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和田行男の「婆さんとともに」

地域社会生活の取り戻しへ

 グループホームを開設すると、どこから聞きつけたかわからないが、必ずやってくる営業がある。
 ひとつは「食材屋」、ひとつは「弁当屋」、ひとつは「訪問理美容屋」である。
 東京都で初めてのグループホームを開設した時は、それ以外にも「防災関係商品屋」や「施錠装置屋」なんていうのも来た。

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 グループホームは、それまでの特養を中心とした既存の入居型施設に比べて、その人の能力をその人が生きていくために使いやすい仕組みになっている。あえてそうしたのだろう。
 例えば食事は、「提供」ではなく「職員の手を借りて協働して自炊する」ことを主にしているように、「能力のいかんにかかわらず画一的に提供する」という仕組みから、介護保険法の目的である「能力に応じて自立した日常生活を営めるように」を、特養や特定施設より実現しやすい仕組みにしているのだ。
 僕が東京都で初めての老人福祉法上のグループホーム(痴呆対応型共同生活援助事業)の施設長をさせてもらったのは介護保険法施行の前年だが、もともとデイサービスでさえ「できることは自分でする」とか「おやつは町へ買いに出かける」とか「閉じ込めない」なんていうことを同僚たちと取り組んでいたので、「配食弁当」や「施錠装置」を売り込みに来た営業マンに「あなた誰のとこに来てるんや、ちゃんと調べてから来てや」なんて偉そうなことを言って追い返していた(逆に口説いていた?)。
 それは、施錠して閉じ込めておけばよいなんていう思想がそもそも僕にはなく、うちの婆さんは食材を街の中へ調達しにいく力もあるし、あれば出かけていって、行った先で調達するのが人の暮らしの基本で、それを支援するのが僕らの仕事だと考えているからだ。
 つい最近も、名古屋で開設したグループホームに「食材を届けさせてもらいます」という食材屋が訪ねて来たし、「訪問して理美容をさせてもらいます」という訪問理美容屋が来たが、「うちにはそういう考え方がない」と言って帰っていただいた。
 売り込む側も進化して「丸ごと作った弁当を届けます」ということから「食材を届けます」というように、制度基準を読み込んだ作戦で商品を売りにくるようになってきたが、それでは、食材を街の中に調達に行くことで「街の中にお金を落とす」「街をうろつく人が増える」という、グループホームという生活支援の仕組みが生み出すもうひとつの社会的な価値が損なわれてしまう。食材を調達会社から配達してもらったのでは、その町には何の潤いももたらさないことになる。
 ここのグループホームの近所には、理美容院、鮨屋、喫茶店、中華料理屋、銭湯、飲み屋、衣類屋、本屋、600mほど離れたところに市場(生鮮食料品から衣類まで30店舗ほどある)、同じくらい離れた所に大型のスーパーがあり、日常生活には困らない。
 グループホームで暮らす人たちが、そういった地域社会に出かけられない状態であれば形態は違ってくるかもしれないが、今のところ入居者の状態は、時間がかかったとしても何とか「職員の力を得て」必要な物を調達しに出かけることができる。歩くこともできれば、車椅子に乗って行けるのだから。
 理美容院のおかみさんに事情を話して力を貸してもらえるかお願いに行くと「このあたりは高齢者が多いからね、私も含めて。いいよ、来てちょうだい」って言ってもらえた。喫茶店にも銭湯にも市場にも行った。
 こうやってグループホームで暮らす婆さんが、地域社会で暮らしていけるように地道に環境を整えることは、僕らの重要な仕事である。
 和田さん流に言えば、グループホームでさえ「介護の場」にとどまって「生活の場」となりきれないのは、介護職はたくさんいても「生活支援職」が不足しているからである。
 本当は「介護職」と呼ぼうが「生活支援職」と呼ぼうが、それに違いなんかない。でも、あえて「違う」と言わなければ「できることがあるのにさせない」「四六時中閉じこめて社会から隔離する」「生活に意思を反映させない」など、人の生活とはほど遠い入居型施設のあり様を変えていけないからだ。
 つい先日も、そこから30mも離れていないところに理美容院があるにもかかわらず、玄関先に大きな「理美容カー」を停めて入居者を「カー」の中に運び込むグループホームを見て「まだまだだなぁ」と思ったが、「グループホームの人」を「グループホームで暮らす人」にしていかねば…である。

おしらせ 1
友人・林田俊弘氏の法人のグループホーム職員や仲間たちが企画した催しのご案内です。

Fun Festival 2012
音楽あり、ショーあり、お客さんと一緒に楽しむ初夏のフェスティバル

日時:2012年5月15日(火)開場11時30分、開演12時、閉演15時
場所:日比谷公園小音楽堂(東京都千代田区)
参加費:無料(当日参加OK・出入り自由です)
定員:1000名
■出演
林田俊弘&和田行男(トーク。林田:NPOミニケアホームきみさんち・(有)自在代表)
三橋とら(紙芝居屋)
金子ざん(ざん・ばら・りん劇場 絵解き)
青い卵(道化師+オペラ歌手のユニット)
沢田ナオヤ(弾き語り)
木下美沙都と象さんズ(バンド)
主催:(有)自在
企画:Fun Festival 2012 実行委員会
■インフォメーション
Fun Festival 2012公式ブログ http://ameblo.jp/funfestival
(有)自在 Fun Festival 2012公式サイト
 http://www21.atpages.jp/jizai/index.php?fun
ツイッター公式アカウント @funfes
■問い合わせ
Fun Festival 2012 実行委員会
funfestival2012@gmail.com
■詳細はこちら

おしらせ 2
東海3県のグループホームの仲間たちが企画した、昨年に引き続く2回目の催しのご案内です。

東海地区 認知症フォーラム2012in愛知
「つながりが地域の未来を拓く」
~地域の繋がりを高める感動のまちづくりへ~

日時:2012年7月10日(火)
場所:愛知県産業労働センター「ウインクあいち」(愛知県名古屋市)
参加費:一般6000円、学生2000円、会員2000円
定員:800名
■内容
○基調講演(10時40分~)
「心のつながりで地域を拓く」~心の栄養ドリンク~
佐野有美氏(『手足のないチアリーダー』著者)
○講演(13時30分~)
「介護保険制度改正に伴う地域密着型サービスのあり方&歩み方」
厚生労働省老健局高齢者支援課認知症虐待防止対策推進室室長 勝又浜子氏
○シンポジウム(14時45分~)
「つながりが未来を拓く」~地域の繋がりを高める感動のまちづくりへ~
司会・進行:町永俊雄氏(NHK元アナウンサー)
ゲスト
 厚生労働省
 永田久美子氏(認知症介護研究研修センター研究主幹)
 宮崎和加子氏(健和会看護介護政策研究所所長)
 和田行男
○第1分科会(13時30分~14時30分)
「外部評価について」
平林景子氏(NPO法人地域生活サポートセンター)
○第2分科会(14時40分~16時)
「生活と医療をむすぶ」
講師 鵜飼克行氏(総合上飯田第1病院老年精神科医師)
講師 鬼頭恵津子氏(グループホームはるた管理者)
コーディネーター 宮田真由美氏(よこはま倶楽部代表)
○第3分科会(16時10分~17時40分)
「一人夜勤安心講座」
講師 飛田拓哉氏(安心生活株式会社代表)
■主催
 東海地区「認知症フォーラム2012実行委員会」
  愛知県認知症グループホーム連絡協議会
  岐阜県グループホーム協議会
  三重県地域密着型サービス協議会
■問い合わせ・申し込み
 一般社団法人愛知県認知症グループホーム連絡協議会
ホームページ http://www.aichigh.jp
メールアドレス forum2012aichi@yahoo.co.jp
FAX 052-485-3883

おしらせ 3
奈良市の仲間たちが企画した催しのご案内です。

第4回kaigo K 講演会 介護からKaigoへ
~めっちゃおもろいkaigo K~
今 働く人に伝えたい
「これまでの認知症支援 これからの認知症支援」

日時:2012年5月19日(土)14時~16時30分
会場:奈良市立中部公民館(奈良県奈良市)
参加費:3000円
出演
 宮崎和加子氏(健和会看護介護政策研究所)
 和田行男

4th kaigo K presents talk live in nara

めっちゃ好評だった昨年に引き続き2回目の企画です。本物のライブハウスでのバンド演奏&トークショー。80人も入れば満パイ、もちろんお酒を飲みながらです。
日時:2012年5月19日(土)18時30分~21時
会場:ライブハウス「ビバリーヒルズ」
   奈良市花芝町6プラザ花芝1F
   近鉄奈良駅徒歩2分
参加費:1500円
出演
 宮崎和加子氏(健和会看護介護政策研究所)
 和田行男

すべて申し込み・お問い合わせは下記へ
■FAXにて氏名・代表者連絡先を知らせてください
 0742-53-8666
■主催:kaigo K


コメント


お疲れ様です。その後も迷いながら〜目の前の現実に向き合い、仕事と格闘しています。和田さんのように極める力はないですが、先日某会議の席で「外出支援について」区の職員が「外出支援は事業所のサービスの一貫と捉えていますか?」と…。当然、参加者である管理者はあきれ顔。もちろん答えは全員当たり前と言わんばかりに「そうです」と答えました。質問自体がおかしいですよ。もし和田さんがいたら、おもしろい展開になったのではないか?と思います。
うちにも無用なセールスが絶えません。もちろん必要ないので…と言うかそんなことをしたらグループホームではなくなってしまいます。地域密着型とは言え指定する立場の保険者がわかっていないことが多いですね。近いうち和田さんにお会いできる日を楽しみにしています。その日まで元気でいたいです!


投稿者: T | 2012年04月24日 22:20

ボクが勤務する施設は、もうすぐ開設1年を迎える。この1年間の記憶が非常に薄いのだが、和田さんのブログを読むと「そういえば」と思い出すことも多い。準備の段階から様々な営業がきた。特養とGHの併設だったのでかなりの数に上ったはずだ。何とかマット、センサーの類から赤外線を使ったものまで。「現段階では使うつもりはありません。」と断ると、非常に怪訝そうな顔をされた。とはいうものの、1年間やってみて、そういう類の商品を特養では何点か購入した。それが今の僕たちの到達レベルと感じている。いつか「介護材料室」に眠らせたいなと思いつつ、そのためには何が必要かをずっと考え続ける仲間を作り増やさねばと。


投稿者: ichi | 2012年04月25日 08:30

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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定価:¥1,680円(税込)、10月20刊行
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著者:和田行男
定価:¥1,470(税込)
発行:中央法規
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