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秋山映美の「監獄から社会へ」

人権侵害を防止するために

 先日、広島少年院の法務教官が収容されている少年に暴行をして逮捕されたというニュースが報道されていました。皆さんもご覧になったでしょうか?

 報道されているような暴行や嫌がらせが実際に行われていたということなら、非常に問題ですし、しっかりと原因の究明を行う必要があると思います。
 また、このような問題をほかの教官が知っていたにもかかわらず、誰も注意することなく繰り返されていたのであれば、非常に残念です。
 法務省は、この事件を受けて、少年院にも不服申立制度を導入することを検討しているようです。このような事件が二度と起こらないようにするためにも、少年院にも、成人の収容施設のように実行性のある不服申立制度と、外部の独立した視察機関が必要であると思います。

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 先週お伝えしたように、成人用の刑事施設は、「監獄法」改正によって視察機関や不服申立制度が整備されましたが、少年の矯正施設については当時議論されることがなかったため、残された課題となっているのです。
 他にも、成人用の施設は法律改正により友人等に手紙が出せるようになりましたが、少年院では手紙の発信が家族と弁護士、学校の先生などに限られています。そのため、たとえば「家族から虐待を受けていた少年などは、施設のなかで何かあっても、誰にも訴えることができないかもしれない」ということも想像してしまいます。

 少年の矯正施設については、国連・子どもの権利委員会からも、1998年と2004年の日本政府報告書審査の際に、「独立した監視及び適切な不服申立手続」が不十分であると指摘され、関連制度の整備が求められました。

 少年の健全育成の理念を掲げた少年法のもと処遇が行われている少年院と成人の矯正施設では、処遇方法がまったく同じというわけにはいきませんが、人権が尊重されなくてはなりません。自由が制限された人たちへの人権侵害を防止するためにも、成人の矯正施設と同様に少年院にも、手紙を出すことができる範囲の拡大、視察機関の整備、不服申立制度の整備が必要なのではないかと思います。


コメント


秋山さん、初めまして。

刑務の意味や、収容されている方の人権についておききしたいです。何か、罪なことをした為に収容されているのですよね?カレーライスを箸で食べるには、驚きましたが、極限られたものとは存じますが、映画を見れたり読書、音楽等の娯楽があったり、勉強し資格をとれたりするんですよね?大きく制限があるため、その位は当然なのでしょうか?真っ当な人間を目指すためには、娯楽はある意味必要なのですか?権利とは…考えます。これが、偏見となっているのでしょうか?


投稿者: 藤 | 2009年07月16日 13:45

はじめまして
刑務所にいる人=犯罪者 ですが、犯罪者=全て悪人 ではないのかなと最近思います。
一人の人には、生活環境だとか、いろんなものが影響を与えているんだなと・・・。そういった、背景の問題に目を向けて何かできないのかなと・・・。
秋山さんの言うように、厳罰化ではなく、社会復帰できる手助けをするというのが、誰にとっても損しない方法なのかもしれませんね。
そう考えると、受刑者の人権を守るというのは大きな課題ですね。


投稿者: くぼた | 2009年07月17日 13:55

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プロフィール
秋山 映美
(あきやま えみ)
NPO法人監獄人権センター
理事
明治大学大学院法学研究科修士課程を修了。明治大学法学部在学中から、監獄人権センターにボランティアとして参加。受刑者や家族などから届く、月200件にものぼる相談の手紙にボランティアと協力して対応したり、受刑者の現状を世に訴えたりなど、刑事施設内にいる受刑者の人権に関わる活動を続けている。
監獄人権センターHP
 http://cpr.jca.apc.org/
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