ページの先頭です。

ホーム >> 福祉専門職サポーターズ >> プロフェッショナルブログ
上野文規・下山名月が全国で触れた、出会いは一期一会 2007年04月

彼らを主体・主役に、そして彼らと共に

 ある知的障害者授産・更生施設に行ってきました。利用されている約80名の方の平均年齢は54歳だそうですが、「障害のある方の場合は、実年齢に20歳をプラスして考える」といわれるので、かなり高齢化が進んでいることになります。
 「介護が必要となっても最期まで看ることができるよう、今のうちに介護の勉強をして力をつけておきたい」と、企画された研修会に呼ばれたのです。しかも、3月に退任された前施設長が、退職金から置土産にと費用を出してくださったとのこと。心引き締まる思いで出かけていきました。



「好き」「嫌い」は…なぜ?

 世の中には『本』(つまり活字)の好きな人と、嫌いな人がいる。「なぜ?」と言われても、これは仕方のないことで、好きなものにも、嫌いなものにも確固たる理由はない。
 しかし面倒なのは、“本を読む・読まない”が、太古より“学問的優劣”をはかることに用いられ、子どもの頃は…親や先生に「○○を読みなさい!」としょっちゅう言われ…苦労させられることだ(そのせいで“本嫌い”になるのではないか !? …笑)。



感動と感謝の島、屋久島

 先日、初めて仕事で屋久島を訪れました。仕事に島内観光付きというありがたい旅でした。周囲約130キロの島にそびえる、九州最高の峻険な峰々。花崗岩の一枚岩を一気に落下する滝の水量。屋久杉と照葉樹が混生し、うっそうとした原生林。それらのスケールの大きさと圧倒的な迫力に鳥肌が立ち、言葉を失いました。
 観光中は屋久島の魅力に没頭し、仕事を忘れようと思っていたものの、いつのまにか“見る・聞く・触れる・感じる”ものすべてが「介護」に重なりつながってしまうのでした。介護=人間=生老病死=自然だから仕方ない。(腰が)曲がろうが、皺がよろうが、忘れようが、懸命に生きているお年寄りの姿は屋久杉に重なり、樹齢1000年以上が“屋久杉”で、それ以下は樹齢800年でも“小杉”には、「ハハァ」と頭を垂れ跪く感じ…それはちょうど、長老の前に立ったときの気持ちと同じ。島民が昔から行ってきた、山に入り山から糧を得る許しを請う儀式や祈りは、自然に対する感謝と畏れ。介護に携わる私たちの勘違い、驕り、不遜な言動を思い起こしハッとするのでした。



介護の原点

「近頃、ビジネスがおかしいですね。“ハウ・ツー”ばかり教えているからでしょう…。日本人は大きな“忘れもの”をしている」
 以前読んだ雑誌に、そんなことが書いてあった。
 昨今の多発する企業不祥事の再発を防ごうと、盛んに透明性のある経営のあり方、責任のあり方がマスコミを賑わす。事が起きたらいち早く情報を取り、世間に公表し、謝罪する。そのための社内体制をどう作るか…であるが、そこには大きな忘れものがある。
 ビジネスを理由に偽装、隠蔽、改ざん等、人としてやってはならないことが、“起きることを前提に”善後策を考えているという本末転倒さである。
 本来、起こさないためにどうするかが肝心なのに、前提を履き違えているために、「世界に冠たる経済大国」であったこの国は、学習力がないのであろうか…不祥事のたびに“反省のない謝罪”を繰り返し、私たちは何度も同じニュース映像を見せられることになる(あの頭の下げ方…“安っぽく”見えてウンザリするし、悲しくなる)。
「ビジネスとはお金儲けなり」と、その方法ばかりを教え続けた結果、悪事をもってでも利益を守る行為が横行してしまったのだから、根本を解決しない限り再発防止はあり得ない。
 商業の原点は「お金儲け」ではなく、「人々を豊かにすること」だといわれている。お金は、その対価なのだ。人を豊かにする喜び、社会に貢献することの誇りを、いかに経営者から幹部へ、そして社員へと教えていくことが重要なのである。



ページトップへ
プロフィール
上野文規・下山名月
(うえの ふみのり・しもやま なつき)
上野文規
介護総合研究所『元気の素』代表。専門は「地域ケア論」「ケースマネジメント」。全国を講演・講座・指導に飛び回るかたわら、施設などの開設準備にともなう「ひと・もの・はこ」の総合プロデュースを手がける。著書に「遊びリテーション学」(雲母書房、1999年。共著)、「入浴介護実践集」(ブリコラージュ、2002年)、「新しい痴呆ケア」(雲母書房、2004年。共著)などがある。

下山名月
民間のデイサービス「生活リハビリクラブ」創始者。現在は生活とリハビリ研究所研究員、元気の素スタッフとして、全国の老人関係施設への実技指導や講演、講座の講師などを務める。著書に「遊びリテーション学」(雲母書房、1999年)、「安全な介護」(ブリコラージュ、2004年。いずれも共著)などがある。
ichigoichie-book.jpg
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books