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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

ケアマネジャーの文章力

 この一週間のテレビの話題は「事業仕分け」。従来の各省庁から出された概算要求は大蔵省の「伏魔殿」(正確には殿でなく、よどむほうの澱だったりして…?)で決められてきましたが、それをまずは白日の下に晒すという作業です。
 各省庁の官僚たちが説明をし、それに必殺仕分け人たちが質問というスタイルで「切り込む」わけです。容赦のない指摘に、回答というより「怪答」するのが精いっぱいの官僚や関係団体の人たち。つくづく説明能力やコミュニケーション能力、さらにプレゼンテーション能力が必要だと思いました。
 「現場のみなさんのご努力をしっかり伝えられなかったのを申し訳なく思います」と防衛省の職員がインタビューに答えていたのが印象でした。

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 ケアマネジャーの皆さんもまさに、説明責任はもちろんのこと、コミュニケーション能力を磨くことが今後さらに重要になってきます。
 さてそこで、コミュニケーション力といえば、話す聞く能力と思われがちですが、これは案外そこそこできる方は多いですよね。
 「私、いろんな人とお話しするのは苦にならないので、この仕事をやってみたいなと思いました」
 「人が好きなんです。だから話をしたり、聞いたりするのが仕事でできるなんて、とても向いていると思いました」
 このように、相談援助職の方々はコミュニケーションが好きな方が多いことを感じます。ただそれも、自分の好きな話題や相性の合う相手なら、その楽しさも倍増するでしょうが、利用者(家族)の方々の介護のつらさや先々の生活への不安、回復しない身体の痛みへのつらさからくる「もう死んでしまいたい」という叫びや呟きに、返す言葉もなくなる瞬間はたくさんあるとも聞きます。

 そこで、です。コミュニケーションは話すことだけでしょうか? いえいけ、文字も大切なコミュニケーション・ツールです。
 しかし、相談援助職のみなさんをとても苦しめているのが「文章」ではないでしょうか。一般的に「記録」といわれますが、すべては文章です。いかがですか?
 おしゃべりは「話し言葉」ですが、記録や文章は「書き言葉」です。話し言葉は音声・発声を使っていますが、書き言葉は、ペンと紙(最近では電子メール)を使います。しかし、そこに書くのは「文字」です。英語なら26のアルファベットで済むものを、日本語は和漢混合文にカタカナ表記が入りますからよりむずかしい。つまり、この文章もそうですが、漢字と平仮名とカタカナで構成される、とても複雑な文字群なのです。
 それに日本語では、主語や目的語はどこに位置してもそこそこ通じるのに、述語は最後に来る原則があります。だから最後まで読まないと、その文意が伝わらないということになります。

 「ケアプランの書き方がわからないので教えてもらいたい」
 「居宅介護支援経過記録にとても時間がかかる。どうしたら素早く、相手にわかりやすく、正確に書けるでしょうか?」
 このような相談を受けることが多くなったので、東京のセミナーで取り上げるようになりました。でも私はケアプランはこう書くんだよ、なんてことはしません。まずはみなさん、日本語の構造って知っています? から始めます。だって、素材を知らずして料理はできませんからね。いざ書くとなるとこのあたりが、相当に混乱されるが多いようです。
 もちろん話し言葉も確かにむずかしいんですよ。言い間違えが大変な誤解を生むことなんてしょっちゅうです。これも、日本語特有の「同音異義語」があるからですが…。

 書き言葉はもっとむずかしい。日記なら自分が納得すればいい。自分の世界に酔っていればいいものです。でも、記録やプランとなれば、読んでもらうための「書き言葉」ですから、責任が生じます。それに、話し言葉は「消えもの」ですが、書き言葉は文字として残るわけですから、すぐにいつでも読み返せる点では抜群ですが、間違った文章もずっと残る(^_^;)ということになるから、やっぱり厄介なんですよね。

 明日から長崎県で「サクサク進む記録と文章の上達術」を2日間始めます。これまで東京の東中野で年1~2回やってきたものの出張教室といえます。なんと佐賀や沖縄、山口、京都から来られます。
 どんな展開になるか…たくさんのワークショップも用意しました。ケアマネジメントの世界では注目? のセミナーになるようにがんばろうと思います。

※ちなみに、どうして私がこのテーマで教えることができるか…結構不思議がられます(笑)。実は20代の頃出版社に在職していた時期、編集者の経験から覚えたノウハウを使っているのです。
 長崎での様子、次回のブログで紹介しますね!

ムロさんの写メ日記

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11月21・22日のケアタウン総合研究所主催の「いつどこスーパービジョン」のスナップ。グループスーパービジョンの様子です

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昨日、青森県で「相談援助にいかす質問力」セミナーに行っていました。道路は冬支度のために、雪で埋もれてもわかるための目印のポールが立っていました

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何と、ビルをはさんで道路に橋が…左は警察署、右が県の建物でした。いやいや凄い光景です

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八戸から青森に向かう「特急スーパー白鳥」からの景色です

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東京のタクシーのミラーにカメラが常備されているのにびっくり。犯罪防止のためと交通事故の際の記録用に設置されているとのこと。ですから、後だけでなく、前にもカメラがあるそうです

今週のメールマガジン「元気いっぱい」第203号は「交渉力」です。ケアタウンの公式HPではバックナンバーまで見ることができます。


コメント


 事業仕分けでは介護支援専門員研修の事業費についても仕分け人からの突っ込みがありましたね。
 結果として削減する方向のようですが、研修運営の立場からすると、研修の事業形態が”委託”か”指定”かで影響は異なります。幸い当県では影響が少ないです。
 当県の全ての介護支援専門員研修は”指定”、つまり県が指定した研修機関が自主的に実施する研修という位置付けなので、最初から受講料のみで研修を実施する事業形態となります。よって税金に頼っておりません(この点、未だに「税金で運営しておきながら…」という的外れないちゃもんをつけてくる受講生さんもお見えですが…)。
 しかし、”委託”となると、受講料はほぼ100%税金となります。今回の事業仕分けで影響が出るのは”委託”により運営されていた研修となります。ただ、”委託”とするには、地域性等の理由もあり、それのみで批判されるものでもありません。
 いずれにしても、受講料が上がる県も増えると思います。その時、受講料に見合う研修とできるのか、ますます厳しい時代となりそうです。


投稿者: 研修の裏方 | 2009年11月29日 12:49

事業仕分けで、必要性を答えられないもどかしさに苦しんだ方も多くおられたことと思います。
伝えることの難しさを改めて感じました。

「ツーカーの仲」とか「あ・うんの呼吸」など言わなくてもわかるでしょ!の文化で育っているので、伝える技術を学ぶ機会が少ないのかも・・・です。
私も、大の苦手です!

プレゼンのパワーポイントを上手に作るだけではなく、いかに言葉や文章で伝えられるのか、力量をつけないといけないですね(T_T)


投稿者: 桃太郎 | 2009年11月29日 14:20

研修の裏方さんへ
桃太郎さんへ

 感想メールありがとうございます。

 さて今回の事業仕分けの件です。
 これまで官僚の方々を評する際に「大変に頭のいい方々で・・・」「大変に優秀な・・・」「日本の官僚は頭がいい」という修飾語が必ず付くのですが、そのつけ方を妙に感じたものです。

 厚労省の官僚の方々が言うのも「ずいぶんと詳しいなあ」「よく知っているよなぁ」とは小生も思ったことがありますが、それがイコール頭がいいという表現で思ったことはあまりありません。 だって彼らが考えたというより、いろんな識者や統計からでてきた結果や推測を話しているわけですから。要するに情報ソースをたくさん持っているだからと思ったものです。その点で、情報処理能力は長けているとは感じています。

 今回の事業仕分けでも、いずれの省庁もたしかに優秀そうな顔ぶれがそろっていました。さすがだなと思う人もいました。全体的にはコミュニケーション能力というか、説明力、つまりプレゼンテーション力ではいささか心配になるような場面が多かったですね。

 それほどに霞が関では、内々で通じるコミュニケーションで通してきたのが実態なのかもしれません。なにしろ、あのいかようにも読める通知・通達類の文章を「霞が関文学」と呼び、「素人の方では読みこなせないです」と白状?する官僚が覆面で答えていたのには呆れました。

 民主党には元官僚の出身者も多いのですから、ぜひとも霞が関文学の「読みこなし方」なるマニュアルを期待したいものです。


投稿者: たかむろ | 2009年12月02日 22:02

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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