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和田行男の「婆さんとともに」

お寒い

 ときどき、どうにも描けないときがある。どうにも文章が書けないのだ。スランプなんていう言い方もあるようだが、スランプ(心身の調子が一時的に不振になっている状態。また、実力が発揮できず、成績などが一時的に落ち込んでいる状態)ではなく、頭がストップして単に描けないだけである。
 どうにも書けないお寒い状態なので、思いつくままのことを書いてみた。

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 ある婆さんが「手引き歩行」されていた。職員が婆さんと向かい合って、両手を引いて歩いていた。どこでもよく見かける光景だ。
 僕がこういう光景を見て考えることは、「本人の状態」と「介助されている婆さんの姿」とのすり合わせで、本人の状態からこの手引き歩行がベスト&ベターならOKである。
 僕の基本は「取り戻し(リハビリテーション)」なので、この婆さんに対しても「独歩二足歩行の姿」を描き、なぜそれができないのか・どうしたらそれを取り戻せるかと思考する。
 だから「手引き以外の方法がないのかな」という疑問となり、疑問を解くために欠かせない情報として本人の状態を知りたくなり、職員に「この人はどういう人?」「他に方法はないの?」って聞きたくなる。
 この婆さんのことはまだ聞いていないが、うちの職員たちがこの記事を読んで、手引き歩行している実態があれば「自分のところやろか」となり、僕にメール等で「自分のところですか」と聞いてくるはず。
 いつも「なぜ?」って疑問をもつことは面倒くさいことだが、その疑問を解くことが自分を拓き、自分を磨いてくれるのである。

 僕は下駄履きだ。下駄履きを経験するとやめられなくなる。
 下駄のいいところは左右がないところ。どっちを右に履こうが左に履こうがかまわないようにできているのだ。

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写真 展示されていた五本指下駄

 いや、左右交互に履くことで下駄の足を均等に減らせるから「片べり」を防ぐことができ、使い切ったら薪にできる。土の中に捨てても問題はない。エコで環境にやさしい履物なのだ。ただし、現代社会においては音害がある。
 道路はすべてコンクリート、どこを歩いても下駄の音が鳴り響くから、気になる人にはうるさく感じるだろう。僕も電車を使うときは控える。
 もうひとつは、所在をつかまれてしまう。下駄を履いてる人が超少ないため、町を歩くとすぐにばれてしまうのだ。うちの職員たちは下駄の音が響くと「逃げている」ことだろう。
 婆さんたちは「うるさい」なんて言わない。「懐かしいね」って言う。環境問題が叫ばれている時代、ゴム製品ではなく木製の下駄が見直されるときがきっとくるだろう。


 祝いの方法はさまざま。僕に送られてきた「結婚祝い」にはこういうものも。

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写真 結婚お披露目会に来てくれる予定で準備してくれたのだが、急遽キャンセルになったので写真にして送ってくれた

 友人のここまでの気持ちに「ありがとう」を言うよりも先に、「この散発屋、習字の心得があるのか」って確認してしまった。これも「知りたがり」という職業病かね。それとも和田病?

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 これは歓楽街で見かけた看板。

 風俗店などを紹介する歓楽街の「観光案内所」のようなところに掲げられている看板だが、それ以外にも就職情報誌などにも地域密着型というキャッチフレーズを見かける。いずこも「売り」は「地域密着型」のようである。

 夏といえば「行水」、行水といえば「たらい」、たらいといえば…

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 今はビニール製のプールが主流だが、僕の子どもの頃はアルミ製のたらい、もっと前は写真のような木製の桶が子どもの行水に使われていた。ステキやろ。もっと日本の文化・技術を大事にしないともったいない。超暑い毎日だが、大人が行水できるくらい余裕ある社会を築きたいね。

 ただ、行水しなくても、仕事の途中でシャッターだらけの商店街を歩くと、子どもは何ともないやろうけど、大人は凍りつける。

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 沖縄のビーチに座ってたおばあが「人が少ない、若い子がお金を使わない。不景気やねー」って常夏やのに凍りついてたわ。
 熱くてあったかいけど涼しい社会がいいなぁ。お寒いのは勘弁してもらいたい。


コメント


 念願の和田さんブログに登場です。
 でも頭だけ•••。
 木のたらい良いですね(^^)


投稿者: 梅ぱんつ | 2010年07月27日 16:21

 はじめまして、貴方の本を読ませて頂きました。
 今、私が直面している課題にピッタリと当てはまり明日からの、婆さん達の人としての暮らしに人として繋がるように共に活きて生けるように頑張ります。
 ありがとうございました。


投稿者: ゆかちゃん | 2010年07月27日 19:55

 梅ぱんつさんのセンスに1票!

 和田さんとこで働く職員さんにも察して!一票!

 どうにも書けない状態を利用して、ひと味違った便りを送ってくれた和田病の和田さんにも、感謝の1票です!でも、
 たまには「休業中」の看板、出しても大丈夫と思いますよ~


投稿者: 桃まんじゅう | 2010年07月28日 04:00

 たまには「休業中」の看板。あってもよいですよねーー!そういうの大好きです!(でも、反対意見もいっぱいありそう・・・人っていろいろ)


投稿者: ザキ | 2010年07月28日 21:06

 お疲れ様です。和田さんのペースでたまに休んで下さいね。

 癒しの場所にたまには行って下さい。


投稿者: 畑 | 2010年07月29日 22:20

 「なぜ?」って疑問を持つことが→自分を磨く!
心に響きます。
 ”下駄”主張に至っては、和田モノローグ・・ どこまで主張すんねん!!ってほどに好きです。
 いつもやる気を引き出してくれる和田さん語録ありがとう。


投稿者: てんまり | 2010年07月30日 11:24

てんまりさんへ

 僕ごときの言葉が「やる気」につながっているなんて光栄です。
 確かにどこまでも主張しててるなァ。ただしおかしいのは、写真の下駄では交互にはけんとこやね。はけるって主張してるのにはけん下駄の写真の掲載。これも主張なんやろか。

畑さんへ

 僕が思い描ける「畑」さんなら、ひとこと。
 8月5日に「癒しの場」へ出掛ける予定です。よかったら来てくださいませ。

桃まんじゅう&ザキさんへ

 近々実行しますね。お待ちを!


投稿者: わだゆきお | 2010年07月30日 14:23

「なぜ?」って疑問を持つこと→自分を磨く!
 全く同感です。若い人?新人?ベテラン過ぎる人?「なぜ?」という疑問すらわかない。見たこと、聞いたことが全てで疑問すら考えられない人が多すぎる。言われたことや決められていることはきちんとできるのに。
 指摘し、アドバイスすると「そうですね」ととても素直に共感するのに、自分では全くそんな発想がなかった というんですね。その人を想う、その人を知りたい、という気持ちがないからだと言って来ましたが、何がかけているのでしょうか。


投稿者: シマシマ | 2010年07月30日 19:28

 あ、ざんねん。つっこみ入れようとおもったのに先をこされてしまった。交互に履けない下駄。もうひとつ謎が。靴ならまだわかる。でも下駄で5本指の利点ってなに?

 こないだ、あるじいちゃんの認定調査がありまして。「100-7は?」「そこからさらに7を引くといくつ?」の後者の質問に答えられなかったじいちゃん。よほど悔しかったのか、調査員が帰ったあと計算機を取り出し、答えを導きだしていた。

 ある夏。酷暑には逆らわず、皆で‘へたばること’にしてみた。職員も利用者も老いも若きもみ~んなで休めばこわくない。昼食後のひととき。ホームの照明を全て消し、手を止め、口を止め、ただただぼーっと流されてると、頭の中まで涼を感じる。それはそれで妙な一体感が。外から来たひとは、一瞬かたまりますけどね。


投稿者: こま | 2010年07月31日 02:26

こまさんへ

 利点ではなく、職人の心意気でしょね。こういうもんを作ってやる!みたいな。


投稿者: わだゆきお | 2010年08月01日 06:18

シマシマさんへ

 むかし。職場で靴下を干していたら「なんでそっち側をピンチではさむの?」と質問をくれた先輩がいました。指導でも注意でも答えを教えてくれたわけでもない、ただ問いをくれたその人を思い出すのは、いつも私の硬い頭をほぐしてくれているのは、考えることをさせてくれる出来事や人の声だったと思うから、かしら・・・久々に思い出しました!

わださんへ

 すきな言葉がまた増えました。音読みがみな同じなので並べてみます。(辞書不使用、勝手な解釈です)
 粋に活き活き生きる心意気・・・くどっ!


投稿者: こま | 2010年08月02日 01:38

 ふと顔を上げて、我が施設を見てみると、あちら、こちらに手引き連行!?されている方々の姿が、、、。(苦苦苦笑・・・というより笑えない)
 それなりに言い訳は出来るものの、他の手立ての追求や今の手立てに疑問を持っているかといえば、、、。
 手引きは駄目!と決められた事を守らせる形では手引きだけがなくなり、追求がされませんので、手引きはおかしな事では?と己が気がつけるように、導いて参ります。


投稿者: 和田さんでいう、うちの職員 | 2010年08月02日 16:10

 連行かあ(苦笑!)・・・まさに。
 「連行しまーす!」、と言って手引き歩行をしていた仲間がいた。誤解をおそれずに書くと、介護服や抑制帯がよろしくないと消えていく中、それら「物」に代わって意識もせぬまま「人の手」が、その種の道具になってはいないか、と思うと、「連行しま~す」と言える仲間は、まだ、自分の行動に認識があったと思えてしまう。
 (ちなみに「連行されま~す」っていうお相手とのコントみたいな空気がその場にあったことも一応。禁句マニュアルがあった時代なら追放されると思うけどね~)
 
 職業病の症状が、「世話したがり」から、「知りたがり」に変化しているなら、つなぎ服が消えることより大きな時代の変化かなあと思う。
 時代の波にのりたいなあ。


投稿者: 夜勤ヘルパー | 2010年08月04日 01:49

 1月28日のセミナーに参加指せて頂いた介護家族です。 多分ただ1人であった様に思います。
 直接お話しをさせて頂きありがとうございました。
 私は妻としてもっと他に良い介護ができていたなら夫をこんなに進ませなかったのではないか等々、後悔や罪悪感にさいなまれ、夫に家で暮らしてもらう事が大切な事と信じてきました。そして、夫は(私も)この様な状態で生きていく事を望まないと、それは今でも少し思います。でも和田さんに「夫と認知症を別に考えなさい」と言われました。
 今までずっと医者、介護者、相談センターのほぼ100%の人から言われ呪縛されてきた「受け止める事から始まりす・・」の言葉から何故だか少し解放された気分です。
 そしてもう一つ、私が心から信頼する、以前お世話になった施設管理者が私をここまで導いてくれました。今回のセミナー参加もその一つです。何回かこういったセミナーに参加し多くの介護者の方々が本当に認知症本人と家族の事を心から考え試行錯誤しながら頑張っておられる事を学びました。
 これから私はそういったプロの方々に夫の未来を託そうと思えるようになりました。
 和田さんの心のある痛快なトーク楽しかったです。
 ありがとうございました。


投稿者: 全身全霊で夫と向き合い自爆した妻 | 2011年01月29日 21:42

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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