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秋山映美の「監獄から社会へ」

フード・インク ~ 肉について

 フード・インクという映画を見てきました。

 “We can change the world with every bite.”
 「一口から世界を変えることができる」

 この映画を見て、私たちが口にしている食品について考えさせられました。

 フード・インクは「FOOD, INC.」と書き、「食品株式会社」という意味です。
 アメリカの食品産業が工業化され、ほんの一握りの巨大企業だけが儲かる仕組みになっていること、さらに世界中の食卓に影響を与えているということを、実際に生産農家のインタビューや製造工場の中への潜入取材を通して伝えています。
 主に、牛肉、鶏肉、トウモロコシの生産過程の問題を指摘しています。

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 ファーストフード企業の出現によって、食品業界、私たちの暮らし、健康状態が大きく変わりました。
 食品業界では、安く大量生産するために、工業製品のように肉や野菜を生産し、製造工場では動物がベルトコンベアに乗せられモノのように扱われていて、調理現場では熟練した調理人は解雇され、人びとは工業製品を作るかのように、ただハンバーガーのパテをひっくり返すとか、ピクルスを乗せるような単純作業を繰り返すようになりました。

 以前は、それぞれの郡や地域にいくつもの食肉加工場があったそうですが、今は、世界最大級の食肉加工工場を持つ数社がアメリカのほとんどの肉の加工を行っているそうです。

 鶏肉については、養鶏場のオーナーの証言があったのですが、消費者にムネ肉が好まれるため、従来よりも2倍の大きさに太らせた鶏をギュウギュウづめの鶏舎で飼育して、今まで70日で成長していたところ、その2分の1の期間で成長させていました。鳥は足で自分の体を支えきれず、歩くこともできない様子。衝撃的な映像でした。
 その肉が大工場で加工され、アメリカ大手の食品会社の商品として販売されているそうです。

 牛は、本来草しか食べないはずが、トウモロコシを飼料として与えられているそうです。
 本来食べるものとは違うものを与えられ胃の中で消化できず、病原性大腸菌O-157が出現し、牛肉を口に入れた子どもが死亡する事態になった例があるとのこと。

 さらに労働者の環境も劣悪です。移民や貧困状態にある人たちがこのような作業に従事しているのですが、アメリカで移民を排斥しようという動きが出てきたため、10年以上もこのような仕事に従事している人たちが、どんどん逮捕されているとのことです。
 それも、加工企業の経営者は罪に問われることはなく、労働者だけが・・・。さらには、一度にたくさんを逮捕すると工場が操業できなくなるため、そうならない人数だけを逮捕しているのです。

 お肉だけでなく、人もモノのように扱っている、本当にひどい話でした。
 しかし、同時に、これらの問題は、農家や畜産している人たちの問題ではなくて、そのようにせざるを得ない農業政策の問題であることが良くわかりました。

 映画には、昔ながらの畜産をしている人たちも出てきて、鳥をしめ、皮を剥ぎ、食肉にしていく様子も紹介されていました。私たちが口にしている肉は、誰かが加工しているものなので、目をそむけてはいけないと思いました。
 このように、鳥を飼育しているひとたちは、決して鳥を工業製品のようには扱っていません。
 あらためて、全ての食べ物に「いただきます」と感謝しなくてはと思いました。

 この映画では、トウモロコシ生産についても描かれていました。次回はトウモロコシについての感想を書きます。


■お知らせ■
監獄人権センターでは、ボランティアとして一緒に活動してくださる方を募集しています。監獄人権センターの活動内容、ボランティア作業の概要について説明させていただくオリエンテーションを行います。
日時:2011年2月2日(水)午後2時~4時
場所:東京都(詳細は事務局にお問い合わせください)
募集人数:5名程度
参加方法:要予約(事務局まで氏名、連絡先をご連絡ください)
事務局連絡先:監獄人権センター事務局 
TEL&FAX:03-5379-5055
E-mail: cpr@jca.apc.org


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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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