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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

世界死刑廃止デーpart1

 10月10日は体育の日で祝日だった。ヨーロッパでは同じ日に世界死刑廃止デーを祝ったそうだ。東京では10月8日に新宿で集会があったようだ。400人のホールが満席で、外でテレビを見て参加した人もいたそうだ。
 法務官僚は死刑廃止を絶対に認めない。死刑執行のない年をつくってしまっては、死刑執行停止状態になってしまうという危機感があるのだろう。かつては100名以下であった死刑囚(2000年で53人だった)が今は120名いる。昨年7月に千葉景子法相による2名の執行があった。過去に3年以上執行がなかった時期があり、後藤田法務大臣が再開するまで、法務官僚には死刑執行が停止するというたいへんな危機感があったようだ。今年も野田総理のもと、法務大臣に執行のサインをさせる、法務官僚の圧力が強まると予測されている。

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 千葉法相に関しては、死刑廃止議連に所属していたので、「死刑執行はないだろう」という一般の予想を覆して、民主党になってから、はじめて法相として2名の死刑執行に立ち会い、さらに東京拘置所の刑場を一般公開して、死刑についての国民的議論を待ったが、議論はほとんど起こらなかったという経緯がある。あえて死刑を執行した上で、国民的議論を本気で待ったという印象がある。

 死刑囚の処遇はあまり知られていないが、裁判中は拘置所で未決の状態に置かれる。1日1回、看守が立ち会って内容を記録した上で友人との面会ができる。検閲済みの枚数制限のある文通も1日1通、便せん7枚までできる。しかし大部分の未決囚に面会する人は弁護士以外にはきわめて少ないし、手紙を出す切手代も持っていない獄中者は多い。
 裁判で刑が確定すると、「下獄」といって、刑務所に移され、身内以外は、面会も通信もできなくなる。一般受刑者は低賃金労働というか、本人にほとんどの賃金は渡されずに、刑務所維持費に回される。それを支えているのが、「キャピック」ブランドの受刑者が作った家具などの即売である。頑丈に丈夫にできていると、よく売れるようである。
 死刑囚は処刑が刑罰なので、処刑を待つ間に労働はなく、拘置所の独房に置かれる。一昔前の精神科病院と同じで、冷暖房はない。制限されているといえ、本もテレビの視聴は可能である。毎朝の点呼のときに、その日の処刑が伝えられるので、自分の房の前に刑務官がくると最高に緊張が高まり、刑務官が止まらず通過したら、「今日1日生き延びた」と、ほっと胸をなで下ろすそうである

(Part2へ続く)

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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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