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永島徹の「風」の贈り物

相手をイメージして察する

 ある日、成年後見に関する相談を電話で受けているときのことです。
 相手は、在宅介護支援センターの職員でした。最近、認知症を伴ったケースで、成年後見制度を活用しなくてはならない事例相談が多くなっています。私はそのような相談があると、ときには訪問してお手伝いをさせていただくことがあります。
 その日も、成年後見制度の手続きやその詳細なテクニックについての話でした。いつものように電話相談をし、話の終わりに、相手からていねいな気持ちのこもった「ありがとうございました」という言葉が返ってきました。ついつい私も、何かよいことをしたのではと思うくらいの気持ちになり「いえいえ、こちらこそ。また、不明なことがありましたらご連絡ください」と会話を終え、受話器を切ろうとしたとき……
 相手の方が、静かに受話器を置く音が聞こえたのです。後味の良い電話相談でした。それは、相談内容がスムーズにいったということではなく、心地良い相手の配慮があったからだと思います。

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 私たちの仕事の中で欠かせない道具の一つとして「(携帯)電話」があります。この道具を仕事で上手に使いこなしていくことは、仕事を円滑にこなしていくときに非常に役立ちます。
 それでは、電話という道具を使うとき、皆さんは何に気をつけていますか?
 話をする相手によって、伝える内容などを考えている方が多いと思います。さらに、必要な用件をどのように確認、もしくは伝えたらよいのか。それには、いつ頃電話をしたらタイミングがよいのか……。
 見えない受話器の向こう側にいる相手をイメージしていると思います。この「イメージする」という行為を意識して行うことは、専門職として感性の育成につながっていきます。つまり、相手の状況を察していくことで、より相手が分かりやすく、利用しやすい情報になり、専門職にとっても必要とされる関係につながっていきます。

 最近、ある研修においてこうした話をさせていただいた際、私が普段気をつけていることをお伝えしました。
 それは、相手が今どのような環境で会話をしているのかという、本人の声以外の生活音(周辺音)です。落ち着いて会話ができる環境かどうかを察していくことは、会話をする上で大切です。次に、一般的にいわれる『声のトーン』です。一方的な声のトーンではなく、内容や相手に合わせて変化させることも、会話をスムーズにさせるコツです。
 加えて、声のトーン一つで、相手の様子を察することにもなります。先日、若い方が携帯電話を使い、駅のプラットホームで、大きな声で会話をしていました。「もしもし、今どこにいるの? えっ……そう。ちょっと○○ちゃん、元気なくない? 声が変だよ」と、相手の声色で様子を察していたようです。
 最後に大切なのは、会話の終わりに電話を切るときです。ビジネスマナーでもいわれていることですが、電話を切るときは、相手が受話器を置いてから、そっと受話器を置くのが基本です。いきなり「ガチャッ」と切る人がいますが、良い印象をもちません。
 ただ、あまりにも意識しすぎて、切るタイミングを迷ってしまうことがあります。そんなときは、静かに受話器を置くようにすることだと思います。もちろん、電話の会話の中では、細かな言葉の表現方法などもありますが、相手に不快と思わせないような姿勢が大切です。相手に見えないからといって、会話をしている姿勢もだらしなくすると、不思議と相手にその雰囲気が伝わってしまうものです。そう感じたことのある方もいるのではないでしょうか?
 「目には見えねど、姿はみえる(イメージ)。」私たちのもつ「察する力」を、より良く使っていきたいですね。


コメント


 「察する力」…そうですね、
 電話の切り方、ブログ読んでから意識してます。
 でも、今時だから、受話器を置かないのよね。
 事務所では、コードレスだから[切]を押す。
 外出中の電話は携帯だから、何となくあわただしかったり、こちらの雰囲気がきっと伝わっているんでしょうね(反省)。
 そして、会話が終わるとパタッと閉める(私の携帯は二つ折)。
 電話相談などでは見えないが故に、電話の向こうを「察する力」が必要! と改めて再確認しました。
 


投稿者: おねこねこ | 2007年08月30日 19:17

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
永島徹
(ながしま とおる)
NPO法人「風の詩」副理事長。社会福祉士、ケアマネジャー。大学卒業後、青森県にて精神科ソーシャルワーカーとして精神障害回復者の社会復帰活動に従事した後、郷里である栃木県へ戻り、特別養護老人ホーム併設の在宅介護支援センターに勤務し、地域の中で生じているさまざまな介護上の諸問題についての相談等に応じる傍ら、ケアマネジャーとして介護サービス利用者がより良い生活を過ごしていけるようにと活動。その後、縦割りではなく複合的な地域福祉の拠点を創ろうという計画で、NPO法人「風の詩」を設立、現在に至る。

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著者:永島徹
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発行:中央法規出版
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