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和田行男の「婆さんとともに」

継続が制する

 和田さん、ひとをさがして!
 とっても困っている様子がビンビン伝わる声としゃべり方で、友人が電話してきた。
 さがしびとは、介護職でもなければ行方不明者でもない。さくらんぼを収穫する人夫である。
 友人とのおつき合いはかれこれ10年であるが、初めてのSOSであった。これも10年の歳月により、起こるべくして起こった高齢化による影響である。

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 山形県の山中に十数本の木をもつ友人宅は、家族はもちろんだが収穫に参加する仲間がいて、毎年止まることなく、さくらんぼを収穫してきた。
 さくらんぼに限らずだが、農業は自然の影響を受けやすい。そのため、適切な初収穫月日を毎年同じにできるわけではなく、機械的にスケジュール化できるわけではない。
 まさにさくらんぼの出来次第で、それに合わせて人手を調達するのが難しく、もともと第一線を退いた人たちに協力してもらわざるを得ない事情があったようだが、時間の経過とともにお手伝いの人たちの高齢化がすすみ、いよいよ収穫に参加できない状態になったという構図のようだ。
 このまま少子化が続けば、さくらんぼの収穫に限らずどの産業でも高齢化の影響が顕著に出現し、僕らの業界でも高齢者の介護を高齢労働者によって行うことが起こるだろう。いや、すでにちょこちょこ70歳代の方を雇ったなんて話を聞く。
 高齢者の介護ならまだ70歳代でも可能かなと思うが、さくらんぼの収穫は身体を使う重労働であり、臨時的に参加するようでは体力がもたないだろう。
 友人の切羽詰ったSOSに応えるべく6人の仲間に声をかけ、自宅で過ごす時間を削って強行日程の中すっ飛んで行った。6人中2人はまる三日、1人は二日、僕ほか3人は一日の作業である。
 呼びかけに応えてかけつけてくれた連中は、3・11の震災発生直後から一緒に行動した仲間たちであるが「いざ鎌倉」という時に動いてくれる連中は本当に心強い。
 このたびのSOS発信者は、僕にとって単なる友人ではないからこそ本気で応援させてもらったが、呼びかけに応えてくれた連中にとっても大切な人だと思えたから駆けつけてくれたのだろう。
 これからの時代の宝物は、いつの間にか置き去りにしてきた感のある「互いに助け合って」という人と人の関係だと考えるが、震災支援とさくらんぼ収穫支援に共通するものを感じた。
 また来年も4時から16時まで一番苦手な高所作業(実は高所恐怖症なんですわ)に繰り出すことになるだろうが、自分の高齢化もすすむ。
 来年は、さくらんぼ農家を引き継ぐと言っていた友人の甥っ子と同年代の助っ人を募って参加させ、僕と友人の関係で参加するのではなく、甥っ子と助っ人の関係で継続的に収穫支援できるようにと描いている。
 参加してみてわかったのは、さくらんぼ農家にとって「親と親の仲間」から「子」にだけ引き継げば済む話ではないようで、子の仲間にも引き継いでいかなければ継続できないということだ。
 つまりさくらんぼ収穫はチームワークで、このチームで大事なのは人手の数、人手の獲得で大事なのは人と人の関係で、人の関係を築けるのは当事者でしかなく、子は子の器量で関係を築くしかないのだ。
 もともと人の絶対数が減り、都市化で若者が都市へ集中してそのまた絶対数が減った町で暮らす30歳前の甥っ子にとって、また周りも同じような状況下にある「さくらんぼ産地」に住む甥っ子にとって、さくらんぼ収穫を手伝ってくれるほどの友人や仲間を築く条件はよくない。
 人と人の関係を築き、関係を継続できるようにする課題は僕らの業界も同様であり、それをうまくできるところが制するだろう。

 それにしてもさくらんぼは美しかった。美しさに惹かれ一心に摘んだ。
 1年の数時間、数十時間、きらきら輝くさくらんぼだけを見つめて一心になることを研修化すれば、さくらんぼ農家にとってもうちの職員にとっても悪い話ではない。しかもさくらんぼのつまみ食いができ、これがメチャ旨いからたまらない。
 これも本気で検討してみようかなと思っているほど「いっときのさくらんぼ収穫作業」に魔力を感じた。
 今日もまだ後輩2人が残って作業している。きっと何か語れるものを感じて帰ってくるはずだ。
 SOSをくれた友人に感謝し、呼びかけに応えてくれた連中を尊ぶばかりである。
 今日は身体の痛みでさくらんぼを思い返している。ハハハ


コメント


さくらんぼ農家の御友人、お手伝いの和田さん、お友達、お疲れ様です。
私の友人も、親の代から引き継いだ兼業農家です。電話がかかってきて、「子守りか作業か。」と言われ、馳せ参じています。大抵子守りになりますが。

なんだかなあと思ったり、じいちゃんの底力を目の当たりにしたり。
じいちゃんは、ある事故がきっかけで要介護状態になった。じいちゃん含めて家族は3人。足腰は要介護状態のじいちゃんが1番元気。本人家族だけで、行政・病院・保険屋と右往左往して途方にくれていたところで出会った。間に入ると話はスムーズ。家族の話では、同じことの相談を今までしていたが全然進まなかったとのこと。

再度入院。医師看護師から、こんな危険な人は治療できないと言われた。家族とともに病棟に対応のコツを伝えたのになかなか通じない。。。
早めに退院。
その後じいちゃん、なかなかキュートな暮らしぶり。
先日通院した。じいちゃん、なんでここにいるのか、待たされているかは忘れてしまうがその都度説明すれば、待っている。採血レントゲンも、いつも暴れると言われていたが、家族とともに真剣に説明したらすんなりできた。自分より調子が悪そうな方に場所を譲ったりもできる。「さすがジェントルマン!」と伝えると、「おれも80過ぎた大人、当たり前。」と返してきた。じいちゃん、素敵。
今日もじいちゃんとドラゴンズ談義に盛り上がった。


投稿者: まんまる | 2011年06月28日 21:08

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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