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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

「正しいこと」は伝えづらい

 前回は「祝200号」と、手前味噌なタイトルで、自分の原稿にミソをつけてしまったような(^_^;)。だったらミソでなくミスなのでしょうか。あまり深~く熟慮しながらというより、フットワークを大切に書いていると思って下さい。

 昨日、めずらしく午後に「NHKアーカイブス」を見る機会がありました。そこで、昨年他界された数学者の森毅先生を特集していました。京都大学の教授で、飄々とした雰囲気の京都弁がとても好きでした。
 書く本もいずれもユニークで、個人的には数学者では秋山仁先生より好感を持っていました。さて森先生が語る一節です。

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「最近の学生を見ていると、すぐにわかろうとするんやなぁ。それはあかんと言っているんです。わからんから考えるやろう。それが大事なんやね。わからんということは、余裕を生むんですね」
 なるほど……小生が常日頃言っている、「わからないことの大切さ」をこのように表現されているのに、すっかり脱帽です。

 さらに、こんなことも……。
「正しいことっていうのは伝わらんのですよ。すごくむずかしい。でも面白いことはすぐに伝わる。これ、やってみると案外おもろいで、というとすぐに数学でもなんでも興味を持ってくれます。若い子には、齢取ったらおもろいでと言うているんです。それは未来への安心感やと思うんですなあ。今の大人はこれを言わんとあかんのや」
 面白がる……伝えるのに、面白く。なるほどです。「楽しさは伝染する」というのが持論だったようです。

 人生の達人は、「長生き」についてもこんな風に話されました。
「人生50年というのは、江戸時代とか昔の話ですよ。いっきに生きるしかなかった時代はそれでよかった。でも今は80年でしょう。だからは、ぼくは20年を4回生きることにしたんです。(ここで色紙に20年×4回と書いた森先生直筆の文字が登場)。20年おきに生きると考えると、多少の失敗なんかええんですよ(笑)」

 森先生は60歳から俳句を始めたそうです。
「この歳になると、どんな下手くそでも、みんなうまいでんなぁ~と感心してくれるから、落ち込まんで楽ですわ(笑)」

 その森先生、1人暮らしをされていて、2年前、卵料理中にガスコンロの火がセーターに燃え移って、全身の30%を火傷されるほどの重症だったという小さい記事を見た覚えがありました。高齢者の料理事故の恐ろしさが記憶に残っていましたが、昨年の7月24日に82歳で亡くなられていたのですね。知りませんでした……合掌。

 時代の閉塞感と即時情報共有社会……これって本当に妙です。知りたいことをすぐ知ることができるのは、すごくいいことですが、耳や目に入ってくるのは、暗澹たる事柄ばかり。
 そんな時代だからこそ、森先生のように飄々と時代を斬る語り口が懐かしくなります。森先生だったら、不在高齢者の問題や大相撲の八百長問題をどのように語るでしょうかね。

 なお、森毅先生に興味のある方は……Wikipedia でも著書が紹介されています。

ムロさんの写メ日記
 
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全国老施協「第5回課題別スキルアップ研修会」です。今回は、一か月前の研修計画書を持ち寄り、まずはフォローアップです

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A3のシートにバッチリと書き込まれています

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電話の受け答えのロールプレーです。ビデオ撮影をしたあとに再生をして、振り返りに活用しました

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神奈川県生活クラブ生協の第8回参加型福祉ケアマネジメント研究大会。午後の基調講演は小山剛さん〈長岡こぶし園 総合施設長〉
「地域を丸ごとケアする仕組み」

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小生はコメンテーターとして参加でした。私の隣で司会をするのは阿部充宏さん(ラポール藤沢施設長)です

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NPO法人 ワーカーズ・コレクティブ パレットの「あったらいいなの子育て支援」のいるかくらぶの実践報告です。放課後児童クラブの実践はとても興味深かったですね

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参加されたワーカーズコレクティブを実践するみなさん。とにかくパワフルでした(^_^;)


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熊野市の研修会で、小生が監修した週刊ポスト(2月20日号)を見開く参加者の方です


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コメント


やっと春らしくなってきましたね☆
なんだか嬉しくなってきます!

20年を4回生きる・・・
素敵な考えですね。

私もそんな気分です。
20年を2回+?年生きてきて、次のステップに向けて考えていきたいです。

週刊ポスト。
高室先生が監修されておられるとは知らず・・・
友人から電話があり『週刊ポストに面白い記事があるよ~。売り切れる前に買ったから、貸してあげるね。ぜひ読んでみて!』というものでした。
これ、本当の話です(#^.^#)

買わずに申し訳ありませんが、読んでみますね♪


投稿者: 桃太郎 | 2011年02月24日 20:40

20年×2回+αの桃太郎さんへ

 そうですか、週刊ポストがそんなふうに評判になっていたんですね。ありがたいことです。担当の編集者に聞くと「いつものポストより売れ行きはすごくよかったです」とのこと。
 介護特集が雑誌の売り上げに好影響を及ぼすほどに、社会的な関心が高まっているんですね。また読んだら、感想メールでも下さい。

 明日から3月・・・春の陽射しが待たれますね!(^^)!


投稿者: たかむろ | 2011年02月28日 00:00

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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