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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

ネットワーク

 前々回は「ヘッドワーク」前回は「フットワーク」、そして今回は「ネットワーク」です。今風なら「連携」といえばよいでしょうか。
やっぱり語呂合わせが頭にすっと入ってきますね…(^_^;)。

 今日から始まった第8回ケアマネジメント学会(神奈川・横浜)でも、多職種連携をテーマに論文発表される方が多いように感じます。今回の介護報酬改定では、医療連携加算なる「入院・入所加算」「退院・退所加算」があるように、連携そのものが報酬として評価されたわけですから、これはこれで、ある意味いいことです。

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今日19日から始まったケアマネジメント学会(横浜会場)。壇上に並ぶ理事の方々です

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 さて「ネットワーク」のことです。
 読者の中にも、ネットワーク上手になりたいとお考えの方も多いと思いますが、ここで高室流の勘所をお伝えしたいと思います。参考になれば何よりです。

 第一の勘所は「顔が見える関係づくり」ですね、なんといっても。
 どこの誰かを名前や所属で知っている、写真で知っているだけでなく、表情や声も含めて「パッと」印象がわかるほどに先方と顔の見える関係をつくっているということが、いざとなった時に強いんです。
 よくあるのが、読んで知っているレベル。これはただの「モノ知り」なだけです。顔の見える関係とは、先方もみなさんのことを知っていることが前提になります。つまり相手にも「顔を知ってもらっている関係」にならないといけないということ。

 名刺交換だけでは、すぐに先方に忘れられてしまいますから、その際のインパクトが大切です。
 「私は○○法人の○○事業所です。場所は○○町の…」
 と常に具体的に伝えること。大人数の研修会や会議の後なんかもチャンスです。相手が発言されていたとするなら、その感想を添えるととても印象深くなります。

 第二の勘所は「ネットワーク」的な集まりに積極的に参加し、あらかじめ広い「ネット(網)」を作っておくことです。つまり皆さん自身が集まりのなか、「網目」のように顔を広げることをしておくことが大切です。
 つまり、「ワークの前にネットを作り上げておく」ことです。
 よくあるのが、なにかコトを起こそう、始めようとすることになって、「ヨッコラショ」と腰を上げる人です。これでは遅いですね。
 これをやっていては、まず起動(パソコンならば立ち上げ作業)に時間がかかります。さらに人脈には当たりはずれもあれば、見当違いもあります。こちらが一方的に頼りになると思っていても、先方の事情もあります。さらに地域の見守りや支え合いのネットワークは、すぐに頼めば出来上がるものではありません。
 実は、人脈づくりやネットワークには「多様さ」が大切です。先に紹介した地域の見守りも、民生委員一辺倒ではやがてオーバーフローでパンクしてしまいがちです(実は、やる気のある方もいれば、町内会の順番で仕方なくやっている方もいるのが現状です)。
 地域のコンビニやガソリンスタンド、美容院、理髪店など多様な方々とのネットを広く作っておくことで、いざという時に「ワーク」ができるのですね。

 そして第三が「相手に必要とされる存在」となることです。
 これに気がついている人は案外少ないのではないでしょうか。ネットワークといっても、こちらの都合ばかりを相手に求めているとするなら、「ケアマネジャー(地域包括支援センター)は自分勝手な人たち」という烙印? を押されてしまいます。良い関係のネットワークを築くためには、先方が求めていることに「力となる協力者」となっているなら、先方もかならずみなさんのことを認め、みなさんに協力的になってくれるものです。
 地域のサークルなどなら、興味をもっている人を紹介する、あるいはチラシを持ってご近所に紹介するなどがよいでしょう。
 プロフェッショナルな方とのネットワークなら、会話の中で実際に先方に尋ねてみるのもよいでしょう。
 「○○の専門職の方(事業所)では、どのような情報提供が役に立つのでしょうか?」
 これは新規の利用者のサービス担当者会議などでも効果的です。つまり相手の仕事に役に立つ存在になることが、もっともネットワークづくりには近道なんですね。

 これらの「王道」を極めた方が、「花まる印のネットワーカー」となれるのではないでしょうか?

ムロさんの写メ日記

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会場の入り口で記念写真です

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基調講演「地域が支えるいのちとくらし」を講演する小澤竹俊医師(めぐみ在宅クリニック)。在宅でのターミナルケアの話とともに、「苦しむ人を支える人にも、支える人が必要です」とスーパーバイザーの必要性を話されました

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2週連続で青森県でした。巨大なリンゴと記念撮影です

今週のメールマガジン「元気いっぱい」第181号は「ケアマネジャーの質問力」です。ケアタウン総合研究所の公式HPではバックナンバーまで見ることができます。


コメント


 こんばんは、ムロさん、ケアマネ学会1日目お疲れ様でした。
七夕ならぬ、年に一度、ここで会う人もいて、同窓会的雰囲気さえ感じます。
 横浜の夜は、仲間たちと中華街で飲んで食べて語らって、更けていきました。
 明日は9時から、17のセッションに分かれて、110を超える演題発表が口演とポスターで全国のケアマネさんから発表されますね。
 前もって抄録集でチェックして、出かけないと興味ある発表を逃してしまいそう。
 元気の素、知恵の基をいただきに、
 明日も早いので、もう寝ます。おやすみなさい。


投稿者: ケアマネ・オレンジ | 2009年06月19日 23:43

 学会の、あの雰囲気と熱気はなんとも言えないですよね…学会に参加すると、エネルギーが満ちてくるような気がします。
 残念ながら、他の学会は参加したことがありますが、ケアマネジメント学会はまだ参加したことがありません。
 ネットワーク…言葉にすると簡単ですが、なかなか相思相愛になれないことも多くあり…
 自分中心ではなく、相手にとって自分の存在はどういうものか常に考えなくちゃいけませんね。
 いつか、機会を作りケアマネジメント学会に参加してみたいです(*^_^*)


投稿者: Noriko | 2009年06月22日 01:05

ケアマネ・オレンジさんへ

 会場でお会いし、すかさず「ブログ」を見たこと、書き込みをしたことを伝えていただきありがとうございました。インタラクティブに生でやりとりできると、とてもブログっていいですよね。
 同窓会気分…たしかにそうですね。これを一年間の自分へのお土産に日々がんばってらっしゃる方が多いのではないかと思いました。
 今回も、いろんな方からあいさつや軽い会釈をいただくと、私もさらにパワーアップしますね。

 いつもは私は発信する側ですから、このように現場のみなさんの発表や研究者の方々の話はとても参考になります。第1回から参加しているので、発表の仕方も堂に入った方も増えた印象です。分科会はケアマネジャーの人材育成・研修のところにずっといました。スーパービジョンの在り方研究はなかなか聴きごたえがありましたね。

 来年は立教大学の新座キャンパスとのこと。

 またそこで再会できるのを楽しみにしています。

Norikoさんへ

 そうですか、Norikoさんはまだですか。ではぜひとも来年は参加しましょう!(^^)!

 とっても仲間意識も感じられる学会ですから。

 またメールください!!!


投稿者: たかむろ | 2009年06月23日 13:05

初めて投稿いたします。
3日間、老年医学会にポイントをしぼり、久々の集中力を発揮し、先週は疲れきってしまいまた。
めぐみクリニックの小澤先生のお話の根底にあるスピリチュアルな世界、続いて聞いた柳田邦男氏の、誇れる仕事のある職人さんの看取りにまつわるお話。では、ひっそり生きてこられたご利用者様にどういった援助をおこなっていけばいいか…大変考えさせられた学会参加でした。
一般のお医者様の、介護に対する膚感が変わってきたことも実感できました。


投稿者: きんた | 2009年06月30日 10:52

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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