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和田行男の「婆さんとともに」

小規模多機能型居宅介護・考

 平成18年の制度改正で小規模多機能型居宅介護が登場して5年が経過した。それまで全くなかった、自宅での生活を支援する24時間型の支援策である。
 その小規模多機能型居宅介護がややおかしな方向にいっていないかと危惧している。

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 すでに知ってのこととは思うが、小規模多機能型居宅介護(以下、小規模)とは、登録した会員だけに提供される仕組みで、介護報酬は包括払い、介護支援専門員は小規模に配置され、居宅サービス計画と小規模多機能型居宅介護計画に基づいて「宿泊サービス」「訪問サービス」「通いサービス」の3機能をその人に応じて配分・提供することになる。
 その意味では従来型と違って、居宅介護支援事業所の介護支援専門員との調整の手間が発生することはなく、また通所介護や訪問介護のように事業所の開業時間や事前計画(利用日)に制約を受けにくい「即時性」や「自在性」をもった画期的な仕組みとなっている。
 これはとりもなおさず「自宅生活を継続する」ことをメインテーマにおいて企画された支援策であり、24時間体制で自宅生活を支援する仕組みの第一歩として僕は期待を寄せ、職員たちに実践の方向性を示してきた。あれから5年経過したが、このたびの制度改正でもその方向性は堅持されている。

 そこまではいいのだが、そもそもの出発点である「自宅生活を継続する支援策」としての輝きを失いつつあることを懸念しているのだ。
 その一つに、小規模の「宿泊サービス」を「居住サービス」にしているということがある。居住とは自宅にとって代わるということである。
 もちろん、小規模を利用している人の状態が変化してきて、宿泊ではなく居住にせざるを得ないことがあるのは承知しているが、スタート時点から特養やグループホームの入居待ちに使わせたり、老人保健施設の在宅復帰率向上に使わせたりしているとしたら、それは本来の理念から外れている。
 また最近は、お上の誘導策もあって、集合住宅に小規模を併設しているところがあるが、集合住宅+小規模多機能型居宅介護は、住み替え型の新しい生活支援形態として、自宅生活の継続を応援する「小規模多機能型居宅介護」とは別物として位置づけてもらいたいと思うのは僕だけだろうか?
 これまでの支援策は、移り住む・移り住まわせる24時間入居型に比して、住みなれた自宅生活を応援する24時間型の仕組みがなかなか見出せないなかで、「本当は自宅で最期まで」と考える国民を応援しきれない面があったことは否めないし、現行の小規模でも認知症があったりすると難しかったりする。
 そんな中でも「移り住む」のも「自宅生活を続ける」のも、国民の選択肢として並列で考えられる仕組みは憲法から考えても絶対に必要である。
 小規模はそこに踏み出した仕組みであり、僕はかなり可能性を秘めていると考えている。
 だからこそ、小規模の「自宅生活を応援する」という基本理念を歪めることなく運用されるように制度設計するべきであり、小規模という事業が健全に定着できるように、問題点や課題を明らかにして、国民生活に定着するように育むべきだと思っているのだ。
 現在24時間入居型施設に移り住まわされた・移り住まわざるを得ないと判断した人たちに「どういうものがあったら住みなれた自宅生活を続けることができたか」を問えば、少なからずの人は小規模で解決できたのではないだろうか。
 介護保険制度が創設されて10年経った今でも、自宅で最期まで暮らし続けたいと願っている国民は圧倒的多数であることは、講演会等で参加者に問えばみてとれる。
 多額のお金と人手を使った介護保険制度が、国民が最も願っていることに応じられるようにしたいものだ。


コメント


的を射た仕事ではないが、ルール破りでもない。
職業の性質上そんな「各々の良心に委ねられたゾーン」がとても広い世界だと思う。それだけに
「何に対して支払われている報酬か」を心得て仕事をしたい。どうせ破るなら、的を射た破り方をしたい。ぐらいの気持ちで日々やってます!


投稿者: すみこ | 2012年07月19日 00:36

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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