したバイタルが安定されていたら、何かない限りバイタルは測定しませんでした。

生活の場所であるグループホームは、デイサービスと違って、1日24時間365日その場所で生活されてます。
バイタル測定の時間は何時ごろとか入浴前とか決まってるのでしょうか?

デイサービスの場合、ご利用者さんが帰宅されて、次にお会いする時までに体調が良くも悪くも変化されることがあります。
前に職員同士で情報共有と情報交換がうまくいかずに悩みました。
例えば薬の量が増えた減った、昨晩転倒された、歯医者に行った、送迎の際に足の運びが悪い…など。
健康管理はご利用者さんの為にあるのに。

臨機応変って良いですけど、職員に都合良く使ったら駄目だよなって思います。

マメさんの本題から逸れてしまいました。すみません。


投稿者: わたる | 2012年09月07日 11:00

ゆうさんへ

 いつか、ゆうさんの話を題材にし展開してみましょう。


投稿者: わだゆきお | 2012年09月09日 16:16

すみません、場違いな内容をコメントしてしまいました。こちらのサイトを知り飛びついてしまいました。
テーマに合っていない内容ですみません。

あれからまた、熱を出し、母の認知症も一気にすすみ、オムツ、車いす、食事介助が必須になりました。独立歩行は無理です。

またどこか違う場所で取り扱っていただけるなんてありがたいです。


投稿者: ゆう | 2012年09月10日 03:08

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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