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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

ケアマネジャーの質問力

 いつも小生のブログを読んでいただき、ありがとうございます。
 さて、先週から左端()の本が変わったことにお気づきでしょうか? 黄色い表紙の「ケア会議の技術」から、金色と黒の表紙の新刊『ケアマネジャーの質問力』(中央法規出版)をアップしてもらいました。
 中央法規の編集部の某女性が「チョコレートのゴディバ風ですね」とおっしゃっていただくような、従来にない装丁の本です。

 先週のメルマガでは「本当にお待たせしました」とコラムで書いたところ、早速に「ご苦労様でした、すぐに本屋さんに向かいます」といううれしい反響もいただいています。
 じつはこの本、昨年中には出版の予定でした。同名の中央法規主催のセミナーを一昨年からやっていたので、受講された皆さんは「ようやく!」というのが実感ではないでしょうか?

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 さて、私がこのコンセプトの本を書こうと思ったきっかけをお話ししますね。実は、さかのぼること『介護予防ケアマネジメント』の本にとりかかる時にふと思ったことです。みなさんの介護予防プランを眺めていた時に、「意向欄」の記載にフトした疑問が湧いてきたのです。
 本人と家族の状況欄は熱心に観察されて、書き込みもこれでもかとていねいに書かれています。なのに、本人(家族)の意向欄は数行もない。「どうしてこんなに少ないんだろう」
 他のプランを見ても同様の状況です。
 「ど、どうしちゃったんだろう!?」ととても不思議でした。
 介護プランの指導もしますから、みなさんのプランをずいぶんと拝見しています。第1表の本人(家族)の意向欄にいたっては、数行なのは当たり前状態で、さらに表記されている文章も「いつまでも自宅で暮らしていきたい」「できるだけ自宅での生活を続けたい」という、無個性で「ワンパターン化した意向」のオンパレードなのには驚きでした。

 さらに、書いてある文章も「デイは楽しい」という過去のことや、「トイレに不自由していて困っている」という現在のつらさへの感想ばかりなのです。
 意向とは未来形です。「これからどうしたいのか、どうなるとよいのか」を書けばよいのです。ところが、それが書けない。しかし「状況」は書けています。つまり状況は観察して「目」で見て書くことができます。しかし、本人の本音や心の声を「観察力」だけで書けるわけがありません。

 そこで、研修の場でさまざまな質問のフレーズを紹介することにしました。ていねいな質問、配慮した質問、順序立てて深めていく質問を即席で紹介すると、なんとみなさんのペンが一斉に動き出すのに何度も出くわしました。
 そして素朴な質問をぶつけてみることにしました。
 「利用者(家族)の方々にどういう順番で質問したらよいか、困ることはありますか?」
 すると……。
 「正直、何をどう質問すればよいか、いつも困ってしまっています」
 やっぱり……でした!! 利用者(家族)の方への「質問」が上手に使いこなせていない、それが原因だったのです。
 以下は、メルマガ(182号)のコラムの抜粋です。

 本人(家族)に語ってもらうには答えやすい・答えたくなる「問いかけ」が必要です。しかし実際は答えづらい、どう答えてよいかわからない抽象的な質問が多用されています。ならば質問力の向上によって、利用者(家族)との関係づくりやアセスメント、そしてスーパービジョンや事例検討会などのレベルアップが飛躍的に図れるのでは? …本書の動機はそこにあります。
 「よい質問」には、利用者(家族)ご自身が人生を振り返るきっかけとなる力があります。時に懐かしい時期に戻る「タイムマシン」であり、かつての自分に向き合う「鏡」となってくれることがあります。
 対人援助職のみなさんにとって「質問」とはまだ知らぬ未知の世界に光をあてる「スポットライト」であり、記憶の森に分け入る「道先案内人」なのです。
 本書では新しい専門用語も誕生しました。「6W1H1R」「閉じた質問・開いた質問・選ぶ質問」。さらにADLならぬ「CADL」まで。斬新で実践的な531の質問フレーズも使い勝手よく用意しました。

 この「531の質問フレーズがありがたい」と感想を寄せていただく方もいらっしゃいます。本書はアセスメントだけでなく、モニタリングやスーパービジョン、事例検討会でも活用できる「多機能型」(笑)となっています。
 おもしろい活用方法があれば、メール等でお知らせください。ご紹介したいと思います。

 本書が相談援助職のみなさんのコミュニケーション現場での「打ち出の小槌」となることを願ってやみません!(^^)!。
 実は「ケアマネジャーの質問力」セミナーが、全国で順次開催されます。大阪会場(8月23日)、福岡会場(8月30日)、東京会場(9月6日)です。詳細・申し込みはこちらへ。

ムロさんの写メ日記
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20日のケアマネジメント学会(横浜会場)の分科会が行われた会場外観です

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スーパービジョンのあり方研究に関する発表の様子です。1人の発表時間はなんと8分。質疑は2分です。ケアマネジャーの成長過程でプラスになる要因、マイナスになる要因の分析は、とても興味深いものでした

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質問をされている様子です。時間が少ないのでせいぜい1~2人。これが残念です

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いつもの「雲海シリーズ」です。窓から広がる雲は、いくら眺めていても飽きません

 今週のメールマガジン「元気いっぱい」第182号は「老いを学ぶ」です。ケアタウン総合研究所の公式HPではバックナンバーまで見ることができます。


コメント


 さっそく、「質問力」購入しました。
 6月に東京で研修を受けて、事業所の皆さんとミニスーパービジョンをして行なってみました。
 自分自身の職員との会話の関わり方を反省しながら、「なぜ?どうして?」と自問自答しているうちに、難しい言葉を使わないで、「今したいこと=未来系の目標」を利用者に聞き出して、できることの確認ができました。いつものように批判的にならずに、各CMさんと「想い」が共有でき、利用者さんも「よっしゃ、やるか。」と頑張ってもらえそうでしたの。うれしかったです。
 確かに時間はかかるけど、職員の「想い」や感情、価値観を知ることができたと、実感してます。遠い東京でした…。でも、先生の言葉を聴き、「質問力」を読んで、職員と私の距離が近くなったような気持です。ありがとうございました。
 また、東京行きますね。


投稿者: N.H サッポロのネコ派 | 2009年07月01日 22:44

 ケアマンジャーの質問力購入し読ませていただきました。
 星印★★★★★満点です。
 何度も何度も読み返し、自分なりに解釈し現場で実行に移しています。
 目からウロコ!ですね。
 是非・是非・青い空・青い海・の石垣島にも講演に来てくださ~い。
 イチャリバチョデー。(方言です)


投稿者: 石垣島より | 2009年10月09日 11:11

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

【高室成幸さんの最新刊】
『ケアマネジャーの質問力』
著者:高室成幸
定価:¥2,100(税込)
発行:中央法規出版
ご注文はe-booksから
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