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和田行男の「婆さんとともに」

真っ当な感性

 「キャーッ」と叫ぶ介護職。
 何事かと聞けば、入居者が「ことにはげんでいた」のを目にしたからだが、これって問題はどっち?

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 よく耳にする「入居者の性」に関すること。
 「居室を訪ねると自慰行為をされていたんです」
 「面会者が入居者の上にのっかって…両人とも裸でした」
 「入居者のAさんとBさんが…」
 などなど。
 こうした「こと」が起こるとつい「問題視」しがちだが、これってよーく考えると「見られたほう」にではなく「見たほう」に問題がある。
 一般的に「こと」にはげむときは当事者以外の目を避けるため、他人をシャットアウトできる囲いの中にこもる。
 「こと」にあたることそのものは、生き物として人間として極めて正常な行為であり、連れ込み旅館・ラブホテル・個室喫茶(いずれもすでに死語かな)、自宅や自室など、他者の目を避けるため当事者だけで「こと」にあたれる場所で行うのが正常な行動である。
 そういう視点から特養やグループホームを眺めると、入居者にとって居室は「自宅や自室」にあたり、本来ならば他者をシャットアウトできる場所、まさにプライベート空間であり、「こと」にはマッチした真っ当な場である。
 つまり入居者は、真っ当な場で正常な行為におよんでいたことになり、圧倒的多数の介護職員たちとなんら変わりのない行為・行動をしていたに過ぎないのだ。
 誰にも邪魔されない自分のためにある空間・居室で「自分の快」にひたっていたところに侵入した職員たちは罰せられても、「こと」に当たっていた入居者が問われることはひとつもないはずである。
 違った角度からいえば、特養やグループホームで廊下から居室の中が丸見えになっている「居室の扉」や居室の中から鍵をかけられない扉を見かけるが、そっちのほうがよほど問題視されるべきで、いろいろな事情でそうせざるを得ないと判断した場合でも、プライベート空間を侵害しているのは自分たちのほうであるということを忘れてはならないのだ。
 風呂やトイレにだって、ずかずかと他人が入ってくる特養やグループホームなどの介護現場。誰にも邪魔されない空間は存在しないといっても過言ではないほど異常な世界になっているだけに、そこで仕事をする僕らに欠かせない「世間の普通感」。
 居室に忍び込まざるを得ない僕らの仕事の特異性を意識し続け、やむを得ず「こと」を見かけたら叫ぶことなく「申し訳ない」と思え、「こと」にあたれる入居者の元気さに笑みがこぼれる『真っ当な感性』を失いたくないものである。


コメント


おっしゃる通りだと思います。特に男性は何歳になっても元気ですから。

時々聞く事ですが、認知症の方同士(施設内で知り合いになった者同士)の「こと」の行為で、男性認知症の方が退去になるかもという話を聞きます。

そんな時は外部から施設に何か圧力を掛ける方法はあるのでしょうか?

認知症でも嫌なら嫌という表現をするかと思うのですが、嫌という表現をしていないようなんですね、女性の方も。そうなるとお互いが同意したという風にとらえてもいいと思うんです。


投稿者: のりゆき | 2011年07月20日 12:09

 和田さん、みなさん、こんばんは。

 一番、人が人らしい行動の一つだと思うんです。それを微笑ましく見れるようなホームが作れたら幸せですね。
 生きていて何が楽しいって、人を愛し触れること・・「こと」も一つだと思うんです。それが生きる楽しみになってくれれば、お元気な御爺さん、御婆さんが増えること間違いなし。子供ができてしまったら、違う意味で問題もあるかもしれませんが、子供はできないんだし、合意のうえなら、全く問題ないと思います。そんな微笑ましいホームが全国に増えたとしたら、その時は日本の介護支援も世界一になっていることでしょうね。
 介護支援が世界一になることが大切なのではなく、人が人らしく生きれることが大切です。そんな社会・・とても素敵ですし、私の理想です。是非とも、実現したいものです。


投稿者: 寺内 美枝子 | 2011年07月20日 19:38

 「ごめんね~。って言いながら入っちゃお」「席を外しますね」 「また後で覗くかもー」
 トイレや入浴介助の際に時々こんなことをつぶやきながら侵入・退席しています。決して平気で、ずかずかと人のスペースに出入りしている訳じゃないんだと自分に言い聞かせているみたい(自己分析です!)

 初めてGPSを利用して認知症のある方に一人で外出してもらったとき、私は監視カメラに似たにおいを感じてひどく抵抗感をもちました。そのことを友人に話したら「それはそうなんだけど、‘やっぱり、ここに戻ってきてほしい”‘大切なあなたに”っていう僕ら一人の人としての想い。そのひとつの形なんじゃないのかな」と言われました。
 考えてみたら、トイレや風呂場や部屋を覗くことも、言動を記録に残すことも、今何処で何をしているのかを把握していることも、生活暦をいただくことも、ケアカンファレンスも同じことだよなあって思います。
 大切なこの人+専門職の目としてのこういう形が、間違ってもカゴの中の生物を観察するような目にならないように気を付けなければ。

 先日暑さのせいにして、きつい・疲れた・もうだめだと吐いた私に「まあまあ自分を責めないで」と、よくわかって見守ってくれる友人のお陰で、なんとか日々つないでいます。


投稿者: 夜勤ヘルパー | 2011年07月20日 23:08

追伸
なにそれ。個室喫茶って!


投稿者: 夜勤ヘルパー | 2011年07月21日 00:27

 高齢者の「こと」に関することってとても大切なことですよね。もちろんその方に色気があることって、当然のことだし、素晴らしいことだし、元気の元だと思います。子供ができるわけないのだから本人たちに任せたらいい というのも意見でしょうが、私は少し複雑です。
 その方たちには家族がいます。家族にとってそういう事態は受け入れられるでしょうか。人間、性欲は本能です。しかし、理性というもので判断し、欲に任せるだけでなく、抑制をかけ、社会生活を送ってきています。その抑制が取れてしまうのも認知症という病気ゆえではないでしょうか。
 施設に入っている親が、そういう事態になってしまうということは家族としてなかなか受け入れられないのではないでしょうか。だからといって汚らわしい、というものでもありません。うまく受け入れながらも、「こと」に至らずにすむ方法があると思います。
 決して性を軽んじているわけではありません。その方の「欲」は大切にしてあげたいと思います。不安や不満として残らないような対応があるのではないでしょうか。私に触るくらいなんてことありません。


投稿者: シマシマ | 2011年07月21日 17:04

こんにちは。初めて投稿いたします。グループホームの管理者兼ケアマネです。
もし内のホームでも同じ事が起これば・・・複雑ですね。同意があるなら良い、認知症でも嫌なら嫌と言うはず・・・。

性欲、食欲、睡眠欲この中で、人として生きるに必要な順番をつけてみる。本人、ご家族、施設それぞれの立場があれば、それぞれの想いがあります。

私達は、人として生きています。人が人としての当たり前の感性や個を無くす事は嫌ですよね。「こと」を見た職員の驚きも立派な感性と想います。だから、見られた側の感性も考えていく事も大事だと思います。「職員」と「高齢者」のくくりでは無く、自分と○○さんとの違い、自分と○○さんの感性の違い、何かそんな所から入るのもありかなと。

和田さんへ
もう10年位?前に神戸に来られた際に「施設に向く向かない職員はいると思いますか」「GH協会の研修に行った際にそう聞きましたが、和田さんはどう思いますか」と質問した者です。


投稿者: 博一 | 2011年07月23日 08:51

今日は楽しみにしていた 名古屋初のドイツビールメインのオクトーバーフェストに行ってきた。
さすが、うまい! ウインナーもうまい!
見知らぬ人と楽しく飲んだ。

要介護状態になり、サービス事業所や入所施設等利用者になると、とたんにアルコールについて悪者扱いになりがち。
私は、毎日とは言わない。年に1回でいいのでうまいドイツビールを屋外で飲みたいだけ。
私が要介護状態、認知症にかかったりしたら、続けられるだろうか。
続けたい。

目の前の爺さん婆さんはどうか。
些細な実現できるはずの希望を、ちゃんと察して支援できているだろうか。

うまいビールを飲みながら思う。

今日、楽しく過ごせたことに感謝。


投稿者: まんまる | 2011年07月23日 22:33

夜勤ヘルパーさんへ

 個室喫茶というのは、喫茶店の新型特養やグループホームみたいなもので、入口はひとつ、トイレは共同ですが、個室になっています。
 まあ個室といってもカーテンで仕切られている程度だったので、隣の部屋の物音や声はまる聞こえでしたね。「あ~ん」なんて。
 学生のころや就職したての頃は、金もないしホテルに行くわけにも行かないしで需要があったのでしょうね。結構、繁華街には普通にありましたよ。

博一さんへ

 10年ほど前にGH協会の研修ですか・・・
 きっと兵庫県の事業者団体の研修会のことですよね。何となく会って話せば思い出すかもしれませんが・・・申し訳ない。気になるのは問われて和田は何と答えたのでしょうね。ハハハ
 博一さんのコメントに対してのコメントをまたの機会に記事にさせていただきますね。お待ち下さい。


投稿者: わだ ゆきお | 2011年07月26日 10:55

解説ありがとうございました。形を変え今も存在してるんですね。調べてたらいろんなこと知ってしまいました…きゃっ!


投稿者: 夜勤ヘルパー | 2011年07月27日 22:28

そっかそっか。特異性って言えばいいんですね!

「なんたって変な職業だから、なるべく外の空気に触れて、染まらないように気を付けなきゃね」ってぶつぶつ言って、ずっと白い目でみられてました。

特異性…メモっておきま〜す!


投稿者: 桃まんじゅう | 2011年07月27日 22:36

私は「こと」の場面に出会ったことは無いですが、出会ったら静かに後退して行くと思います。

昔、ドリフターズのテレビ番組で志村けんさんが施設に住む不良じいちゃん役をされていたコントがありました(番組名が思い出せない)。
夜中にバイクで友達と爆走して帰って来たヤンチャじいちゃんを管理人役のいかりや長介さん(だったかな?)が門限やら服装やら生活態度を注意する…次にお腹の大きなばあちゃんが出てきて…って感じのコントがありました。

幼いころはゲラゲラ笑っていた話。今見たら、当時のようにゲラゲラ笑えるかな?


投稿者: わたる | 2012年08月19日 05:54

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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