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梶川義人の「虐待相談の現場から」

「ちょっと凄い研修会」のご報告3

 今回は、養護者による高齢者虐待の研修会のご報告の続きで、虐待発生の仕組みに関する見方の2つ目からです。

 2つ目は、被虐待者の養介護の必要度について。たとえば、認知症や要介護度が重くなると、心理的虐待の割合は低くなりますが、ネグレクトの割合も、虐待の深刻度も高くなっています。養介護の必要度と虐待の種類には何らかの法則性があるのかもしれません。

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 3つ目は、虐待の種類について。虐待者が夫の場合、身体的虐待が含まれる割合が高いのですが、DVのように、男性はより暴力に訴えやすいのでしょうか。また、被虐待者が独居もしくは虐待者と別居の場合に、経済的虐待の割合が高いのですが、独居や高齢だけの世帯も多いのですから、顕在化しない経済的虐待もまた多いのではないかと、心配になります。

 4つ目は、発生要因について。続柄によって傾向が異なることが分かってきました。ここでは、おもな虐待者の状態像を描いてみましたが、私見に過ぎないことにご注意下さい。

 息子は、障害・疾病、経済的困窮の割合が高いのですが、それは、障害・疾病故に自立できない、しても離死別につながりやすいし、男性には経済面での期待がかかるため、経済的困窮は余計こたえそうです。

 夫は、被虐待者が認知症である割合が高く、虐待者になる要因に性格や人格が挙げられることが少なくありません。夫は、妻に対する期待が強くて、たとえ認知症であっても期待はずれだと、怒って暴力的になるのでしょうか。

 娘は、障害・疾病、介護疲れ・介護ストレスの割合が高いのですが、背景には、息子同様に、障害・疾病故に自立できない、しても離死別につながりやすいことや、女性には介護を担う期待がかかりやすいことがあるのでしょうか。

 妻も息子の妻も、介護疲れ・介護ストレスの割合は高いのですが、息子の妻の場合、虐待者による要因に発生までの人間関係が多くあげられています。すると、背景には、介護負担と嫁姑の葛藤があるのでしょうか。

 また、被虐待者が複数いる場合は、経済困窮や発生までの人間関係に問題がある割合が高いのですが、虐待者に息子夫婦が多いことをふまえると、息子と息子の妻の傾向を合わせたような傾向があるのでしょうか。

 第四は、対応計画の立案と実施及び終結・フォローアップについてです。

 対応は、介入開始から終結までの期間の中央値は32日ですが、対応継続、一定の対応終了・経過観察継続、終結に三分されます。そして、深刻度が高いほど分離される割合が高くなっています。ですから、家族再統合の可否の見極めも含め、1ヶ月程度を目処にした実効性ある対応方法の確立を目指したいと思います。

 第五に、教育について。これまで述べたように、虐待の当事者の特徴が少しずつ見えてきたことを受け、当事者にならないように、遍く広くきめ細かく展開していきたいものです。もちろん、体系的な展開が望ましくはあるのですが、当面で気になるのは、虐待防止に役立つと思われる成年後見・日常生活自立支援事業です。現状では、被虐待者の1%未満しか活用していませんので、早急に解消したいところです。


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プロフィール
梶川義人
(かじかわ よしと)
(仮称)日本虐待防止研究・研修センター開設準備室長、淑徳短期大学兼任講師。
対応困難事例、家族問題担当ソーシャルワーカーとして約20年間、特別養護老人ホームの業務アドバイザーを約10年間務める。2000年から日本高齢者虐待防止センターの活動に参加し、高齢者虐待に関する研究、実践、教育に取り組む。自治体の高齢者虐待防止に関する委員会委員や対応チームのスーパーバイザーを歴任。
著書に、『高齢者虐待防止トレーニングブック-発見・援助から予防まで』(共著、中央法規出版)、『介護サービスの基礎知識』(共著、自由国民社)、『障害者虐待』(共著、中央法規出版)などがある。
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