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心のケアが必要な思春期・青年期のソーシャルワーク

若者の支援にかかわるすべての関係者へ


 10代、20代の若者にまつわる問題が、毎日のように新聞やテレビなどマスコミに登場しています。社会問題としてのひきこもりや家庭内暴力、不登校、いじめなどは従前から、近年は脱法ハーブなどの薬物やインターネット依存、リストカットや大量服薬の自傷行為もクローズアップされ、発達障害による環境との不適応やうつ病、統合失調症などの精神疾患も含め、“心のケアを必要としている若者”に対する社会の関心と、彼らへのより良いサポートを求める機運は着実に高まっているといえるでしょう。

 ただし、一方にはそうした若者に対する援助の困難さが壁として立ちはだかっています。一つは、援助技術面の課題です。10代、20代は心身ともに成長・発達の過程にあり、その時々に応じた“かかわり”が必要となります。かかわりは若者の成長とともに変化し、固定・一定ではありません。思春期におのずと備わる感情の揺れや親との関係、友達との関係、受験や就職、恋愛・結婚といったそれぞれのテーマ、それぞれのステージに対応したかかわりが求められます。

 心のケアを必要としているということは、成長の経過になんらかのトラブルが起こって今があるとも考えられ、そこへの着眼と対策も不可欠です。しかし、こうした思春期・青年期の若者に対する援助の技術を具体的に紹介した文献は、世の中にそうそう見当たりません。

 もう一つは、制度面の課題です。18歳から20代前半の若者は、児童福祉法と障害者総合支援法との狭間に落ちてしまい、利用できる福祉サービスが少ない、存在はしていても利用しづらいという問題があります。その表れの一つとして、家庭に居場所がなく、受け皿となる施設などの社会資源もなく、行き場を失った若者が適応障害等の診断名で精神科病院に社会的入院をしている実態もあります。

 本書は、心のケアを必要としている思春期・青年期の若者への援助の方法を体系的にまとめたものです。心のケアが必要な若者をサポートするときに要となるテーマを7つに分類し、個々のテーマ、個々の局面で援助者がどのようにかかわったらよいかという「かかわり方」を紹介しています。この“かゆいところにきちんと手が届いた”作りは、本書の際立った特色です。ソーシャルワーカー職はもちろんのこと、心理職や看護職、児童福祉関係者、教育関係者など、若者の支援に携わるあらゆる立場の方にお役立ていただけること間違いないでしょう。

 著者の西隈亜紀氏は、新聞記者から精神科病院のソーシャルワーカーに転身し、現在は若者グループホームの施設長として、若者一人ひとりの可能性を信じ、そして見つけ、社会に送り出すべく毎日に勤しんでいます。専門家が少ない現状だけに、知識・技術を持っている援助者とそれを必要としている援助者がつながることが重要であると、これは編集担当としての認識です。ぜひ、西隈氏に直接お声もかけていただき、日々の活動に還元していただきたいと思います。必要があれば、橋渡しもさせていただきます。

(中央法規出版 第1編集部 柳川正賢)

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