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高室成幸の「ケアマネさん、あっちこっちどっち?」

講師手法には型がある

 ケアタウン総合研究所主催の東京セミナーを始めて、もうかれこれ5年が経過しました。当初は都内を転々?としましたが、今は「東中野」駅線路そば(ホームの真正面)の東京工科専門学校の一室をお借りして、月1回平均で土曜日の午後に開いています。
 これはいわば、私塾のような存在です。今では継続的に受講されるケアマネジャーや社会福祉士、保健師、生活相談員の方も増えてきました。

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 さて今回ご紹介するのが、昨年の夏から始めた「あなたも講師塾」という講師養成講座です。今回で第3期となりました。

 そもそも、どうして講師養成というテーマで研修講座を行うことにしたのか。その理由は、知り合いのケアマネジャーの方々から次のような声を聞く機会が増えたからです。
 「講師をされている方の講義がわかりづらい」
 「せっかく仕事を調整して参加したのに、知っていることばかりで時間を無駄にした気分だ」
 「いくら義務的な更新研修でも、もっと現場に即した話をしてもらわないと参考にならない」

 特に更新研修や主任介護支援専門員研修では、とられる研修時間も長いうえに、自己負担金もかなりの金額ですから、おのずと研修内容に厳しい注文が飛び交うのも無理のないことです。

 では、かたや講師をされている方々です。大別すると、大学で教鞭をとっておられる著名な先生方、行政関係や法曹・医療など専門領域の方々、そして現場で10年以上も相談援助職をされてきたベテラン級の3タイプにわかれるでしょうか。

 専門領域での知識や経験を積んでこられた方々ですが、いずれも「教える」ための専門的な研修を受けた方はかなり少ないのではないでしょうか? 実は日本の教育界も同じで、教師課程を取得しても、そのカリキュラムの中には「教え方」の講座がないのは実は有名な話です。実技の教育をせずに現場に放つために授業実践がうまくいかず、ノイローゼになる教員が増えているのも仕方のない話です。

 知識があってもうまく人前で話せるわけではありません。
 文章が上手でも、話がわかりやすいとは限りません。
 現場経験が長いので現場のエピソードを話すことはできても、学術的に正確や講義ができるわけではありません。

 しかしながら、講師をされている方が多いのが実態です。
 私も講師をする身ですので、中途半端な知識と技術で講義することは、実はご本人が一番につらいことだと思います。
 そして受講する方々は「さらにつらい」……。

 私が講師養成講座を企画した思いは「もったいない」です。新しい人材は新しい講師陣によって育つきっかけを得え、そして自ら育ち成長していくものです。
 そのような講師陣を養成したい……。

 それには「講師の型」を教えることだと思っています。
 型がない方が多い。どちらかというと、自己流でなんとかやっている方がほとんどではないでしょうか?
 型がないから「ブレ」が生じます。型がないから、ムダがあったり、ムリが喉や身体にかかったり。そして型がないから、せっかくの知識やノウハウも受講生に十分には伝わらない……。

 どのスポーツにも初心者が学ぶ「入門コース」があります。基礎の型を身につけることなくスポーツで大成した人を私は知りません。同様に、職人の世界でも同じです。
 型を身につけた講師を養成し支援していく……。
 このことが、質の高いケアマネジャーを育成する最良の道と私は考えます。

 知ること
 わかること
 できること
 身につくこと

 私は「型」というキーワードで育成していきます。一度、研修を体験してみてください。

ムロさんの写メ日記
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第3期講師養成講座(初級コース)
「講義のやり方」を講義中(文章にするとなんか妙ですね(^_^;))

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パワーポイントで研修資料の図解を作成しています。私の裏ワザを教えると「やってみようぉ~!」と軽い喚声が起こりました

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5分間ミニ講義「自立支援」がテーマです。条件は、対象が50人の新人ケアマネ。レジュメはA41枚のみ。みなさんいろいろ工夫して、これは楽しかったですね

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ビデオカメラで収録したのを翌日再生し、私からビシバシ(笑)と実践的な指導がされます(これがとってもよい学び・振り返り・自己覚知になっています)

 今週のメールマガジン「元気いっぱい」第176号は「甥っ子の涙」です。ケアタウン総合研究所の公式HPでもバックナンバーをすべて見ることができます。


コメント


 主任介護支援専門員研修でも「型」を徹底して指導されていましたね。
 ちなみに私は教育学部卒ですが、確かに大学ではあまり指導方法については教えてもらっていない気がします(もっとも、大学時代はあまり勉強していませんでしたが)。
 今年度の岐阜県主任介護支援専門員研修やフォローアップ研修でも、高室先生の指導力に期待いたします。


投稿者: 研修の裏方 | 2009年05月01日 20:00

 研修の裏方さんへ
 メール、ありがとうございます。
 岐阜県の事例検討の演習でもかなりしっかりやりましたね。最初は戸惑う皆さんも回を重ねるごとに進行も発表もうまくなっていくのがよくわかりました。

 大学の教育学部の卒業なんですね。
 指導方法というと、ちょっと大げさですが、教え方は、立派な技術です。その卓越したもののひとつが予備校でしょうか。
 目標大学別の授業だけでなく、本人のレベルをアセスメントして、個々の課題(例:英文法が身についていない、微積分の理解が中途半端、文章の読み込みを早合点しがち…)を明確にし、本人に合った個別の指導をし、合格に近づけていくわけです。
 でも、そこにあるのは過去問の復習と大学別「傾向と対策」(おなつかしい~!!)の徹底分析を通して、最終目標は「合格」なわけです。

 予備校では、人生としての「学び方」を教えることではありません。ましてや即役に立つ実学でもなく。
 みなさんは社会人であり、それぞれの基礎資格もあり、「明日の相談援助」に結びつく実践学でなければいけないわけです。
 おのずと予備校的な、あるいは20代前後の学生を教える「講義ノウハウ」でよいわけではないと思います(それでは、受講のみなさんに抗議?されちゃいますもんね)。
 まずは、この「型」をキーコンセプトにした講師養成とスーパービジョンをみなさんにお伝えしていきたいとおもいます。
 よかったら「裏方さん」も体験してみてください!(^^)!。


投稿者: たかむろ | 2009年05月03日 13:58

 確かにそうですよね。 ○○指導者養成研修に参加したことがありますが、「おしえかた」ではなく「知ってほしい内容の確認」(言いたいことが上手く文章に出来ない…)だったような気がします。だから講義は我流です。
 参加して見たいけど関東は遠すぎる。中国・九州はないですか…。


投稿者: あっちゃん | 2009年05月05日 18:28

以前思いを伝える学習という勉強会に参加した事があります 本当に難しいですね
☆講師の型☆参加したいです
実は近じか認知症の講師を頼まれています
「知る事」「わかる事」「出来る事」「身に付く事」まさしくそうですようね^0^
先生の講師の型についての書籍とかは? あれば絶対読みたいです


投稿者: ノン | 2009年05月06日 13:06

あっちゃんへ

そうですか、その手の研修会に出られたんですね。その気持ち、よくわかります。伝える内容について説明を受けても、伝え方の説明やノウハウを習わなければ、結局、最後は本人流の我流になっちゃいますからね。


ノンさんへ

認知症の講師をされることはなによりいいことと思います。そこで自分なりに「どうすればみなさんにしっかりと伝わるか」を自分で考えながらされるだけでも、意味があります。

本はまだなんですが、ぜひとも時間の都合がついたら、研修講師養成講座にいらしてください!(^^)!


投稿者: たかむろ | 2009年05月08日 15:51

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プロフィール
高室成幸
(たかむろ しげゆき)
ケアタウン総合研究所所長。日本の地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと新しい介護・福祉の人材の育成を掲げて活躍をしている。「わかりやすく、元気がわいてくる講師」として全国のケアマネジャー、社協・行政関係、地域包括支援センター、施設職員等の研修会などで注目されている。主な著書に『ケアマネジメントの仕事術』『介護予防ケアマネジメント』『ケア会議の技術』『ケアマネジャーの質問力』(以上、中央法規)、『地域包括支援センター必携ハンドブック』(法研)など著書・監修書多数。

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