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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

「CADL研究会」の第1回発表会!

 11月17日(日)、ようやくCADL研究会の第1回発表会が終了しました。この勉強会を始めて約半年、手探りをしながら進めてきましたが、皆さんに「まずは、伝えてみよう。そして評価をいただこう」と、メンバー一同、開くことを決めました。
 タイトルは、「CADLの視点に立ったケアマネジメント実践報告&シンポ」です。

 全体は3部構成です。(1)私の講義、(2)実践報告(2事例)、(3)ミニシンポの順序で進めました。

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 冒頭、私は「人間の全人的理解とCADLの視点」の講義を1時間行いました。何しろ初めて耳にする人もいるので、ここで正しい定義づけをしておかなければと思い、いつもより力が入っていたようです。(^_^;)

 「CADLとは、従来のアセスメント分類であるADL,IADLに新たな概念として設定したものです。私はADLを生命・快適動作(行為)、IADLを暮らしの動作(生活行為)と読み解いています。では、CADLとは何か? CADLとは、その人にとっての楽しみ・心地よさ・夢中になれること・趣味などを指し、英語では、Cultural activities of daily livingと表記します。つまり文化的日常生活動作、それがCADLなのです」

 この講義では、日本国憲法の第25条第1項に定められた「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」も引用し、いかに、文化的な暮らしが私たちの生活を彩りあるものにしているか、そしてそれが、要支援・要介護状態となった方にとって、動機づけ・意欲づけのキーワードになることを説明しました。

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 そして、いくつもの写真やエピソードを示し、「その人なりのCADLの達成を課題化することで、ADL・IADL・体調管理が、短期・長期目標・サービス内容に位置づけられることになります」と話しました。

 つまり、ADL・IADL・体調管理が「目的化したケアプラン」ではなく、ADL・IADL・体調管理が「手段」となり、CADLが「目的化」したケアプランが可能となります、と講義をしました。


 第2部の最初は、要介護1の女性(91歳)への実践事例です。発表したのは、板橋区の主任ケアマネジャーである小澤徹さん。ケアマネ歴8年の方です。

 91歳の利用者も、家族も、これからの生活に意欲をなくして、淡々と日々が過ぎているケースでした。が、私たちの事例検討会でCADL学んだ小澤さんは、早速、たまたま部屋に山積みになっていた絵画に着目。それを話題にしたことで、本人の気持ちが前向きに変わり、ケアチームが展覧会開催!に向け、一致団結できた実践事例の報告でした。

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 2事例目は、要介護3の元鉄道マン(65歳)の方です。発表したのは、墨田区で主任ケアマネジャーとして活躍する蛯谷典子さんです。ケアマネ歴13年、歯科衛生士であり社会福祉士の資格をお持ちです。

 利用者の方は、糖尿病と難病を抱え、落ち込む日々が多かったといいます。しかし、趣味が社交ダンスとわかり、そのことへの思いを動機づけに活用して、ケアチームと家族も一緒に協力して、再びダンススクールに通うようになったという実践事例の報告でした。
 周囲の変わりようは、池に石を投げた輪が、さざなみのように広がるような様(さま)だったと語ってくれました。

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 第3部は、ミニシンポ「ケアマネジメントにおけるCADLの可能性」です。介護保険で定着した日本のケアマネジメントの10年を振り返り、その到達点と問題点について、現場で日々取り組む研究会メンバーから意見が出されました。そして、私がそれらに論評を行い、団塊世代が後期高齢者になる2025年に向けたケアマネジメントとCADLの可能性について、参加者も含めて語り合いました。

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 最後に、参加された方々のアンケートを一部紹介しますね。

 「ADLとIADLとCADLの関係について、確信が持てました。ICFの考え方が定着してきた昨今、やがてCADLが定着し、これを実践できるケアマネが増えるとよいなと思いました」(K.Eさん ケアマネジャー)

 「事例発表では、CADLの視点により、その人が希望を持てる、輝ける時間を過ごせるプランになっているのに感動しました。そして、ちょっとしたひと言を拾うことの大切さを学びました。その人が希望を持ち、自律した暮らし・生き方ができるようにするために、CADLの視点は必要であると感じました」(K.Oさん ケアマネジャー)

 「CADLは本人のモチベーションを高め、個別性のあるプランになると思いました。CADLの視点なら、いままでの生活のなかで、何が良かったのか、楽しかったのか、やり残したこと、これからやりたいこと、望む生活をご本人から引き出しやすくなると思いました」(S.Tさん ケアマネ歴13年)


 来年は、2回くらいは実践発表会を行えればと思っています。
 (あくまで予定ですが・・・(^_^;))
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【研修会場・写メ日記】
静岡県・社会福祉法人「ひかりの園」第2回リーダー研修会「伝える力~プレゼンテーション~」
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東京・府中市地域包括支援センター「サービス担当者会議の進め方」
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静岡県焼津市介護保険課主催「ケアプラン点検」研修会
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熊本県菊池市「地域ケア会議活用推進事業研修会」
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北海道江指町「地域ケア会議活用推進事業研修会」
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コメント


 先日、よそで生活アセスメントというものを学習しました。そこで講師の先生が健康で文化的な生活が入っていますか?と質問され、今までそういう視点がなく、ただ単に食事ができる、金銭管理ができる、薬が飲めているなど、アセスメントを最低限の生命の保障ぐらいにハードルを下げていることに気が付き、具体的にどうすれば、文化的なところまで引き上げればいいのかと思っていましたので、CADLの手法はとても有効だと思います。ぜひ、じっくりと学習したいと思いました。


投稿者: 岩原 田鶴子 | 2013年11月29日 09:08

岩原さん、メールの返事が遅れてすみません。

その講師が話された「健康で文化的な生活」こそ「CADL」です。

ADLやIADLは「暮らしの手段」です。そこを明確にするアセスメント領域がCADLです。一度、CADL研究会に顔を出されてみませんか?

またメルマガ「元気いっぱい」(ケアタウンのサイトから申し込みOK:無料)などを読んでみて下さい。

では・・・!(^^)!


投稿者: たかむろ しげゆき | 2013年12月06日 22:04

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

【高室成幸さんの最新刊】
『ケアマネジャーの質問力』
著者:高室成幸
定価:¥2,100(税込)
発行:中央法規出版
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