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“精神疾患”に苦手意識をもつ前に、知っておきたいこと――。


 ケアマネジャーや福祉職の方々に「支援が難しいケースは?」と尋ねると、必ず挙がるテーマの一つに“精神疾患”があります。「診断はされていないが、利用者に明らかな精神症状がみられる」「家族介護者が精神疾患を有している」「支援の組み立てがイメージできない」等々……。介護保険制度の枠内での対応も難しいため、苦手意識をもつケアマネ・福祉職が多いのが実状といえるでしょう。

 ケアマネ・福祉職の方々に向けて、“精神疾患”に苦手意識を抱かせないための書籍を作りたい。そこで白羽の矢を立てたのは、長く精神科の看護師を勤め現在は山口大学大学院で教鞭をとられる山根俊恵先生でした。精神疾患の方の支援をテーマとする講演・研修を熱心に行っていた山根先生に、不躾にも突然連絡して執筆のお願いをしたところ、快くお引き受けいただきました。これまでの経験から、山根先生ご自身も書籍としてまとめる必要性を強く感じていらっしゃったのです。

 本書は、山根先生の講演・研修の内容をベースに、精神疾患をもつ利用者等にケアマネ・福祉職がどう対応すればよいのかが、具体的にまとめられています。
 疾患・症状(第2章)では、単に疾患・症状の解説ではなく、“アセスメント時の留意点”や“支援のポイント”も記載して、実際に対応する際のヒントを盛り込みました。また、活用できる各種制度や普段からできる他職種との関係づくり(第3章)、服薬支援の工夫(第4章)など、実践から得られた現場で活きるノウハウがわかりやすく記述されています。
 当事者の方が望む支援のあり方が、当事者の声をQ&A形式にして収載されるのは、NPO法人を立ち上げて、長きにわたり当事者支援を行っている山根先生の実践の賜物ともいえるでしょう(第6章)。

 読者の皆さんに「制度を理解することで、適切な相手につなぐことができる」「疾患・症状の特徴を知ることで、利用者等へのアプローチの参考になる」等々、さまざまな感じ方・受け止め方をしていただき、ご自身の実践に活かしていただきたいと思います。
 「『病』と『障害』を理解し、精神保健・医療・福祉で支えることが重要であり、地域で支えていくために、多くの方に精神疾患とその生活のしづらさを知ってほしい」と説く山根先生。書籍の執筆は初めてという方も少なくないなか、分担執筆者の皆さんを束ねて、本書の完成に向けて、尽力してくださいました。
 執筆陣の総力を結集して完成した『ケアマネ・福祉職のための精神疾患ガイド―疾患・症状の理解と支援のポイント―』、是非、お手にとって活用していただければと思います。

(第1編集部編集第1課 米澤 昇)

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