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宗澤忠雄の「福祉の世界に夢うつつ」

ツバメと放射能汚染

 今年のツバメの渡来は、毎年私が定点観察する埼玉県の某所において、例年より1週間ほど遅い4月14日でした。この遅れは、アオバヅクも同様のため(某所における渡来は例年5月5日前後が、今年は5月13日)、おそらく3月下旬から4月初めにかけて気温が低かったことによるものでしょう。しかし、私の日常生活圏では、渡来日以降、今年のツバメの個体数はあまり増えないまま今日に至っています。

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オスのツバメ(右)-尾羽が長いほどメスにもてる

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 埼玉大学の構内でも、10年前ならいたるところにツバメの巣を見かけたのに、今年は5月を過ぎてもキャンパスにはツバメの巣を殆ど確認できません。スズメが激減しているように、ツバメにも何か異変があるのではと最近いささか心配するようになっています。

 ツバメのオスは、尾羽が長いほどメスにもてるそうです(大田眞也著『ツバメの暮らし百科』、16-18頁、2005年、弦書房)。
 ツバメのメスが、単純に「面食い」ならぬ「尾羽食い」であるからではありません。寄生虫や病原体の感染のないオスの尾羽は長く成長し、そのようなオスとつがいになって育雛すると、巣立ちできる雛の数の割合が高くなることが確かめられています。
 長い尾羽をもつオスの尾羽を短く切ってしまうとメスに見向きもされない一方で、切り取った尾羽を尾羽の短いオスにつけて長くしてやると、途端にメスにもてるそうな(嗚呼)。

 ところで、チェルノブイリの原発事故(1986年)による放射能汚染地域で、2000年以来、生物学者が重ねてきた鳥類研究の一端が、国際的に有名な環境・文化保護団体のサイトで紹介されています。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=2011042603&expand
 これによると、汚染地域のツバメには、くちばしや尾羽の奇形・形成不全や色素欠乏などの異常発生率がかなり高く確認されているそうです。ツバメやスズメのように、個体数が多く生態系の底辺を支える種の異常と個体数の減少は、生物多様性における深刻な事態であることは間違いありません。
 実際、先の記事によると、この地域の個体の種は半減し、個体数も40%にまで減少したと報告されています。

 もし、日本に渡来するツバメの個体数が、この間徐々に減少傾向にあるとすれば、福島原発の影響の大きな地域では、尾羽の形成不全のツバメが増えて、ますます減少するかも知れません。ツバメは巣材に泥を用いますから、田畑や山林の表土が放射能に汚染されているところでは、なおさらツバメの異常が懸念されるのです。
 そして、人間にとって農業の害虫を駆除するツバメの役割ははかりしれないため、ツバメの減少は人間の農業にも壊滅的な影響をもたらしかねません。

 そこで、ツバメが減らないことを祈りながら、自宅近くのツバメの巣を定期的に観察することになりました。

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今年2回目の抱卵に入ったメス

 ツバメは人間と共生してきた鳥で、人間を怖れることは基本的にありません。この巣から2mほど横に離れたところにベンチがあったため、そこに立ってカメラを構えていると、私の肩をかすめて、何かが上から落ちてきました。

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上から落ちてきたヘビ-青大将の幼ヘビか?

 地面を見ると、落ちてきたのは何とヘビ。このヘビは、ツバメの卵を狙っていたに違いありません。このようにして、ツバメは人家に巣をかけることによって、天敵から身を守り育雛の安全を確保する一方、人間は農業の営みをツバメに助けてもらってきました。この人間とツバメの互恵的共存が、人間の作った原発によってもし破壊されていくとすれば、なんと嘆かわしいことでしょう。

 ひとまず、私がこの巣の下のベンチに立ったことが幸いし、卵が守られたことはとにかくよしとするか。
 もしかすると、「ツバメの恩返し」があるかもしれませんよ~♪。
 この冬の雪の降るある晩に、喉元がうっすらと紅い、ツバメ似のスリムな美人が「妻にしてください」と突然訪れて以来、毎夜わが家で「布を織る」ようになる。私なら、布を織る姿を絶対見ないかわりに、夜鍋仕事をする妻のために美味な夜食をせっせと作り続けますけれど…。冬までツバメがいるわけないか(笑)。


コメント


鹿児島に僕のおばあちゃんが住んでいて、そのおばあちゃんの家の玄関の扉の上の部分にはツバメが住んでいます。
とはいってもそれは3年以上前の話です。高校三年間で僕はおばあちゃんの家に行くことができず、何度も電話で「遊びに行きたい」と言い続けています。ツバメとこの話はほとんど関係のない話なのですが、このブログを読んでたった今、ツバメを思い出し、おばあちゃんの家を思い出したのです。そうして考えてみると、放射能による被害は、生態レベルにまで広がるのだなぁと、思うことができました。


投稿者: そると | 2011年07月11日 20:29

放射能汚染が様々な小動物にも影響を与えている。彼らは体が小さいため大きいものより影響を受けやすい。だが体の大きなものでも長期的に汚染を受ければ小動物同様の影響があると考えられる。そう考えると人間に影響がでるというの恐ろしさが非常に強く感じられる。


投稿者: シリコン | 2011年07月11日 23:54

福島原発の影響が、人間だけでなく生物たちや自然環境にまで及んでいるという考えは、ブログを読まなければ忘れかけていた視点だった。
原発事故で放射線による悪影響が問題となっているが、いまは優先順位的に「人間」への影響が一番心配されている。しかし、同じように日本の国の自然環境にも取り上げられていない影響が確実にあり、それはいつか必ずわたしたち人間にめぐりめぐって影響を及ぼすことになるだろう。先生のおっしゃった「互恵的共存」にはほど遠いが、はやくこちらにも目をむけ、対策をうっていかなければならないのではないか。


投稿者: mm | 2011年07月11日 23:58

尾の長いツバメの方がモテる…初めて知りました。
本能的に、よりよい子孫を残そうとして見極めているんですね。

放射能の影響を鳥も受けるなんて、考えてみれば当たり前だけど、考えていなかった部分でした。
人体への影響についてはよく報道されていますが、動植物についてはさっぱりなように感じます。
「自分たちがより豊かな生活を送れるように、自分がより快適に生きていけるように」と発展を遂げてきた人間の部分がこのようなときにも出てしまうのかなあ。

ツバメからの恩返しがあったら、是非ブログに書いてください。


投稿者: あんぱん | 2011年07月12日 11:28

 ツバメは私の実家にも昔、巣を作っていました。
 しかしここ数年見かけず、あの賑やかな鳴き声が聞こえない為、寂しい思いをしています。

 人間と長い間親しく生きてきたツバメたちが、人間の身勝手な行為により一方的に傷つけられていく。その事に多くの人びとがあまり関心を寄せずにいる現状は、とても酷いものだと思います。

 人間中心であった視野をもっと広げて、これ以上我々の小さな友人が傷つかないようにしなければならないと深く考えさせられました。


投稿者: ほうまつ | 2011年07月12日 20:01

 ツバメに関する記事なのですが、私が一番驚いたのは、スズメも同様に減少しているという一行。
 言われてみれば、スズメを昔ほど見かけませんね。気付かなかった自分が恥ずかしい。
 人間の暮らしに大きくかかわる生き物の減少に気付くことさえなくなっていることが最大の問題だと感じました。
 生態系が崩れ、手遅れになる前に何とかしなければなりませんね。


投稿者: ビス | 2011年07月12日 21:13

 体の小さい鳥などの動物のほうが放射線の影響を顕著に受けるのでしょうか。そうだとすると子供のほうが大人よりも影響が出始めるのが早いはずです。子供は全人類の宝です。そして世界の未来を背負っています。これ以上子供を危険にさらさないため、もう放射性物質を漏らさないように政府には動いてもらいたいです。


投稿者: ひよこメイカー | 2011年07月12日 21:16

 私は、ツバメを見るとほっとします。
 長い共存関係が遺伝子に刻まれている証拠でしょうか。
 さておき人間にも「ツバメの尾羽」的アイテムがあればと考えさせられる豆知識ですね。
 ツバメにとって尾羽の長さが健康状態を示す指標であればメスは強い個体を選び、尾羽食いになる。野生動物なら当然ですね。それならば人間も筋骨隆々としていたら・・・と残念ながら単純にはいきません。人間とは変な生き物だと改めて思います。
 また、放射能汚染は人間を支える生き物も同時に蝕んでいます。私はモルモットを飼っているので心配です。この問題に限らず人間が自分で自分の首を絞めるという構図は繰り返し出てきているように思います。人間とは何と業の深い生き物でしょうか。身近なところから慈しむ心があればこんなことにはならないと思います。


投稿者: FR1620 | 2011年07月12日 23:09

 ツバメと人間の共存関係について、面白いものだと思った。それでいて、ツバメも放射能の影響を受けることに衝撃を受けた。現在の日本の状況は良いものではなく、復興、原子力発電問題などで揺れているが、生物は人間だけではないのだから、動物に対して目をむけるべきだった。
 我々は環境に影響を与えすぎた。便利な生活を求めるのは人間として仕方がなく、むしろ良いことだと思うが、もう少し配慮することを心がけるべきだと思う。


投稿者: KAKOD | 2011年07月12日 23:49

 私は最初放射能がかなり騒がれていましたが、みんな騒ぎすぎではないかと思っていました。
 しかし、今影響が出てないからといって20年後に影響が出てないというわけではないと知って考えを変えました。例えば、今妊娠している人の子供が大人になってから放射能の影響で体の調子が悪くなる可能性があります。
 これから先日本は長い間、放射能の問題に取り組んでいかなければいけませんが願わくば動物などに影響がなければいいなと思います。


投稿者: laki | 2011年07月13日 00:21

 津波による被害と、人間によって拡大してしまった放射線の被害。前者は天災だから仕方がないにしろ、後者の人為的被害が他の生物にまで及んでいるのは実に悲しいです。以前テレビで「被ばくした桜が開花した」という内容の番組を見ましたが、その時感じた申し訳なさをこのブログをみて再度感じました。今後はより一層、人類の目先の利益に囚われない行動が要求されると思います。


投稿者: ウニ | 2011年07月13日 01:06

 ツバメが昔から人間と共生してきた鳥とは知らなかった。さらに昔からのツバメとの互恵的共存が福島原発の被害によって崩れていくなんて、なんて滑稽な話だろうと思った。
 このブログを読んで、最近のニュースを聞いて、人間は自然からいろいろな恵みを受けているのに、なんでそれを仇で返すようなことをしているのだろうと思う。国も、世界も、もっと自然との共存を考えてもよいのではないかと思った。


投稿者: ハンター | 2011年07月13日 10:47

 ツバメは尾羽の長いオスがもてるなんてなんて面白いのだろうと思いました。でも、まだ「尾羽食い」と言われた方があぁ、と納得できるくらいツバメのメスはそんなことまで考えてつがいを選んでいるのか、と意外過ぎて動物の本能というのは本当にすごいものなのだと感心しました。
 放射能の問題をこういった具体例で述べられると現状、そしてこれからにおける危機をますます実感させられます。底辺が壊れると大きく生態系が変わってしまいそうで、そうすると多くの生き物が絶滅の危機に瀕しそうで恐ろしいです。


投稿者: ねこじゃらし | 2011年07月13日 11:18

 チェルノブイリで渡り鳥であるツバメに異常が出るのに対し、ある渡りをしない鳥に影響が出ないことに驚きました。なぜ影響が出ないのかその要因をしっかり調べていくことが原発事故により放射能汚染が広がった今、必要なことだと思います。
 なぜなら、もしそれが医療に転用できるのであれば、より多くの人の命を救うことができ、生態系へのダメージも軽減できるのではないかと思ったからです。


投稿者: トイレットペーパー | 2011年07月13日 12:04

 確かにこのごろ、ツバメの声をきいていない気がします。


投稿者: 名もなき人 | 2011年07月13日 12:08

 昔から人間と共生してきた鳥であるツバメ。しかし今、人間の作った原発がツバメにも影響を与えているのだと思うと、ツバメに対して申し訳なく思えてきます。いや、ツバメだけではなくもっと広く自然に影響を与えているのでしょう。
 テレビでは放射線が人体に影響を与えるかどうかしか報道していませんが、こういった自然の生物に対する問題についても広く報道し、自然との共生について深く考えるべきだと思います。


投稿者: わさ | 2011年07月13日 12:18

 チェルノブイリの原発事故によって奇形のツバメが多く生まれたことから、たぶん日本でも福島などで、奇形の鳥類が生まれるかもしれないということが不安です。また、それによって生態系が崩れ、日本の自然が壊れてしまうことはぜひ避けるべきなので、自然の保護に力を入れるべきだと思った。


投稿者: たっち | 2011年07月13日 12:19

 小学校のころは登下校中にツバメの巣をよく見かけましたが最近は全然見ないですね。平成11年2月に環境庁がメダカを絶滅危惧種に指定しました。小さい頃は河や池などでよく見かけましたが、最近は見かけなくなり少し寂しいです。
 環境との共存は人類の永遠の課題なのかもしれませんが身近な生物がいなくなっていることに危機感を持ちこれからの発展について考えなければならないと思います。


投稿者: J | 2011年07月13日 12:25

 自分の地元は岩手県なのですが、燕をよく見かけます。高校のピロティーには燕の巣が多くあり、自分にとって燕は身近なものだったのでその燕の確認数が減少しているのは悲しく感じます。実家のすぐ近くに田んぼがあり、冬から春にかけてはそこで白鳥を良く見かけていました。しかし、数年前に田んぼを潰して医科大学ができ、それ以来そこで白鳥を見かけることがなくなってしまいました。
 先生のブログを拝見し、その白鳥のことを思い出しました。このような出来事に加え、今回の地震や二次災害などで、渡り鳥の居場所が日本からなくなってしまわないようにと思いました。


投稿者: こたつ | 2011年07月13日 12:49

 人間も多くの抗体をもつために遺伝子的に遠い人を無意識に好むというのを聞いたことがあります。本能的により立派な子孫を残すこと、ツバメも人間も変わらないと思いました。
 ツバメと人間の共存関係を人間が壊す。本当に悲しいことだと思います。ツバメだけでなく、多くのことが今回の震災の影響で壊れたと思います。でももう後戻りはできません。前に進むしかありません。僕たち若者がこれからの未来をより良い方向へ進めていかなければいけないと思いました。


投稿者: ピース | 2012年01月16日 04:29

原発事故で影響を受けたのは人間だけではないということをどうして今まであまり考えなかったのだろうとこの記事を読んで思いました。動物のことはテレビではあまり伝えてくれません。しかし、チェルノブイリ原発事故の時に奇形のツバメが増えたのだから福島に原発事故によりツバメやその他たくさんの動物が影響を受けているのは間違いないと思います。人間を救うとともにそこに住んでいるたくさんの動物を救うことが本当の復興だと思います。


投稿者: Ran | 2012年07月17日 17:24

人間の自分勝手な行動が、古くから生存してきた生物にとって住みにくい環境を創出してしまい、数多くの種を絶滅にまで追いやってしまいました。それとは引き換えに、悪影響を及ぼす生物にとっては住みやすい環境となっており、活動の範囲を広げてきています。このまま人間が自然を省みず、我が道を行くのであれば、計り知れない弊害がもたらされるのも時間の問題ではないでしょうか。人間と他の生物が相互に助け合いながら穏やかに暮らしていくごくごく当たり前だった生活が失われてきていると思うと悲しいばかりです。


投稿者: pijn | 2013年01月14日 18:24

ブログ拝見しました。
そういえば、埼玉に来てから毎年ベランダに巣をつくっていたツバメが去年は来なかったことを思い出しました。「洗濯物に糞がつかない!!」と当時は喜んでいたのですが、先生のブログを読んで今ショックを受けています。放射能の影響の恐ろしさにでもですが、福島の原発事故のことをもう忘れかけていることにショックを受けました。決して忘れてはいけないことだと思います。ツバメの訪れの変化でも、先生のブログからでも、目に見えない放射線の影響や福島で現在も避難している方がいることを忘れてはいけないと思いました。
 上からヘビが降ってくるなんて、縁起がいいですね!!先生のブログにツバメの恩返しの記事が載ることを期待しています!!


投稿者: やまぎし | 2013年01月24日 22:41

わたしは地元が福島なので、少なからず放射能の影響を受け、様々な情報や知識を聞かされてきました。しかし、ツバメ、鳥類にもこんな身近に感じることのできる影響があったことを初めて知って、驚きました。季節の訪れを感じることのできる素敵な生物たちが目に見えて減っていくことは本当にさみしいことだなと思いました。


投稿者: レベッカ | 2014年01月28日 19:26

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プロフィール
宗澤忠雄
(むねさわ ただお)
大阪府生まれ。現在、埼玉大学教育学部にて教鞭をとる。さいたま市障害者施策推進協議会会長等を務め、埼玉県内の市町村障害者計画・障害福祉計画の策定・管理等に取り組む。著書に、『医療福祉相談ガイド』(中央法規)、『成人期障害者の虐待または不適切な行為に関する実態調査報告』(やどかり出版)等。青年時代にキリスト教会のオルガン演奏者をつとめたこともある音楽通。特技は、料理。趣味は、ピアノ、写真、登山、バードウォッチング。

【宗澤忠雄さんご執筆の書籍が刊行されました】
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