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和田行男の「婆さんとともに」

「やっさん」

 地元では名の知れた「スキンのやっさん」を紹介したい。

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 やっさんは、この道16年の大ベテランだが、元は化粧品のセールスマン。
 わけあって(名誉のために:堅気の理由です)この道に足を突っ込んだのだが、最初の一歩が特養の立ち上げだったとか。
 立ち上げに参画したいと願っているベテランはたくさんいるが、それが叶う人はほんのわずか。なのにやっさんは、ずぶの素人のまま参画。僕から見れば、何とも恵まれた人である。
 とは言え「なんにもわからない」状態なので、ある施設に実習に出たそうだが、これがやっさんの堅気に触れた。
 この実習はやっさんにとって大河に注ぐ一滴の湧き水のようなもので、今の源になっているそうだ。
 そこで見た光景とは・・・
 今では見なくなった上下一体型つなぎ服を着せられた、ひとひとひと。
 まるで「自動車修理工みたいだな」と思ったそうだが、どうもそれとは違うつなぎ服。よく見るとジッパーが後ろについており、ジッパーには鍵がついている完全封じ込めタイプ。濡れたオムツを自分ではずしてしまうので考案された当時の「革命衣」である。
 きっとここまでなら「なるほど」と思うだけだったかもしれないが、驚いたのは排泄介助と称して行われた光景で、まるでアメリカ映画に出てくるギャングのように婆さんを一列に並べて壁に手をつかせ、背を向けた婆さんのつなぎ服の鍵を解くシーンが目の前で行われたからだ。
 こうした光景を知る介護職は少ないかもしれないが、当時は日常的な光景だったのかもしれない。
 スキンのやっさんのステキなところは、そのことについて「何かおかしい」と感じ、立ち上げの仲間たちと話し合ったことにあると僕は思う。
 ズブの素人であるがゆえに、スキンのやっさんには専門職が失いがちな「ふつうの市民感覚」があったはずで、素人ながら「あれでいいのかな。何かおかしくないかな」と思え、それを仲間と確かめ合ったということで、探究心に満ち溢れた?好奇心旺盛?な素人だったのだろう。
 大学・専門学校で学びの時期、実習先で「なんかおかしい」と思えていたこと。介護職になったピカピカの頃、先輩たちの言動に違和感を抱いていたことを、時間の経過とともに忘れてしまい、やがては自分も同じ言動をするようになりがちな中で、失いがちな「ふつうの感覚」「なんかおかしい感性」を16年間も失っていないスキンのやっさんはステキだなと思った。
 人間の「その気」を持続することは難しい。
 残念なことにいくら気をつけていても、気がついたら婆さんに非人間的とも思えるひどい言葉をかけてしまう自分になってしまう。どんなに意識をしていても下がってくる。下がってくるほうが自然で、自然のままにしない力を働かせることによって維持できるのではないか。
 痛ましい交通事故の写真を見せられたその時は「もう飛ばすまい」と決意し、しばらくは速度を守って走ることができても、いつの間にか同じことを繰り返してしまう。
 「頭ではわかっている」という言い訳がましい言葉を「頭でわかっていないから起こる」と置き換えて考えると、やっぱりどこかで「たいしたことじゃない」と思っている自分に出会うことがあるが、同じようなことが介護現場でも起こると考えるほうが自然ではないか。
 だから反復が欠かせなくなるし、仲間と語り合うことが欠かせないように思う。
 スキンのやっさんは熱く語りまくるが、それは自分への言い聞かせ(反復)ともとれ、その努力こそが「何かおかしい」と感じて「これだけはあかん」と専門性に結び付けたことを16年間経年劣化させず、いつまでもきらきら星のごとく輝かせているように思える。
 スキンのやっさんには、所属する法人の内外に、肩書き、経験、資格にとらわれない仲間がたくさんいるし、その仲間たちも熱い。ちんちんなのだ。
 僕も全国各地に散らばる「やっさん」に出会えるのが楽しみで「愛に意気たくなる」し、語り合いたくなる。
 やっさんにまた会えますように。


コメント


 和田さん、先日はありがとうございました。
 以前のように仲間と話をして、重たい脚を踏み出せるように行動してみます。
 次にお会いできる時に、少しでも経過報告できるようにがんばります。


投稿者: nonta | 2010年03月08日 13:35

 私も「やっさん」が大好きです。
 和田さんの次に・・ですけど・・
 やっぱ、熱い人ってイイですよね


投稿者: Anonymous | 2010年03月08日 19:32

 和田さん。私の事を「スキンのやっさん」とよんでいただいて有難うございます。ちょつと気に入ってます。
 400人の前で和田さんと認知症の話ができたことは、ホントにいい思い出になります。超緊張した中にもボケとツッコミで楽しいひと時を過ごせました。
 私も改めて自分の原点を感じることができたし、会場に来ていた私たちの仲間も、楽しい中にも色々と感じることができたと思います。
 少しずつですが、自分たちにできる活動を頑張ってやって行きたいと思います。
 本当に元気をいただきました。
 有難うございます。
 また、会える時まで歳をとらんようにして頑張っといてください。


投稿者: やっさん(本人) | 2010年03月08日 21:39

 はじめまして。
 私はこれから介護職に足を突っ込もうとしている者です。
(ヘルプマン!のフォーラムで「就職活動中です。」と言った者です…。)

 実習先での違和感をずっと持っていようと思います(^O^)/

 あ、その前に就職先を決めなきゃですが(^_^;)


投稿者: タカム~チョ | 2010年03月14日 23:55

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プロフィール
和田 行男
(わだ ゆきお)
高知県生まれ。1987年、国鉄の電車修理工から福祉の世界へ大転身。特別養護老人ホームなどを経験したのち99年、東京都で初めてとなる「グループホームこもれび」の施設長に。現在は大起エンゼルヘルプでグループホーム・デイサービス・小規模多機能ホームなどを統括。2003年に書き下ろした『大逆転の痴呆ケア』(中央法規)が大ブレイクした。

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