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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

マナーな聴き方

 月刊『ケアマネジャー』の読者の方はそろそろお手元に7月号があると思います。今回の特集は「わかる! 初回面接」。初回面接は、援助場面のまさしく最初のステージ。初め良ければすべて良し……古人はうまいことを言ったもの。ということは初めダメならすべてダメなのか? いえいえ、リカバリーはできるでしょう。ただし、第一印象が頭から離れないのも無理からぬこと。
 臆病になることはありませんが、程よい緊張感と相手へのやさしい心づかいは、第一印象を良くしてくれますよ。

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 その点で、『ケアマネジャー』での連載「ムロさんのケアマネジメント・マナー講座」の企画センスは的を得ているのかもしれません。この企画も私の発案でなく、雑誌編集部からの依頼でした。正直、最初は半信半疑だったのですが、4月号を読んだ読者モニターの皆さんの反響を読み納得。
 さらに先週のこと、知人から「高室さん、東京の○○区でマナーの研修をしてもらえませんか?」という相談が舞い込みました。意外でした。この内容で話してもらいたいというのです。実は某市のケアマネ連絡会からもこのテーマで依頼が来ています。

「う~ん、どういう内容にしようか。名刺の出し方・受け取り方、お辞儀の仕方、返事の仕方かなぁ。そうすると元JALのスチュワーデスのマナー講座(笑)になっちゃいますしね」
 なんて軽口を叩きながら、実際の研修をイメージしてみたり。全員でお辞儀、交互に名刺交換……某TV番組でブレイクしたマナーの達人の方のようにはさすがにできないし。たぶん、とても不思議なワークショップだったりするでしょうね(笑)。

 さて、今回の連載第4講のテーマは「聴き方の心づかい」です。話し方の次は聴き方。実はこれが案外とむずかしいものです。スラスラ話してくれる人はまれで、なかなか話が弾まないという悩みはよく聞きます。話し出すとすぐに自分の身内話に脱線して、肝心の意向やアセスメント情報にたどりつかない利用者の方、昔話が延々と続いて腰を上げるタイミングをなくしたり。

 傾聴を「ただひたすら聴くこと」と理解しているケアマネさんは、実は利用者(家族)との言葉のキャッチボールができていないのかもしれません。ただひたすら耳をそばだてているより、うなずきやあいづちがあると、聞いてもらっている(受けとめてくれている)という実感があり、話す利用者(家族)にも安心感が生まれます。
 このような聞く態度(身振り)もケアマネさんに必要なマナーではないかと思います。
 でもそれがずいぶんとないがしろになっている。
 目はつむっていたり、目線をはずせば相手にわかるし、こちらからも相手が見えません。が、耳の穴はいつも開いているので、「聞こえることが当たり前」になっているのでは?

 聞いていますよ・聞こえていますよと相手にわかる「サイン」を示すことは、とりわけ難聴気味の高齢者や目がかすんでよく見えない高齢者の方々には大事なエチケットだと思います。
「○○さんはいつも嫌な顔ひとつせずに話を聞いてくれる」
 この第一印象は利用者(家族)の信頼を得るには抜群の力を発揮します。さらに、「○○さんは私の話に興味を持ってくれた」「私の本音をしっかりくみ取ってくれた」と思っていただけるような「関わり」ができれば、まさに「相談」がその人の援助技術そのものを発揮する場面だといえます。

 私は普段は研修で話す機会が多いのですが、実は人の話を聞くほうが大好きです。知らなかった知識や経験を聞くことで新しい世界が広がるのが、たまらなく好きなのです。そして時に質問しつつ話を聞くことで、話しているその方の新たな面を発見することができるからです。そんなとき、私は大きくリアクションをします。20代のときはリアクションするのにちょっと恥ずかしかったこともありましたが、いまでは楽しくて仕方ありません。80代の方と話していても大きなリアクションで反応するとさらに話に弾みがつきます。

 傾聴の醍醐味……「高齢者の方の話を聴いているだけで、とても勉強になる」というケアマネさんたちの言葉。
 いつもうらやましく傾聴しています。


ムロさんの写メ日記


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長崎市のケアマネジャーさんと食事をしました。向かって右が戸村孝章さん、左が小川輝喜さん。女性ばかりのお店で男3人は肩身が狭かったです(^_^;)


2010062802.gif
長崎の眼鏡橋です


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中国の僧侶の像が建っていました


2010062804.gif
軒下から伸びているアサガオが見事です


今週のメールマガジン「元気いっぱい」第234号は「正しさが1人歩き?」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。  


コメント


 高室先生・・お久しぶりです!すでに7月に入りましたね~今年も半年が過ぎました。先生の日本縦断のお仕事も順調にこなされているようで嬉しいです。
 早速・・読みましたよ~初回面接~なるほどなと・・。うなずきながら読んで。いつも初めての訪問の時は今も緊張しますし、どんな方だろうとわくわくしながら行きます。私もその方の生きてきた歴史をうかがえることが嬉しくて、楽しくて。まだまだ修行の足りない私ですが日々精進してまいりたいと思います。
 「身振り」といえば、○○党代表もすごいな~と思いながらテレビ見てます^^
 こちらも暑いです。お体に気をつけて。


投稿者: hida-kobajun | 2010年07月05日 21:19

hida-kobajun さんへ

お久しぶりです。
先月の名古屋での研修会、お疲れ様でした。

 「初回面接」といえば月刊ケアマネジャーの連載ですね。もう4回書きました。表向きは「ケアマネジメント・マナー講座」ですが、裏テーマは「今さら聞けないマナーの掟」。みなさんの顔を浮かべながら楽しく書いています。

 さて初回訪問の話題です。皆さんは、まさにその方の人生が濃縮した空間(自宅)に最初から訪問するわけですから、その緊張たるや大変なものだと思います。
 新人のケアマネさんで「そのプレッシャーに気が遠くなってしまいそうでした」と語ってくれた人がいます。

 いい意味での緊張感は大切にしたいですね。

 選挙では○○党の党首や候補者が全エネルギーで有権者にアピールしてきます。それをどのように評価したらいいか、7月12日のメルマガで書いてみました。読まれたら、また感想を聞かせて下さい。

 返事の書き込みが遅くなりご心配かけました(^_^;)


投稿者: たかむろ | 2010年07月09日 21:18

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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著者:高室成幸
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