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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

ムゲンはサービス業part4

 さて障害者の自立が真剣に議論された時代は、とりまく現実がとても過酷で、一部の障害者が清水の舞台から飛び降りるような決心をもって、行動的にならざるを得なかった時代だったのかもしれない。いまは地域施設やヘルパー制度や訪問看護も整備され、支援者の力が強くなって、相対的に障害者の力が弱まり、福祉業界も研修会を通じてリカバリーだとかアドヒアランスとか難しい言葉を普及させることが、重要な関心事になってきている。ぼくのような頭の古い人間には、専門家の開催する「研修会」や「フォーラム」ではなく、当事者の開催する「勉強会」や「抗議集会」がしっくりくる。「パレード」ではなく、「デモ」だよ! 「アウトリーチ」ではなく、「往診」だ。

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 業界ではとても評価されている「べてるの当事者研究」だって、当事者自身が編み出したものではなく、援助者の誘導があるのではないのか? という気がしている。専門家が主導する今の横文字業界には、とてもじゃないけれどついては行けないし、なにか違うだろうという感じも持っている。少しも進歩しないで、若い時代のまま時間が止まっている。たこつぼの中に引きこもっていたい気持ちだ。人ゴミは苦手の、休日は基本外出しないひきこもりタイプだ。全く知り合いのいない街中は別に平気だけれど、中途半端に知り合いのいるバザー会場とかはホントに疲れる。中間的に人と距離をとるのが苦手だ。多人数をひとりで相手にする講演会とかは特に苦にはならない。
 以前ぼくもしばしば講演会に呼ばれていた。しかしこの5~6年は全くお呼びがかからない。就労支援の時代には、もう当事者の声を聞くという講演会は流行らないのかもしれない。この夏、本当に久々に福山教会から呼ばれて講演に行ってきたが、相次ぐ質問攻めで福山はとても熱かった。就労支援よりずっと以前の問題で、呻吟し続けている当事者や家族の何と多かったことか。
 さて、11月はじめからからムゲンの建物は着々と工事にはいっている。地域基盤整備事業に選ばれたためだ。向こう10年間は施設運営を辞めないことが、改築援助金の担保になる。ゲルと呼ばれるモンゴルの遊牧民の移動式ドーム型テント住居風の2階建ての建物になる予定だ(下の建物のようなイメージです)。

ムゲンはサービス業part4

(Part5に続く)

コメント


当事者主導はなかなか難しいと感じます。これは他の分野でも同じです。学童保育にしたって、もとは働くお母さんがたの署名活動や協同保育など様々な訴えの中から先に施設が出来、後から法律からくっついてきました。松山でもその歴史はあります。
でも今は、保護者の方ほとんどが行政サービスだと勘違いし、自らサービスの質の向上に影響を与えることが出来る存在だということをわすれ、お金を払って受けるサービスと勘違いしてしまっています。
不満があっても無力感感じる方が多く、保護者会が力を合わせれば行政を動かしていくこともできるのに、波風おそれまたはその方法がわからず、校区ごとの地域格差は広がるばかりです。運営委員会が松山市より委託されて実施しているけれど、その運営委員会がどれくらい機能しているかで違いが出てくる。そのからくりをもっと保護者のかたに知っていただきたいものです。


投稿者: たんぽぽ | 2011年12月05日 10:31

障害者の作業所も法整備のないままに、作られていきましたね。法整備を考えるようになって、はじめて法外施設という呼び方が出てきたと思います。
市民運動には方針を決めて引っ張って行く、リーダーが要るのかもです。


投稿者: 佐野 | 2011年12月06日 20:38

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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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