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佐野卓志の「こころの病を生きるぼく」

私に汚い言葉を言って

 パンクロックやデスメタルのコンサートで、「このメス豚ども!」とか舞台からボーカルが叫ぶと、会場は「ウオー!」と男の子や女の子たちの声で盛り上がる。顔をしかめ瞬きを繰り返し、汗を飛び散らせてジャンプやキックしたり、自分の顔やお腹を殴るパンクスもいて、さらに盛り上がる。
 これにはちゃんとした病名がついている。ADHDの中でも「トゥレット症候群」と言う。別名「汚言症」とも言うようだ。文字通り汚い言葉を次々に言うのだ。これがロックの舞台ならいいのだが、日常的にこんな言葉を叫んだらセクハラ汚言通報ものだ。あるいは危ない人として、近づかないだろう。強迫神経症などとも合併するらしい。

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 ムゲンでは、ADHDっぽいぼくと、強迫神経症の弟が今日も汚言を吐いている。お経のまねをしながら「なむあみだぶつ。ち〜ん! ぽこぽこぽこ」とか歌いながら「タラッタラッタラッタ♪ うさぎのアヌス♪」とか。女性陣の顔色をうかがい、こちらも演技しているところもあるから、受けないなら即中止する。
 人前で開放的な気分になると、衝動的に汚言を言いたくてうずうずするのだが、50歳も過ぎて一応空気を読めるようにもなって、自在に出したり引っ込めたりすることもできるようになった。だから汚い言葉は直接言うのではなく、ユーモアにくるんでから出すようにしている。空気を読めなかった若いときには、汚言のオンパレードを披露して、女性陣からヒンシュクを買ったこともある。当時は自分がヒンシュク買っていることすらわからなかったが。精神的な発達の遅れのある発達障害だとつくづく自分でも思う。いい歳した、悪ガキだ。

 さて、お口直しにきれいな音楽のお話。発達障害的だなあと思うミュージシャンにギタリストのジェフ・ベックがいる。ぼくは、彼が遺伝子が一部欠けているウィリアムズ症候群ではないかと思っている。上向きの鼻、はれぼったい目、幅広い口と小さな顎、そして絶対音感をはじめとする音楽の才能。発達障害とともに、音楽の天才を手に入れたのではないのか。縦横無尽なロックのエレキギターのアドリブで、鳥のさえずる声までやってみせる。女性の噂もなく、孤高のギタリストと言われているが、ステージでは人懐っこくユーモアもある。趣味はクラッシックカーをいじることだそうだ。いかにも発達障害的な趣味である。ジェフ・ベックはもう60歳代ではないかと思うのだが、子どもっぽくまったく歳を取らない。
 アニメ「のだめカンタービレ」ののだめちゃんも、ウィリアムズ症候群っぽい感じがする。人懐っこく、クラッシックを耳でしか覚えられないタイプだ。曲を覚える途中で童謡とか聞いてしまうと、そのとおりにしかピアノで弾けないので、クラッシックコンサートの最中に覚えたとおりに突然童謡を弾きはじめたりする。すぐに千秋に抱きついたりもするが、エリート千秋ものだめには頭が上がらない。やはり女性って強い。

 今年はこの原稿で終わりです。それでは皆様よいお年を。


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プロフィール
佐野 卓志
(さの たかし)
1954年生まれ。20歳(北里大学2回生)のとき、統合失調症を発症、中退。入院中、福岡工業大学入学・卒業。89年、小規模作業所ムゲンを設立。2004年、PSWとなる。現在、NPO法人ぴあ、ルーテル作業センタームゲン理事長。著書に『こころの病を生きる―統合失調症患者と精神科医師の往復書簡』(共著、中央法規)『統合失調症とわたしとクスリ』(共著、ぶどう社)。
ムゲン http://www7.ocn.ne.jp/~lutheran/
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