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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

原発は核兵器?

 読売新聞9/7の社説がネットでずいぶん話題になっている。ネットのあちこちで引用されているけれど、読んでいない人のために引用しておく。社説はあくまで原発は必要だと主張していて、最後の最後の部分だ。
 「日本は原子力の平和利用を通じて、核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努め、核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ」
 「原子力の平和利用(原発)は核抑止力だ」と天下の公器、日本で一番読発行部数の多い新聞が白昼堂々と言っているのだ。最近はネットに押されまくりの大新聞ではあるが。日本の核武装、今までは議論の表舞台には絶対に上がってこなかったが、推進派の間では議論されてきたことだ。

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 つまり、日本にミサイルの技術はある。原爆の材料であるプルトニウムは大量に国内にある。その気になれば、1年以内で核ミサイルなどつくれちゃう。という訳だ。自民党の石破さんも同様のことを報道ステーションで言ったらしいが、非核三原則を国是とする日本の政治家がこんなこと、テレビで言っちゃっていいの? 「脱原発で原発を捨て去ると、原子力技術が失われてしまう」という議論も同様だ。福一の事故後、世論が大きく脱原発に傾くなか、露出してきた追いつめられた推進派の「本音」かもしれない。午後のニュースバラエティーでは、さっそく原発推進の理由として、「日本の核武装」に必要という意見を言うコメンテーターもいた。なし崩しで進んでいる。平日の午後にゆっくりテレビを見ているのか? という疑問はさておいて、原爆被曝当事者の声が小さくなると、すぐに悲惨は忘れられる。障害者などのマイノリティーの声だって同じだ。主張し続けないと、その声はやがて多数派に潰されていく。

 誰が見ても破綻している「核燃料サイクル」を、なぜ日本が放棄しないのか?「もんじゅ」は建設されて一度も発電したことがないにもかかわらず、なぜ巨額の税金を使って維持され続けているのか? などにも逆に納得がいく。プルトニウムが国内で欲しいのだ。各地の原発がプルトニウムをつくり続けてさえいれば、「もんじゅ」は発電しなくても、シンボルでもよかった。プルサーマルだってそうだ。「もんじゅとプルサーマルで燃やすため、のプルトニウムの国内での備蓄は必要だ」という国民向けのアピールができる、という穿った見方だってできる。

 しかし実際に日本が核兵器をつくったら、アメリカだって容認できないだろうから「NPTからは脱退。いまの北朝鮮と同じ立場になって、国際的経済制裁をうけ、貿易で成り立っている日本経済は、立ち行かなくなるだろう」と見ることが、常識的で現実的だ。あるいは、建設中の核兵器プラントには、脅威を感じた北朝鮮から、テポドンだって飛んでくるかもしれない。

 福一(ココ一ではない)の事故は広島型原発の168倍のセシウム汚染だ。今までの原発でも「作業員被曝」「コスト高」「地方に対する差別」「政官財マスコミの利権構造」などの実態が明るみに出てきた。この期に及んでまだ原発推進を言い続ける人たちの本音の一部は、実は「核武装して周りの国を威嚇、威圧できる強い日本!」なのだ。人が滅んでも国が残ればいいという訳だ……。何という考えだろう。情けない……。先の戦争で負けたドイツやイタリアは脱原発で、核兵器をもちたいと言うというような気持ちはないのに、日本だけである。いったい福島の人たちはどう思うだろう?

 菅首相にマスコミは厳しかった。つづいて鉢呂経産大臣もマスコミに噛みつかれ辞めた。いずれも「原発を止める」と言った閣僚だ。菅首相が浜岡を止めたときもバッシングの嵐だったし、鉢呂経産大臣も脱原発を進めようとした。
 マスコミは最大の広告主である電力会社には逆らえないと言われている。日本の原発政策の将来は全く見えてこない。


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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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