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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

LoveとLikeの違い

東京の地下鉄、それも新宿の地下鉄の広告は、でかいTVモニターになっていて、広告もすばやく変わるし、動画だって流れています(つまりCMですね)。
先日、ホームに立っていたら、目に入ったのが数年前の「天声人語」を使った広告です。そこには「likeとlove」の違いについて書かれていました。

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要するに「Love」は異質なものを求め、「Like」は同質のものを求める心の作用だというのですが、天声人語では、「確かに愛にはどこか揺らぎがあり、好きには気が合う、自分と同じものを見出した安定感がある」と述べています。うまいこと言いますねぇ(>_<)。


私はコーディネートや連携の研修の際、最初の話として、「皆さんは初対面の人とどのように親しくなりますか」とグループで話し合ってもらいます。
結果は火を見るより明らかで、「同じもの」「共通点」がどこかにないかを探しながら関係づくりをするとの返事が戻ってきます。

多くは、仕事や出身などの共通点を話し合うようですが、なかには「好き」なものの共通点を探し合うグループもあります。
「好きである」「共通している」……
まさに、安定感のあるものから関係をつくりあげることはすばらしいことです。
 

その際、私はあえて、「私は違いをとても大切にしています」と告げます。
すると、皆さんは妙な表情で私を見つめます。そこでめぼしい男性に立っていただき、私とその方と2人が並んで立ちます。
そして「では、私とこの方との共通点を見つけてください」というのです。

出てくる答えは、「男性です」「眼鏡をかけています」「背丈が同じです」「髪が多いです」などなど。実はどんどんと曖昧な基準となっていきます。

ところが……
「では次に、違いを述べてください」と水を向けると、「年齢が違う」「眼鏡のフレームが違う」「着ている服が違う」「髪型が違う」などと、あっという間に答えが返ってきます。

つまり、何が言いたいかと言うと、“違い”は「個別性」であり、“共通点”は「(抽象的な)あるくくり」だということです。

始めに共通点を出してしまうと、違いがやたらと目立つことになります。一方、違いを前もって認め合っておくと、共通点に対し、意外な親しさやご縁を感じたりするものです。
これは、簡単な心理ゲームともいえます。


ここで話は戻って、「Like」と「Love」についてです。

異質であるものを大切にすること、不安定だけど「お互いがお互いに合わせあう」という姿勢は、愛情(Love)という感情がしっくりとくる印象です。
また「~が好き」(Like)という感覚は、立場や年齢、性差を越えることができるものであり、関係性をつくることも容易にできます。例えばその代表格が「趣味の世界」。そこでは、実社会の立場は一掃され、「~が好き」という一つの基準で測られることになります。

しかしここで注意したいのが、「同調」という名の圧力です。
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学校のいじめの一つが、この「同調圧力」というものだと天声人語は指摘します。好きでもないのに、疎外されることを恐れて話を合わせる子どもたちがとても多いとも。
「好きな子同士」という「Like」で結ばれる関係は、時として心理的暴力になりうるようです。

「つながる」ことの大切さが求められる一方で、つながれない人たち、それ自体を苦しいと思う人たちが、疎外されることがあってはいけないと思います。 


【ムロさんの写メ日記】

多職種連携の研修後に書いてもらった振り返りシート
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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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