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和田行男の「婆さんとともに」

繰り返し・積み上げ

 全国にはいろいろな地名があるが、山口県周南市にある「夜市」と書いて「やじ」と読む地名に出会った。余談だが、僕の大先輩に「世一」と書いて「よいち」と読む人もいる。
 夜市…夜遊びムードいっぱいの地名であるが、そもそもは夜に市が開かれていたのかなぁ。今でも夜は賑やかな町なんやろか。何となく男心をそそられる地名だ。
 その町のグループホームで仕事をする若者が「僕らの仕事は繰り返しじゃなくて積み上げでしょって仲間には話すんですけどね」って語ってくれた。
 「繰り返し」と「積み上げ」…いいテーマである。

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 辞書によると「繰り返す」とは「同じことをもう一度あるいは何度もすること」とあり、「積み上げる」とは「ある物事を順次重ねていき高い水準に達するようにする」とある。
 そもそもの話をすると、毎日毎日同じことの繰り返しでつまらないと退職を願う人たちが若者の周りにいるようで、その人たちについて語っていたときに、「自分たちの仕事は同じことを繰り返しているように見えても、実は積み上げているんだ。積み上げていかなきゃいけないし、積み上がるようにしなきゃいけないんだ」と熱く説いたそうなのだ。

 話はまったく変わるが、“銀だこ”というたこ焼きのチェーン店がある。
 食べたことのある人も多いと思うが、このたこ焼き屋はビジネスの世界では急成長企業として有名で、ある番組で急成長の理由が紹介されていた。
 僕が子どものころからたこ焼きは、焼くところを大道芸のように見せながら売るのが一般的だ。
 たこ焼き屋のおっちゃん・おばちゃんが手際よく大胆に鉄板の穴ぼこにたこ焼きの素を流し込み、千枚通しを上手に使ってこんころこんころひっくり返し、焼きあがった頃合をみて船の形をしたお皿にひとつずつたこ焼きを廻しこむように盛り付け(言葉にしにくいなぁ)、ソースをハケで塗り(ペンキ用の刷毛?)、鰹ぶしとのりをふりかけ、爪楊枝を差し込み、新聞紙でくるみ、輪ゴムをくるっと回し「お待ちどうさま」と声をかけてくれ手渡ししてくれるまでの流れる技に、わくわくどきどきしながら見入ったものだが、その「技を見せて客を魅せる」のが急成長のキーワードだというのである。
 しかもここは「千枚通しの二刀流」という技で魅せることを売りにしており、客は二刀流の千枚通しを使って華麗に舞う“たこ焼き職人の姿”に魅せられ買っていくというのだ。
 たこ焼き作りこそ単純な繰り返し作業のように見えるが、職人たちは「日々勉強です」と熱く語っていた。まさに経験を積み上げ常に上を目指しているのだ。
 改めて僕らの仕事を俯瞰すると、特別養護老人ホームのようなところで行われている流れ作業的なオムツ交換の場面も、オムツを交換するということだけを見れば同じことの繰り返し作業的に思えるが、そう思ったとたんにその作業にとりかかる人は、おむつ交換マシンと化し、オムツ交換作業員となってしまうだろう。
 そうなると、オムツを交換するという同じことの繰り返し作業が介護の仕事と思ってしまったとしても不思議ではない。
 僕は『大逆転の痴呆ケア』で「働かないで仕事をしよう」って書いたが、仕事はまさに積み上げで、それはどんな仕事でも同じではないだろうか。
 愛知県のとあるショッピングセンターのセンター入り口に立って車を誘導する係員の中にひとり、他の係員とはまるで違うジェスチャーで華麗に機敏に愉しそうに車を誘導する人がいるが、見とれてしまう職人技である。
 職人さんは人間国宝の技を持つ人でさえ「生涯学び」と言う。
 生活支援の一場面にしか過ぎない排せつ支援ひとつとってみても、マシンではなく職人になるには、同じことの繰り返しの中に積み上げることを意識することが必要で、それを追求というのだろう。
 若者に言い忘れたが、繰り返しの積み上げに学びがあり、学びを感じる繰り返しが積み上げになるということではないか。
 よろしく。

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・連絡先:FAX番号もしくはメールアドレス (代表者)
 を記載の上、お申込ください。代表者のみでかまいませんが、参加人数は明記してください。
 申込をいただいた後、主催者から「受付番号」と「受講料の振込み先」を、申込時に記入いただいた連絡先(FAXもしくはメール)に送るとのことです。振込み完了で受付完了となるようです。


コメント


 和田さん、先日ははるばる山口までありがとうございました。夜市の若者です。積み上げの中に、輝きを見つけ一日いちにちを大切に生きている若者も数多くおります。そんな仲間たちを超~大切にしていきたいもんです。
 今回講演に参加したうちのスタッフも、帰りの車では既にキラキラと輝いていました。ありがとうございます。
 追伸・・夜市は田んぼと畑に囲まれたのどか~な地域です。夜はイノシシなんかが夜遊びしてるかもです(笑)


投稿者: のんた | 2010年11月17日 12:57

テキパキ動くスタッフの邪魔にならないよう、掃除や入浴準備しか出来なく(しなく?)、卑屈になりかけた時、同僚(現上司)が「コミュニケーション」について話をしてくれました。

その同僚の「コミュニケーション」のマネを始めました。

毎日マネていたら、ご利用者のちょっとした変化に気付くようになりました。

私の根拠の無い直感ですが、他のスタッフやナースに報告。
取り越し苦労がほとんどでしたが、大事の前の小事であってほしい…。

あるご利用者に「あんたの顔見ると、トイレに行きたくなる」と言われた時、私の顔って…と思いました。
でもご利用者が行きたい時にトイレ介助が出来るのは嬉しかったです。

もしかして、マネの積み重ねの成果が出ているのでしょうか?

今日も介護の仕事が好きな自分に気付きました。

同僚(上司)と和田さんの言葉に感謝。


投稿者: わたる | 2012年08月04日 00:52

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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