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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

交渉のマナー

 年が明けて10日以上経ちましたので、ちょっと遅いようですが……
 明けましておめでとうございます。
 みなさん、今年の初日の出はどのような気持ちで迎えられましたか? 「すっかり寝正月で、初日の出なんてとてもとても」という方も多いのでしょうか。小生が目をさましたころは、お天道さまはしっかり空の上にいらっしゃいました(^_^;)。

 月刊『ケアマネジャー』の1月号の連載テーマは「交渉のマナー」でした。さて年明けはこのテーマから入りましょう。

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 よくケアマネジメントの解説に「調整・仲介」という表現がありますが、実際のところ、現場で行われているのは「交渉ごと」ではないでしょうか。
 今回、交渉ごとを「提案・お礼・お詫び」という括りで書きました。

 交渉というとケアマネジャーの要望を事業者等にゴリ押しするような印象がありますが、そう判断するのは20点。
 そんなことしたら双方は傷だらけ? になります。利用者本位と利用者優先とは異なりますしね。それぞれに事情もあり、できないことを無理強いしたら、摩擦も生じます。一歩間違ったら法を犯す? ということにも。だからむずかしい。

 ここで突然にむずかしいお話ですが……交渉の考え方にも時代の流れがあります。
 有名な本にロジャー・フィッシャー著『ハーバード流交渉術』なる本が1981年に刊行され、大ベストセラーになりました。特徴は、交渉を「関心利益重視型」の交渉の有効性を示したことです。それまでの交渉とは、「勝ち負け」であり、交渉に勝つためには説得をし、最後は圧力をかけるというハード型だったからです。

 その意味では「双方にとっての利益」に着目することを説いたことは画期的でした。ソフト型の交渉術は、合意すること自体が目的ですから、意志のぶつかりあいを避けて、双方が受け入れる案を探すという方向になります。だから粘り強さが必要ですし、なによりコミュニケーション力が問われることになります。

 ケアマネジメントは常に交渉のシーンの連続かもしれません。
 その時に一方的に先方の要望(事業所も含みます)を聞いて、相手にそのまま伝えていては、ただの「伝言ゲーム」です。必ず、相手の要望を整理して、それが明確にならなければ2~3の選択肢を示す、そしていくつかの条件を提示し、「仮に~なら……ということではどうでしょうか?」と腹案をいくつか用意しておくと、交渉ごとは効率的に進めることができます。

 さらに交渉ごとを進めるときには「向き合い方」が大切です。
 まずは日頃の感謝、これって大切ですね。できれば自分の感謝だけではなく、利用者(家族)の感謝の代弁者になると、事業所側も「業務への肯定感」(スタッフや現場がほめられると、管理者はとても嬉しいものです)が生まれ、話をスムーズに進めることもできます。

 ただ大変なのは「苦情ごと」の交渉です。正直、気分も滅入りがちです。この場合は、まず「人と問題を分ける」ことが大切です。ついつい人に着目しがちです。すると言いにくい気分で自分の心が押しつぶされそうでしょう。
 まずは「起こった問題」に着目し、仕事として誠実に向き合うことを大前提にすることで、そのようなモヤモヤ感を脱することができます。
 とりあえず謝っておこうは、相手に失礼ですし、そういう態度は案外と相手に伝わるものです。何について謝罪し、どのようにしようと思っているのかの「対策」も用意しておきましょう。先方は謝ってもらうことと同時に、どのように対応してくれるのか、それを期待しているのですから。

 では、今年も始まりました。
 この1年、「あっち、こっち、どっち」をどうぞよろしくお願いします<(_ _)>

ムロさんの写メ日記
 
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今年の初詣でおとずれた東京の明治神宮です。
これが都心とは思えません(^_^;)

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ちょっと寒さでかじかんだ表情の私です(笑)

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絵馬です。たくさんの願いがありました


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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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